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2008年4月23日 (水)

目くそ鼻くそ

汚いタイトルで申し訳ないのですが、北京と東京の大気汚染の具合を見ていてそう思わざるを得なかったのです。交通量の多いところで掃除機にフィルターを付け、10分間吸ってみるという試みです。

驚いたのは北京よりむしろ東京の結果でした。北京が真っ黒になるのは現地を知っている私としては何の驚きもなかったのです。それより東京がグレイになった事は衝撃でした。あまいかもしれませんがもう少しましだと思っていました。

さかのぼって40年程前、日本も北京並みの時代がありました。一日東京で運転していると鼻の穴が真っ黒になったものです。当時はさすがに東京は凄いなどと肯定的に捉えていましたが、今では考えられません。

丁度その頃アメリカでは、1970年にマスキー法案が可決されました。更にカルフォルニア州は1973年を目処にもっと厳しい罰金付き規制をかけます。これらは大変厳しい排ガス規制でした。粟を食ったのは日本企業です。輸出が軌道に乗り始め日本の自動車メーカーがこぞってアメリカ進出していた訳ですから、皆途方に暮れたのです。

実はこの騒動によって今日に至る日米の自動車戦争の勝負は決まったと言っても過言ではありません。日本企業は死にものぐるいで基準に達する努力をしますが、アメリカメーカーは挫折してしまったのです。挙げ句の果ては法律まで曲げてしまって、マスキー法案は事実上有名無実のものとなりました。

ところがよくしたもので日本企業の努力は無駄にはなりませんでした。クリーンな車、燃費の良い車として好イメージが定着したのです。最近のハイブリッドカーで更にその地位を不動のものとしています。

結果としてアメリカのお陰で日本の空はきれいになったのですが、一つ抜けている事がありました。アメリカに追随する形で整備された1975年の日本の排ガス規制では、なぜか対米輸出のないディーゼル車の窒素酸化物に対する言及がなかったのです。

30余年後、石原都知事の鶴の一声で改革されるまで、不思議な事にガソリン車であれほどの手際を見せた官民とも、黒煙を吐き続けるディーゼル車の排ガスに対しては全く手をつける事がありませんでした。

そういう背景もあり、自動車のせいだけではないとしても、最後の砦が崩された東京の空はきれいになっている筈なのに、自慢出来るほどでない事にショックを受けたのです。

石原さんにもう一踏ん張りしてもらうしかなさそうです。マスキーさんと石原さんがいなければ今の東京は北京と大差なかった可能性を否定しきれない(??)という怖い怖い話です。


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