エピソード7(パリのアメリカ人)
昔話が多くて恐縮ですが、ホンダはロス(L.A)にデザインスタジオがありアメリカ人デザイナーと一緒に仕事をする事がよくありました。彼らとヨーロッパ等へ一緒に市場調査に行ったときには数々の武勇伝を作り、アメリカ人らしい一面を見せてくれたのです。基本的にはねあかで悪い人達ではないのですが、思い込みと主張が強すぎてトラブルを起こす事がたまにあるのです。
パリの夜の話です。ホテルで紹介され予約を取ってもらったある有名な劇場へ行ったときの事です。素晴らしいショーが終わりかけた時、ボーイが勘定書を持ってテーブルへ来ました。それを見たアメリカ人デザイナーが非常に驚き、騒ぎ始めたのです。見ると一人300フランくらいの数字が書かれています。
ホテルのコンシェルジェでは30フランだと言われたと言うのです。綺麗なお姉さんが大勢出て来て踊ったり、マジシャンも出てくるゴージャスなショーに高そうなシャンパンまで飲んで30フランはないと思うのですが、彼は引き下がりません。乱闘寸前のすったもんだの末、提訴試合とする(?)事で納得しベンチへ、いやホテルへ向かいました。
なお憤懣やるかたない彼は、今度はタクシーの運ちゃんに向かって文句を言い始めたのです。挙げ句の果ては大喧嘩になり車を下ろされる羽目に・・・英語とフランス語の喧嘩ですよ???? 私にはとても仲裁に入れる語学力はありませんでした。
夜1時、不気味に静まり返ったパリの街をホテルへ、徒歩での道のりは果てしなく遠かったのです。典型的日本人を自負する私はこういう場合は決して乱闘などには加わらず、冷静に善意(?)の傍観者としての立場を貫く事にしています。
そんな正義感強い大男(身長192センチ)の彼ですが、仕事のときはまるで別人です。プレゼンテーション資料の修正のときに昼休みも返上して仕事をする姿は、まさにプロでした。アメリカ人デザイナーは学生時代からプロ意識が叩き込まれているのです。日本人では見た事のない光景でした。きちんと責任を取る姿勢が違います。
仕事が終わって六本木に遊びに行っても殆ど徹夜で頑張ります。よく遊び、よく仕事する精力的な彼らを見ていると、よくこんな連中に戦争を仕掛けたものだと、昔の日本人の無鉄砲さに感心するばかりです。因に腕相撲で挑発してみたのですが、やっぱり負けました。
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