能ある鷹は爪を隠す
私のブログに書いている事は自慢ではありませんが思い切り偏っています。なぜなら私は車のデザインの仕事をしていて、国内外にクライアントを持っている関係上、車の事を悪く言ったり、クライアントやクライアントの国に対して悪く言える筈がないからです。その事に対して誰かから批判される所以はありません。聡明な読者の皆さんには、言うまでもないのですが、その点を差し引いて読んでいただければいいだけの話です。
このように仕事をしている人は誰でも偏っています。だからと言って責められたり問題になったりしません。むしろ自分の所属する団体や国を悪く言う方が問題ではないでしょうか。そんな不遜な態度で世の中、渡って行ける程甘くはありません。
仕事をしている人の中で、完全中立でなければならないのはジャーナリスト、評論家、裁判官などがあげられますが、むしろ少数です。彼らが思想的に偏ったり、特定の企業、団体、国の利益になる事を言ったり、したりするのは自らの存在価値を否定する事になります。
そこで例の航空自衛隊幕僚長の話です。カミさんは微妙な話だから、この件はあまり書くなと言います。(家庭内言論統制!)確かに、もっともなので極力控えめにします。。。その元幕僚長は自衛隊に所属していたのです。自分の所属している団体や国に対して悪く言える筈がありません。例え総理大臣の談話にだって、表立ってはともかく、その点で異議を唱える事は出来るのではないでしょうか。
まして、その総理大臣が総理になる寸前まで自衛隊は憲法違反だなどと言っていたのではなおさらです。総理になった途端、何が変わった訳でもないのにコロッと宗旨替えをしたのです。そういう人がまともな歴史認識など持っている筈がありません。あくまでも無難に政権を維持したいという消極的発想から周辺諸国のご機嫌取りをしただけと解釈するべきです。
TVでキャスターや評論家が口角泡を飛ばして「とんでもない」と言うのは自衛隊高官の見解として、単純に、政府見解と違うのは不適当であるという意味だと思うのですが、では実際に彼らはその論文と政府見解とされる“村山談話”を読んだのでしょうか(?)
恐らく読みもしないで、ディレクターか誰かの指示で喋っているものと思われます。物事を深く考えようとしない彼らに多くを期待する方が無理というものですが、本来中立であるべきジャーナリストもどき(?)が公共の電波を使って偏った方向性の見解を示す自己矛盾に気がついていない愚かさには同情を禁じ得ません。
横道にそれましたが、元幕僚長の論文に関して、私には正確に判断する知識も資料もありませんが、全くの間違いであるとは言い切れないと思っています。但し、国や自衛隊にとって都合の悪い事には触れていません。極力美化して、自分達と国にとって都合の良い方向に導こうとしている事は確かなようです。愛国者でありますが間違いなく偏っています。
では、そもそも自衛隊に入るのはどういう人達なのでしょうか。左寄りの人が入るとは考えられません。私のように中道の人間も職業を決める場合、選択肢には全くと言っていいくらい入らないのです。やはり少し右寄りの人が選ぶのではないでしょうか(?)また、そういう人達でないと、いざという時の役には立ちません。このように考えれば、最初から右寄りの人が集まる事は織り込み済みの筈なのです。
そこをきちんとコントロールするのがシビリアンコントロールではないのでしょうか。彼はクーデターをやるとも、戦争をしたいとも、言っている訳ではないのです。前々から主張している事の延長であり、自衛官として歴史認識に対する一つの解釈を示しただけで、こんなに大騒ぎになるとは思っても見なかったでしょう。
ただ、この論文が、自衛隊の高官によって書かれたものとしては、一定の国家的戦略に沿ったものではなさそうだという点はひっかかります。つまり、国家として何の基本戦略もなく、また自衛隊のトップでさえバラバラの考え方で動いているという事を今回の件は如実に示しているのではないでしょうか。
いずれにしても能ある鷹は爪を隠すものです。公式、非公式に関わらず、国益に直結するデリケートな問題に関しての公表は慎重にするべきです。だからと言って退職金を取り上げるような問題でもないのですが。。。
ところで昨日行われた国会の参考人招致ですが、なぜかTV中継がありませんでした。質問される側が論破されるのが怖いのか、周辺諸国の過剰な反応を恐れてか、国民の知る権利を簡単に制限してしまう事がまかり通っています。
質問する側の民主党の鳩山さんだって“ワインの会”かなんかで、その幕僚長と懇意にしていたそうです。その会で何が話されていたのかは知る由もないのですが、意外に同じ穴の狢かもしれません(?)即ち、裏ではなあなあだったのに、問題になった途端、踵を返し政争の具とする愚を犯して世界に恥を発信する、日本の政治家の貧困な思考回路こそ糾弾されてしかるべきではないでしょうか。
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