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2009年5月26日 (火)

お金を刷るという魔法(?)

日本の不況は、構造改革によって克服することはできないが、紙幣を印刷すれば簡単に解決する。(クルーグマン)私は出張中で見逃してしまったのですが、5月24日のフジテレビ、報道2001で、クルーグマン教授と与謝野大臣の対談があったのだそうです。
5与謝野大臣はクルーグマン教授の著書を原書でよく読んでおり、一生懸命理解しようとしているらしいのですが、それはそれで感心です。少し見直さざるを得ません。「財政再建を凍結し、積極財政を推し進める」と宗旨替えしたところに、既にその成果は現れています。民主党始め、日本が破綻すると大合唱する野党などの反対を押し切って進める姿は頼もしい限りではないでしょうか。

しかし、その番組中で、クルーグマン教授の言っている事を基本的に理解しているとは言い難い発言があったようです。デフレ下の不況では紙幣をもっと印刷せよという進言に対し、「そんな魔法のような事は出来ない、お金は額に汗して、あるいは知恵で稼ぐものだ」と言ったそうなのです。

それは少しおかしいのではないでしょうか(?)政府はそもそもお金など稼いだ試しはないのです。税金を徴収したり、国債を発行して国民から借りたり、それでも足りない場合は紙幣を刷るという魔法を、既に実践して来ているのです。お金は最初、どのようにして作られたと認識しているのでしょうか(?)

お金は、額に汗もしなければ知恵を使った訳でもなく、ただ刷っただけです。政府の特権として、そういう魔法が使えるのです。それはどこの国も同じです。勘違いしてはいけません。政府は産業ではないのです。逆に、額に汗したり、知恵を出して稼ぐのは民間の特権と言えます。(民間は既にたっぷり汗もかき、知恵も使っているのだ!)

与謝野さんの勘違いの元は、お金に価値があると思っている事ではないでしょうか。お金なんかに価値がある筈はありません。あくまでも商品やサービス等の流通の為の手段(潤滑油)に過ぎないのです。潤滑油が足りなくてぎくしゃくするのであれば油を追加すればいいだけです。

その油を作れるのが政府なのです。日本は供給という名の商品が山のようにありますが、多過ぎて動きません。なぜなら油が足りないからです。そういう場合は十分に油を補給するしかないのですが、定額給付金や今回の補正予算という名の油では少なすぎるのです。

巨大な商品の山を動かすには、借りて来ようが自分で作ろうが、大量の油が必要な事は明らかです。油量に関しては山が動き始めてから調整すればいいのです。動き出す前に油を止めたら無駄にしかなりません。その点を理解しない限り、永遠に日本のデフレギャップは埋まらないのではないでしょうか(?)

潤滑油をたっぷり供給し過ぎて失敗している他国を例にとり、危険だと思うのは考察力がなさ過ぎます。他国は供給という名の商品が油の量に比して少なすぎるのです。当然油の価値が下がります。日本はまだまだ油の価値が高い、という事は油の量が少ない事を意味するのです。

四の五の言わずに、今は世界中で日本にしか出来ない特権なのだから、一度たっぷりお金を刷って国民に配ってみればいいのだ、と思われた方、クリックをお願いします。

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経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

どうも日本人はノーベル賞の威光に弱いのではないかと思います。アメリカ人の言うことにはもっと用心したほうがいいのではないか。今までヒドイ目に合わされているのですから。

それはともかく、主にマネーサプライによって経済をどうこうしようとするのは金融中心の古い考えから抜け切れていない気がします。お金を刷るのではなく、日本には多額の金融資産がありますのでそれを活用すべきでしょう。

http://hayanosuke.blog45.fc2.com/

投稿: ハヤノスケ | 2009年5月26日 (火) 12時19分

ハヤノスケさん有り難うございます。おっしゃる通りですが、クルーグマン教授は日本を助ける義理もないので、米政府とは違ったスタンスに立っているような気がします。
日本の金融資産を活用するには、やはり国債を発行するのが手っ取り早いのですが、これ以上赤字国債を発行する度胸が今の政府にあるとも思えないのです。もっとも政府紙幣となるともっと難しいかもしれませんが。。。

投稿: 田中 徹 | 2009年5月26日 (火) 15時09分

莫大な個人金融資産に関してですが、これはもう、
デフレであるが故に、政府が活用を声高に叫ぼうとも
決して動く事のないお金になっていますね。
結局の所、デフレにより流動性選好が高まるので、これをどうすべきか
貨幣の投機的需要を減殺するにはどうすべきか
故にインフレ期待の形成に結びつけるにはどうすべきか
と言った事が肝要ではないでしょうか。
デフレ下ではどう足掻いても、貨幣の投機的需要は高まるばかりですので。
※勿論、国民が抱える将来不安を解消するのも重要ですけど。

お金が足りないからデフレになる

デフレになるから利子率が低くなる

利子率が低いから貨幣の投機的需要が高まる

結果、1400兆円の個人金融資産


あと、ブログ主様のお金を刷れ云々ですが、全面的に同意です。
国家には紙幣発行権があるわけですが、これを否定しちゃお終いですね。

それと、翌日のエントリーですが、米国の債務不履行はあり得ない事です。
米国債は全てドル建てであり、ドルを幾らでも刷れる米国がデフォルトに陥る
可能性は全く無いと言い切れます。但し、場合によっては深刻なインフレになりますが。

投稿: 疾風三号 | 2009年5月29日 (金) 09時07分

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