ヨーロッパ企業からの受注(2)
SAABとの打ち合わせが終わった数日後、今度はRENAULT との打ち合わせです。ここはSAABよりは慎重でした。まず日本事務所の露払いがあり、次にデザイン部長が日本事務所所長同伴で乗り込んで来ると言った具合です。前置きも長く、少し形式的な感じがありましたが、出張中という事もありてきぱきと物事を処理していく様子はSAAB とは随分違う印象がありました。
結局その日は依頼する仕事の内容の概略説明をし、見積を早急に送ってくれという事でお開きとなります。さあ難しいのは見積です。あまり高すぎて相手が引いてしまっては元も子もありません。かと言って安売りをしてしまってはこれからの活動に支障をきたす危険性があります。Y社長と相談の結果、今回の内容はSAAB と比較して倍ぐらいの作業内容と難易度ではないかという事で、SAABの倍の見積を作る事にしたのです。私から見ると強気すぎて気が遠くなるような金額でした。SAABを確保した後ですから、ここ一番、大勝負に出ようという事で同意するに至ります。
見積を送ってからは気が気ではありません。何と言って来るだろうか、いやもう返事は来ないのではないだろうかなどとあらぬ心配をして気が休まらないのです。意外に結果は早く出ました。日本での打ち合わせから一週間後くらい経ったでしょうか、契約の為にパリへ来いというのです。花のパリへ、、、契約に、、、あまりにもうま過ぎる話に乗って良いものかどうか、どんでん返しがあるのではと勘ぐったりしましたが、こうなったらやるっきゃありません。向こう持ちの航空運賃(Cクラス二人分)をエコノミーに代えて通訳と3人、勇躍パリに乗り込んだのです。えっそれでもまだ余っただろうって? 時効ですから正直に言います。そうです。ご想像通りお土産代その他に化けた事は言うまでもありません。
パリでの調印式?では、見積もり時と契約時の間の為替変動分ディスカウント要請がありましたが、他はすんなりと事が運びます。契約金額に関してはRENAULT側から見てヨーロッパでは標準的だということでした。それはイタリアあたりの中堅カロツエリアと同等という事を意味する訳ですから、これは大変な事になったものです。下手なものは出せません。プレッシャーを感じ始めます。
サイン後は市内のさるテニスクラブのレストランでの昼食となりました。流石本場のフランス料理です。大変美味しい料理と美酒(ワイン)に酔わせてもらいました。これから日本で大変な作業(デザイナーは殆ど一人しかいない訳で)をしなければならないのですが、取りあえず滞在中は連日祝杯をあげたのものです。(続く)
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