ヨーロッパ企業からの受注(3)
さて日本に帰って来てからは多忙の極みです。まずはSAAB を片付けなければなりません。一回目のラフスケッチを描き終えスェーデンにDHLで送ります。その当時は今と違ってメールに添付なんて事が出来る訳もなく、でかい絵を厳重に梱包し1週間近くかけて送るしかないのです。
回答待ちの間はRENAULT のスケッチを描きます。この契約は絵を持参して解説しなければならないので厄介です。モデル完成まで何回も欧州への往復をしなければなりません。従ってこの頃から世界を股にかける?生活が始まり、大変なストレスが繊細?な我身にふりかかってくるのです。
SAABから2回目のオファーがあった頃が最悪でした。ロスでミーティング、その後戻ってすぐパリ、パリから戻って時差ぼけが治り切らないうちに今度はスウェーデンのトロールハッタンへといった具合でした。とても落ち着いて絵を描く環境ではないのです。更にRENAULT のスケールモデルまでは日本で仕事が出来ましたが、その後のフルサイズモデルはイタリアまで行ってコントロールをする契約で、一回に最低1週間はトリノに滞在して仕事をしなければなりませんでした。
いくらCクラスのチケットを貰っても月に2〜3度ある十数時間の旅は元々時差に弱い事もあり、累々と疲労が蓄積されていくのです。ただ食事に関してはフランス料理もたまになら悪くないし、イタリア料理は非常に好きなので楽しみがなかった訳ではありません。パリで暇な時は美術館巡りもしました。この時の貴重な体験は、その後のデザイナー人生に大いにプラスになった??筈です。(続く)
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