2匹目のドジョウ
ビッグスリーを救済する法案が米上院で否決され廃案になってしまいました。後は金融安定化の為の資金、7000億ドルから捻出するしかなくなったようです。これで駄目ならいよいよ年内の破綻が現実味を帯びて来るのですが、本当に、それでいいんでしょうか(?)
もしGMが破綻した場合、影響は自動車業界だけでなく、金融業界にも及ぶと言われています。企業間CDS(相互破綻保証保険)の発行残高が半端な額ではないからです。その結果リーマン以降の第二次金融ショックがおきて、大変な事になるかも知れません。とにかく破綻の連鎖だけは避けなければならないのです。
ブッシュさんは当然これを嫌って何とかしようとしているのですが、UAW(労働組合)が融資の条件となる賃金引き下げに頑強に難色を示していて、打開の道が見えていません。恐らくシナリオとしては最後の最後にどちらかが折れて、危機回避となるのでしょうが、今のところ予断を許さない状況です。
日本のマスコミは、この状況を見て、日本の自動車メーカーもさぞ大変だろうという論調が大半を占めていますが、果たしてそうなのでしょうか(?)常識的に考えて、競争相手がいなくなったアメリカは日本メーカーの独占状態になります。今でこそ日本車だけで、年間600万台ちょっとの販売台数(2007年)ですが、通常なら1600万台も売れている市場です。
しかも、公共の交通機関が発達していませんから、大方針転換しない限り、車に頼らざるを得ない生活は続くのです。例え大不況のせいで、市場規模が3分の2くらいになったとしても、日本の倍以上の市場です。更に、ビッグスリーが破綻して、小さいワンかツーになれば、日本車販売拡大のポテンシャルは計り知れないのです。
勝手な想像で言わせてもらうと、こういう時期ですからおくびにも出しませんが、トヨタやホンダの経営者は笑いを噛み殺しているのではないでしょうか。私なら千載一遇のチャンスとばかり、普段やれない新しい試みや脱化石燃料化を一気に加速させます。
まずは社内の空気を引き締め、対外的には更なるコストダウン要請をし、不採算部門や経費がかかる割には宣伝効果が薄くなってしまっているイベントを廃止したりと、大義名文の下、やりたい放題が出来るのです。
絞りきって更に筋肉質となった日本メーカーは、不況が収束する頃には、大幅にシェアを拡大している事は想像に難くありません。現地生産を地道に押し進めてきた果実がたわわに実るのです。ただ、懸案事項もない訳ではありません。それはクリントン時代のような日本メーカーいじめです。当時日本メーカーは身に覚えのない訴訟で総額1兆ドルにも及ぶ請求を受けているらしいのです。
次期政権のヒラリー・クリントン国務長官他、主要閣僚は、その時のDNAを受け継いだメンバーですから、どんな汚い手を使って来るか想像も出来ません。自衛の為のマネージメントが必要ですが、取りあえず訴訟には強い体質を作っておく必要があります。間違っても2匹目のドジョウを安々と与えるような事があってはならないのです。
(PHOTO ホンダは年間500億円もかかるFIレースから撤退を表明)
| 固定リンク
「自動車」カテゴリの記事
- クルマの価格が5分の1になる日(後編)(2020.11.24)
- クルマの価格が5分の1になる日(前編)(2020.11.18)
- BEV(バッテリー式EV)に未来はあるのだろうか?(2020.09.23)
- EV vs HV (後編)(2020.03.27)
- EV vs HV (前編)(2020.03.23)
コメント