インテリジェント社会(1)
先週のブログ財政出動(2)での具体的な投資対象は、省エネ免震住宅、学校の補強改築、港湾整備、福祉、新通信システム、防衛産業、クリーンな電力等と書きましたが、なぜそれらが有効なのかを考えてみたいと思います。
今回の金融危機からの不況で、日本は殆ど無傷であったにも拘らず、現在大変な不況感が日本経済を支配しています。株は下がり、ミニバブル崩壊もあったかもしれませんが、不動産も大幅に値下がりして大変な事になっているのです。輸出は激減し、裾野産業が直撃を受けています。三月末で打ち切りになる派遣社員や契約社員も凄い数になるのではないでしょうか。
確かに輸出はこの調子でいくと、2009年度は30兆円くらいのマイナスになりかねません。最近になって輸入も減る気配ですから貿易収支はマイナスにはならないのですが、年間では限りなくゼロに近づく可能性があります。経済は縮小局面に入っているのでしょうか。確かに輸入額は月に3〜5兆円くらいまで下がっていますが、世界的な穀物や原油などの一次産品の値下がりや円高分を考慮すれば、量的にはさほど減っていないのかもしれません。
余談ですが、元々純輸出(輸出−輸入)はGDP比で1.6%くらいのものですから、多少輸出が減ってもGDPの数字的には殆ど影響が出ない事になります。経常収支は所得収支が常に大幅黒字なので、結局マイナスになる事はなさそうです。従って、どこかの国のように通貨危機に陥る心配は当分考えられません。そこはベースとして安心出来るところです。
ところで先日、与謝野財務大臣が、財政出動規模に言及して、外需のマイナスを全て内需に転換する程の規模で考えるのはいかがなものかと言っていました。心配していた通り、事の重大性、緊急性を全く理解していないようです。外需による売り上げ減少はGDP比率で7%くらいですが、マスコミの反日的プロパガンダや政治の無策による相乗効果で、その何倍にも日本経済は落ち込んでいるのです。
自動車でいえば、例年国内での販売台数が500万台のところ、2009年は430万台程度になると言われています。輸出が例年650万台くらいですから、今のペースだと230万台くらい減るかもしれません。国内が70万台減って、トータルでは何とマイナス26%にもなるのです。
他の産業も似たり寄ったりでしょうから、輸入で儲かっている産業分を差し引いても、需給ギャップは下手をすると80〜100兆円規模にまで膨れ上がるかもしれません。とても外需の落ち込みをカバーするくらいの財政出動規模では埒があかないのです。相変わらずの TOO LITTLE です。(続く)
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