治にいて乱を忘れず
橋本大阪府知事が再来年の新規採用を見合わせるという発表をしました。勇気ある決定です。そもそも公務員の給料が国家予算の半分にも達するような国がまともである筈はありません。
しかも国家予算から35%以上にもなる公債分(借金)他を除いた50兆円程が税収ですが、公務員全体の人件費が、殆ど国の税収に匹敵するという事は、地方税のリーズナブルとは言い難い使われ方を見ても、借金しなければ何も出来ない体質になっている事は明らかです。
更に、この不況で来年から税収が落ち込みますから、下手をすると税収以上の給料を公務員に払う事にだってなりかねないのです。こういう現実に目をつぶって、ボーナスは大して下げない、定期昇給はきちんとやる、公務員改革はやらないでは、国の財政が持つ筈がありません。
ここを改革するだけで日本は間違いなく浮かび上がるのですが、官僚の抵抗は激しく、牙城を崩す事は霞ヶ関の傀儡とさえ言える現政権では限りなく不可能に見えます。橋本知事のように、新規採用を見合わせるだけで、将来的には確実に経費の削減に繋がっていきますが、彼一人の力では如何ともし難いのです。
今回の危機に際し、国と違って無制限に借金の出来ない民間は自衛の為、自力で経費削減をやらざるを得ません。自動車メーカー初め、続々とリストラ案を発表しています。まずは期間労働者や、派遣が切られていますが、それに対するマスコミの偏向報道ぶりは、いつもの事ではありますが、かなり異常です。
まるでメーカーサイドに全責任があるかの如くに責めています。これはメーカーに取っては納得し難いのではないでしょうか。そもそも期間労働者や派遣社員の場合は、安全弁としての位置づけは明らかで、非常事態には解除出来る契約になっている筈です。その為に派遣の場合などは、やたら高い派遣料を払っているのです。
従って派遣社員は所属する派遣会社が面倒を見るのが当然で、被派遣会社には契約内容以外の義務はありません。国も、取ってつけたように、今回のリストラ対象者を全て救うような方向で動いています。セーフティネットとしての救済策は、ある程度必要ですが、結果的に一部非該当者や派遣会社を利するような事になっては公平性を欠く事になります。
いかに非常事態とは言え、このようなポピュリズム(大衆迎合)とも言える社会主義的救済策は市場経済原理にも反する事は明らかです。情に流されるだけで、線引き、秩序を明確にしないと、社会的混乱を招くだけではないでしょうか。
“治にいて乱を忘れず、乱にいて治を忘れず”です、常日頃からリスクマネージメントをベースとした政策の下、システマチックに動いていれば、いざという時にドタバタする事はないのです。行政に求められるのはそういう事ではないでしょうか。
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