エピソード8(リムジンバス)
またまた旧聞になりますが、ホンダにいる頃、上司の話で大変印象に残った事があります。
通常アメリカ駐在(デザイナーの場合ロスアンジェルス)になるときは家族を連れて行く事が多く、その家族にとっては一大イベントになります。子供が小さいときは学校の問題等、色々大変なのですが、一度カリフォルニアの生活を経験するのも悪くないという考えもあって、全員で行くケースが多いのです。
その上司もまた家族と共にアメリカに赴任しました。お子さんがいて小学生低学年から中学生までをアメリカで過ごすことになったのですが、そのお子さんの話です。
日本に戻って何年か経ってからのことです。海外旅行に行く為、箱崎からリムジンバスに乗ったのですが、そのバスを見て「大きなバスだね、日本でこんな大きなバスに乗るのは始めてだ」と嬉しそうに言うのです。
お父さんが「アメリカから戻った時にも乗ったじゃないか?」と言うと、お子さんは「嘘だ、こんなに大きいバスじゃない、マイクロバスだったよ」・・・
そうです。もうお気づきでしょうが、アメリカから戻るときは向こうのサイズ感で物を見ているのです。日本に戻って、いつの間にか日本のサイズ感になっているのを、子供は気づいていないのです。向こうはゴキブリだってでかいと聞きました。!!!(幸い私は見ていない)
そう言う私などもアメリカから戻る度に、あれっ国道の道幅こんなに狭かったかしら(?)とか、ビルとビルの間がこんなにくっついていたっけ(?)とスケールに関して狂いまくっている自分を発見して驚くのです。
客観的にものを見ているつもりでも、人間の尺度というものは実は全くいい加減であるという事がよく分かります。物の尺度だけで済めばいいのですが・・・・
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