自動車業界再編の兆し
1月のアメリカ自動車販売の統計が出ました。前年同月比37.1%減の657,000台です。ビッグスリーに比べれば健闘している日本勢はと言うと、トヨタ11.7万台 (−32%) ホンダ7.1万台 (−28%)だそうです。このままだと年換算で本当に1000万台を割り込むかもしれません。
ピーク時には年1800万台弱を売り、2億4千万台(2005年時)を保有する自動車大国としては、信じられないような数字です。新陳代謝を考えると、とてもこの状態が続くとは思えないのですが、肝心な経済の見通しが立たない限りはどうしようもないのでしょうか。
この状態があと2〜3カ月も続いた場合、ビッグスリーが持ちこたえられるとはとても思えません。政府は追加支援をするのでしょうか。野党や国民から、かなりな抵抗が予想されます。そんな中、先頃朗報が伝えられました。イタリアのフィアット社がクライスラーに35%の出資をするというものです。最大55%も視野に入れていると聞きます。
優秀な小型車の欲しいクライスラーと、ビッグスリー衰退後の米マーケットの空きを狙う外資との思惑が一致したのでしょう。会社のサイズもGM FORDより小さいのが幸いしています。独ダイムラー社とは考え方が違い過ぎてうまくいかず、日本の三菱自動車同様、破局を迎えたのは記憶に新しいのですが、今回を逃すと後がありません。さすがに死にもの狂いとなって頑張るでしょうから、うまいシナジー効果を出すかも知れないのです。
問題は環境省エネ対応車が早期に出せるかにかかっています。米政府はグリーンニューディール政策の一環で厳しい規制をかけようとしているようです。これは行きすぎると本来の意味でのバイアメリカンに水を差しかねません。もっとも現地調達部品50%以上で国内製と認めるらしいので、輸入車以外の現地生産日本車はアメリカ製という事になります。
いずれにしても何か勝算があってのフィアット−クライスラーの資本提携でしょうから、何が出て来るのか楽しみに見守りたいと思っています。自動車業界も今年は大きく動くのではないでしょうか。
(PHOTOはクライスラーの代表的人気車ジープ とフィアット500の復刻版ニューチンクェチェント)
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