ガルーダ(1)
インドネシアの航空会社の話ではありません。昔々、いすゞ自動車と三井東圧の合弁で作ったプレジャーボートの会社の名前です。日本は周りを海に囲まれているので、経済発展すれば必ず海のレジャーに向かう筈だというのが設立の発想でした。
ところが好事魔多し、発足して3年足らずの間に第一次オイルショックが来てあえなくダウン、、、解散してしまったのです。
インドの神話に出てくる神鳥から引用したネーミングはユニークなロゴマークの効果もあり、当時としてはかなり斬新で憧れの対象でした。経営方針も革新的で日本経済さえ健全ならば今後が期待出来ると思わせるものがあったのです。
私はデザイナーとしていすゞから出向、意気揚々とモーターボートの開発に取り組みました。13、18フィートのプレジャーボート開発を担当するのですが、何ぶん船には素人です。海とボートを知る為にテストに参加という名目で時々海に出る事が義務づけられたのです。
ある時、開発部全員で伊豆大島への試乗クルージングが企画されます。船は18フィート級が3艇、総勢10名程のパーティでした。同クラスでメーカーの違う船の乗り比べです。
当日は台風接近が報じられていて、集合場所の佐島マリーナでも波が高くなって来ているのが明らかでした。今回だけは延期だろうなと思っていると上司が決行を告げます。なぜか誰も異論を唱える事もなく、船は出港したのです。(続く)
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