自動車新時代の幕開け
ホンダインサイトが爆発的に売れている事で、トヨタも対抗措置を打たざるを得なくなりました。インサイトの最低価格189万円に対抗し、もうすぐ発売される3代目プリウスは205万円という設定にしたのです。さらに併売する旧型はインサイト並にして、トヨタお得意の包囲網を敷くようです。
いよいよ本格的電気自動車/ハイブリッドカー時代の幕開けです。一気呵成に日本の優位性を固めるチャンスと言えるでしょう。これに対抗する訳でもないでしょうが、アメリカでも低燃費車を助成する法律が可決する気配です。
ドイツに倣って、8年以上経過した車を買い替える場合に、最大7500ドル(約72万円)を助成するというものですが、2009、10年型に対してはリッターあたり10〜12.6キロ走る車に限定されます。
勿論買い換えの対象は、米国内産の車に限られるのですが、本当にそれでよければ、日本メーカーと現地法人はにんまりしているのではないでしょうか。米国産の日本車販売台数は金融危機前の実績で年間400万台程あり、しかもその大半が上記数字をクリアすると思われるからです。
逆に米車でその燃費の車を探すのは難しく、日米比率が増々開いて行く事が懸念されます。日本人として反対する理由は全くないのですが、法律施行後、販売台数の具体的数字が出て来た時点で問題になるかも知れません。
更に2011年型以降では米国産の電気自動車/ハイブリッドカーに限り、7500ドルの助成がされますが、量産車で可能性のある車は、今のところ11年頃から5万台/年、程度予定している現地生産予定のプリウスとGMのシボレーボルト(PHOTO)しかないのではないでしょうか。
ところがこのボルトを生産する予定の工場は、今回の金融危機のあおりを受け、未だ完成していません。最近のドタバタ劇を見ていても、本当に11年に量産可能とは思えないのです。ところで、このボルトはジャンル的には電気自動車と言っていますが、実際はシリーズタイプのハイブリッドカーです。
ではなぜハイブリッドカーと呼ばないのでしょうか。因にハイブリッドカーは大きく分けて日本のプリウスのようにエンジンとモーターを交互、あるいは同時に動かすパラレルタイプと、モーターを廻す為のバッテリー充電用エンジンを積む、シリーズタイプに分かれます。
どちらがいいとは一概に言えませんが、パワー、燃費、CO2排出量のバランスという点でパラレルタイプに分があるようです。GMがシリーズタイプを選ばざるを得なかったのは、その構造、システム制御の難しさもさることながら特許の問題が立ちふさがった事は想像に難くありません。
そういう諸問題を解決出来ず、消極的理由で選んだシリーズタイプだったからこそ、ハイブリッドカーと呼ぶ事によって、日本車と比較されるのを嫌ったのではないでしょうか。いずれにしても日本車との共存の為にも、米国車の健闘を祈りたいと思います。
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