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2009年4月 9日 (木)

G20とタックスヘイブン

ブログ500回記念です。と言ってもいつもと何が変わる訳でもないのですが、それにしても怠け者である筈の私が、何かに取り付かれでもしたのか奇跡的に続いています。いつも明日の分をどうしよう、と悩んでいるというのに果たして無事1000回目を迎える事など出来るのでしょうか。

さて、政府の追加補正予算が15兆円くらいの規模で計画されています。案の定、少なめです。小出しにするのもいいのですが、タイミングを逸しては何にもなりません。思い切って最初から30兆円くらいで行こう、と言う勇気のある人は政府内にいないのでしょうか。愚鈍とも言える慎重さが仇にならなければ良いのですが、G20でも、最もファンダメンタルスが良好で良いポジションにいる筈の日本の評価がなぜか低い、いやな流れです。

15兆円程度の財政支出規模はG20でアメリカの呼びかけによる「GDP比で2%程度の財政出動を」と言われたままの数字に過ぎません。そこまで隷属的に追従するのは、いかにも情けない、自国の経済ですから自分たちの頭で考えて数字を決めなければ意味がありません。

そのG20では中国が存在感を大いに示し、既に軸足が引けて逃げにかかっているアメリカを牽制していました。いつも国益を第一に考えるクレバーで大胆な動き方に感心します。途上国に対しては大いに存在感を示し、大国の動きを牽制しながら、他方で安全策を着々と世界中で進めて行く、権謀術数に長けた歴史ある大国の面目躍如です。悪く言えばずる賢く、本当は既にアメリカを信用していないのでしょうが、付かず離れず演じ分ける狡猾さは大したものです。

IMFに対しては日本の1000億ドルに対し、400億ドルの拠出にとどめ、残ったドルを世界中の燃料系資源やレアメタル獲得の為に精力的に投資する抜け目のなさを見せています。これは外貨準備に占める米国債の割合を、G2相手国(アメリカ)のダメージとならない50%程度にとどめながら、残りのドルを有効活用し、最悪米国債やドルが暴落した時に、逆に資源の価値が高騰する事によって損害を相殺しようという非常に賢明なやり方です。

国家単位で、危機に対して俊敏なスタンスを見せるのは一党独裁のメリットと言えるでしょう。米の顔色しか見ず、世界に対して何の策も持たない我が日本では全く考えられません。個々の企業単位では日本もレアメタルや資源獲得に動いていますが、国家が強力に進めるのとは訳が違います。後手後手に回って、貧乏くじを引かされるのが関の山かもしれません。
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ところでG20の隠れたテーマはタックスヘイブン(租税避難地)対策だと言われています。これまでは野放しにされていましたが、アメリカだけでも年間1000億ドル以上にもなる税損失をみすみす放置する手はないのです。各国協調して事に当たらなければ意味がないのですが、スイス、シンガポールやマネーロンダリングに使っている勢力などの抵抗も激しいのではないでしょうか。

日本では村上ファンドの村上さんが、法人税が18%のシンガポールへ会社も家族も、まとめて移り住んだのは有名です。世界で課税率に差があると、どうしてもお金持ちが逃げ出して国内が空洞化する現象が起きてしまいます。弱小国が生き残る為にはある程度やむを得ないところはあるのでしょうが、大国も鷹揚に構えてはいられない時代になりました。

日本の有名な大企業もタックスヘイブンに作った子会社に利益を隠し、節税を試みていますが、ノーブレスオブリッジという観点からも、このやり方には批判的な向きが多いようです。日本政府としても税収難の時代にタックスヘイブン規制に反対する理由は見当たらないのです。従って大国がこぞって協調し、当該国へ圧力をかける事は想像に難くありません。また自国の税制改正による追加課税手段もあり得るこの件は、時間の問題で対策されるのではないでしょうか。


日本政府の姿勢が財政出動に消極的だと思われる方
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