これからはディーゼルエンジンの時代と言う時代錯誤
5月15日のブログ“ハイブリッドカー(HV)の時代”で、こらから暫くはHVの時代が続くだろう、しかし、ひょっとすると、電気自動車(EV)が、電池などの改良により大化けして、5〜10年後には主役の座を奪い取るかもしれないと書きました。
私やメーカーの専門家筋はそれに近い見方をしていますが、先日、大御所と言われる某自動車評論家の記事を読んで驚いたのです。これからは構造が複雑でコストのかかるHVより、従来技術の延長線上にあるクリーンディーゼルが主役になると言っていたのです。
何を根拠にそう言っているのでしょうか。前からよく分からない人物です。環境を考えた時に、クリーンディーゼルと言えども、ガソリン車より有害物質をはるかに多く排出するエンジンが生き残るシチュエーションは、船舶や大型車を除けば考え難いのです。
もっとも大型車にはディーゼルハイブリッドという手は大いにあり得ます。最高の効率が得られるポテンシャルがあるのです。その場合は完璧なDPF(DEP除去装置)とセットにすればコスト的ハンデにはなりますが、より存在価値は上がるのではないでしょうか。
その評論家がイメージしているであろうヨーロッパのディーゼル車の場合は、DEPの原因と言われる硫黄系の不純物が、日本などよりはるかに少ない成分の軽油を使っているので多少ましとは言えます。それでも10年後、20年後を考えた時に、飛躍的な進化は考えられません。
ヨーロッパのメーカーはHVやEVで日本に遅れを取った為に、あえて政策的にクリーンディーゼルを推さざるを得ないのでしょうが、内燃機関のみに頼るパワーユニットが環境、省エネの点で限界があるのは誰の目にも明らかなではないでしょうか。
因に、花粉症の表の原因が花粉そのものであるとすると、裏の原因に挙げられているのディーゼルエンジンの排気ガスに含まれる微粒子(DEP)です。ディーゼルエンジンの不完全燃焼によって出てくるのですが、これが体内に入ると、通常の3〜4倍もの抗体が生み出され、花粉に敏感に反応するようになってしまうという報告があります。
さらに花粉症だけでなく、気管支炎、ゼンソク、肺ガン等の増加にもこのDEPは関わっているとされているのです。また、DEP粒子の大きさは2マイクロメーターといわれていますが、それよりもさらに小さな粒子、SPM(浮遊粒子状物質)と呼ばれるものの中には、0.01マイクロメーターという極小のものまであり、これは肺の細胞まですり抜けて血管の中にまで入り込んでしまいます。
某評論家は東京都のディーゼル車排ガス規制(下図)でさえDEP SPM対策が不十分であるという事を知らない筈がありません。さらに現状は古い規制の車も混然一体として走っていますから、空は一見きれいに見えても、とてもマスクなしで歩ける状態とは言い難いのです。きれいに見える分、油断をするので返って危険とも言えます。
日本の各メーカーはHVやEVの開発に拍車をかけている現状から見て、小型車に搭載した場合、コスト、重量にハンデがあるディーゼルエンジンに、今更力を入れるとはとても思えないのですが、業界の人間さえ知らない秘策でもあるのでしょうか(?)それとも何か義理でも。。。
インフルエンザでガンになる事は考え難いが、街を歩くだけでガンの脅威にさらされている現状を見ると、行政は危険度のランキングをちゃんと決めて公表するべきだ、と思われた方、クリックをお願いします。
| 固定リンク
「自動車」カテゴリの記事
- クルマの価格が5分の1になる日(後編)(2020.11.24)
- クルマの価格が5分の1になる日(前編)(2020.11.18)
- BEV(バッテリー式EV)に未来はあるのだろうか?(2020.09.23)
- EV vs HV (後編)(2020.03.27)
- EV vs HV (前編)(2020.03.23)
コメント