船のデザイン(1)
もう随分前の話になりますが、国内大手造船会社から高速双胴船のデザイン依頼がありました。
その造船会社が東大と共同研究している画期的な省エネ、高速ハルの上部、即ち吃水から上のデザインです。モーターボートのデザインはいすゞ時代、独立後を通じて7〜8隻の経験はありましたが、本格的な船舶デザインは未経験だったのです。非常に興味がありましたので二つ返事で引き受けました。
デザイン料に関しては車関係と比べると見劣りしましたが、先方の予算の関係でやむを得ません。それよりも実績作りに関心がありました。行く行くは10万tクラスの船舶デザインを夢見ていたのです。
東大で開発されたという高速ハルはかなり未来的なデザインでした。この上のスタイリングは半端なものは出来ないと武者震いします。勇躍超未来的な絵を描き始めたのです。
保守的であると思い込んでいた造船会社の設計者達は意外にも斬新なデザインに対して良い反応を示しました。結果的に一番斬新なデザインが選択されたのです。今から考えると少しやりすぎたかなと思わないでもないですが、当時は得意満面でした。実際に完成した船に乗るまでは!の話ですが。。。
わくわくしながら完成した船のコックピットに座って驚きました。操縦席の窓からは何と空が見えるのです。前方が、肝心な前が見難かったのです。(続く)
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