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2008年12月26日 (金)

先手必勝

トヨタの渡辺社長が神妙な面持ちで記者会見に臨みました。内外の記者が注目する中、非常にショッキングな数字が発表されたのです。来年3月期決算が、何と1500億円もの赤字になるというものです。

これは大変な事です。いよいよ日本の基幹産業にも不況の大嵐が、、、と、マスコミは大騒ぎしています。当然、派遣なんかに構っていられる状態ではないという事になるのでしょう。

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ところが、派手には扱われていませんが、トヨタはF1からも、他のレースからも撤退しません。テレビコマーシャルも普通にやっているように見えます。これはどういう事でしょうか。さらに少し前ではありますが、9200億円の開発予算を削る事は考えていないと言っていました。

よく分からないのです。1500億の赤字がそんなに大変なら、開発予算は飯の種だからともかくとしても、CMやレースの予算を削らないというのが解せません。さらに前年度の1兆6千億もの大幅黒字は何処に行っちゃったのでしょうか。内部留保は普通に考えて何兆円にも膨れ上がっている筈です。

話は変わりますが、家族で自動車部品製造の仕事をしている、ある自営業者の話をしましょう。経済規模はトヨタの24兆円と比べて、丁度100万分の一の2400万円です。前年の税引後純利益は160万円もありました。よく頑張っているのです。

これは恐らく借金さえなければ貯蓄にまわっています。50年もの長きに渡って真面目に働き、儲かり続けて来たので数百万円、いやもっとかも知れません。とにかく沢山の蓄えと抜群の信用力があるのです。

ところが世の中不景気になって来期は減益になる事が分かってきました。そこでアルバイトの子を中途で解約したところ、親御さんから、「約束が違うじゃないか」と文句を言われたのです。約束通り務めてもらうには後5〜6千円も払えば良かったのですが、何しろ仕事がないので只働きはさせられないと、お父さんは思いました。

当然の事をした筈なのに、それを聞きつけて町内会が騒ぎ出したのです。来期が減益とは言え黒字予想のままでは増々騒ぎが大きくなるかも知れません。そこでお父さんは、取りあえず帳簿上は赤字にする事にします。必至で経費を膨らましたりしても15万円くらいしか赤にはならなかったのですが、あまり赤が大き過ぎて、返って信用に傷がついてもいけません。これくらいが妥当かなという事で、恐る恐る発表したらすんなり皆が納得してくれました。

これはしめしめです。来春の長男に対する賃上げを抑える口実にもなりそうです。やはり打つべきは先手です。追求が厳しくなる前に、お父さんの政治的判断が奏効し、見事に世間の同情さえ集める事に成功したという訳です。もうすぐ隣村の長年ライバルだった同業者も消えてしまうみたいだし、お父さんは来期も何とかやっていけそうだと安堵したのです。美味しい晩酌に思わず笑みがこぼれたかどうかは知る由もありませんが。。。

いえ、あくまでも自営業者のお父さんの話で、個人的主観と希望的観測が入っていますから、一つのものの見方として捉えていただけると幸いです。隣村のライバルとの差は、経営状態が最高の状態で大不況を迎えたか、最悪の状態で迎えたかという運的なものが一番大きいのかもしれません。!


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