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2008年9月16日 (火)

国境なき異車団

今日車マニアのお客さんと昼食の時に車談義となりました。最近の車のデザインは・・・という年寄りの小言のような愚痴のような話が展開されたのですが、最終的には昔の車は分かりやすかったという点に落ち着いたのです。

国やメーカーとしてのカラーがちゃんとあって、使い勝手や性能はともかく、デザインのオリジナリティとか、機械、ツールとしての主張が明確でした。初めてフランス車に乗ったときなんか、その斬新さ、お洒落具合にカルチャーショックを受けたものです。
Cx
英国車には派手なのに品のあるインテリアがよく似合い、イタリア車は存在そのものがセクシーでした。アメ車だってでっかくゴージャスで、ソフトな乗り心地は「これはこれで悪くないな」と思わせるものがあったのです。ドイツ車は当時から確立された精密で高性能なツールという世界があり、所有する事の喜びを教えてくれました。ネーミングもそれぞれ格好よく、憧れざるを得なかったのです。

ユーザーは自分の個性、ライフスタイルに合わせて車選びが出来ました。あまり迷う事なく目的の車にたどり着く事が出来たのです。1970〜1990年頃は正に百花繚乱、財布の中身さえ気にしなければ選り取り見取だったのです。

ところが最近の車ときたら国境なき異車団という感じで、グローバリゼーションも分からないではないですが、逆シナジー効果もあって、あまりにも色々な要素が接近しすぎています。寂しい事に明確な個性が消えつつあるのです。従って、カテゴリーと値段だけで車選びをするような事になり、若者からもそっぽを向かれてしまったのではないでしょうか。

昔、六本木で黄色いホンダシビック(初代)に乗った前田美波里を見かけた時、その組み合わせが、なんてお洒落なんだろう、と驚きました。オピニオンリーダー的な人は自分を演出する道具をちゃんと嗅ぎ分けるのです。

Lancia

ザルツブルグのポルシェデザインに行った時はアレクサンダー・フェルディナンド・ポルシェ氏が英国車のレンジローバーで空港へ迎えに来てくれたのですが、いやみなくらいよく似合っていました。元ピニンファリナのレオナルド・フィオラバンティとランチア・ガンマ・クーペ(お〜いやらし!)等々絶妙なコンビは数え上げればきりがありません。

さて、私は何を選べばよいのでしょうか(?)責任の一端は我々デザイナーにある事は棚に上げて、リーズナブルゾーンで喉から手が出るくらい欲しくなる車に出会えないのは寂しい限りです。
(PHOTO上は その宇宙船のようなインテリアに特にショックを受けたシトロエンCX 下は凄くセクシーだったランチアガンマクーペ)


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