隔靴掻痒
政府の経済財政運営の基本方針となる「骨太方針2009」の素案の全容が明らかになった。焦点の財政健全化目標について、20年代初めに国・地方の債務残高の国内総生産(GDP)に対する比率を「安定的に引き下げる」ことを基本目標に設定した。基礎的財政収支の赤字をGDP比で、14年を待たずに「半減」させる目標も提示。従来は「11年度」としていた黒字化は「10年以内」に先延ばした。(日経ニュースより)
要するにプライマリーバランスを11年までに黒字化すると言っていた方針からの大幅変更なのですが、やっとまともな話になって来ました。ですが、黒字化は「10年以内」という下りはよく分かりません。債務残高の国内総生産(GDP)に対する比率を引き下げるという事と矛盾します。取りあえず玉虫色にしたという事でしょうか。
小泉さんの時代に構造改革、緊縮財政と言って政府支出を減らしたお陰で経済成長が止まり、病院は無くなり、介護等の福祉がメチャクチャになったのですが、何とか歯止めがかかりそうです。
それにしても随分長い間、経済や財政に関する間違った概念がまかり通ってきました。国の借金の話も誤解だらけでしたが、景気対策も実は正反対の事を考えていた節があります。あるエコノミストが地方へ行った時に、ある役人が「30%ものデフレギャップは問題だ。健全化の為に、企業を30%潰さなければならない」と言ったそうなのです。そのエコノミストは呆れて二の句が告げなかったそうです。
マクロ経済の視点から、30%の企業を無くせば、ごく短期的には需給バランスはゼロになるかもしれません。その代わり失業者が溢れ、大不況から更にデフレが進む事は明らかです。その結果、新たなデフレギャップが創出されるのですが、その分の企業も潰すのでしょうか(?)
言うまでもなく、仮に30%のデフレギャップがあったとして、それを埋める為には、それ以上の消費の創出と財政出動が必要となります。今の小出しのやり方はその点で問題があるのです。結局デフレギャップが埋まらない限り健全な経済成長は望めません。中途半端な財政出動は世界経済の中で相対的ジリ貧状態を生むだけなのです。
プライマリーバランス(PB)にこだわるのも、一見正しいようですが、実はよく分かりません。例えば国家予算が80兆円とします。税収が今は40兆円くらいしか望めないので、残りの40兆は国債等を発行するしかないのですが、PBをゼロにするという事は、単純計算で25兆円を増税、15兆円を節約(公務員改革など)すれば成立する訳です。
民主党案などはこれに近いのでしょうが、25兆円の増税はこの時期でなくともつらいです。消費税10〜15%+直接税も上げざるを得ません。可分所得が減り、家計は火の車になります。企業も設備等への投資意欲が減退するでしょう。更に公務員改革だって、消費能力の大幅減少を招きますから、マクロ的に見て経済成長が望めないのは明らかです。
やはり税制改革は、消費税を上げるのではなく、従来取っていない取るべきところ(金融、不動産、パチンコ等)をメインに10兆円くらい(?)増税し、公務員改革はせいぜい10兆円(多すぎる?)、従って国債発行額は20兆で計70兆円、これで需給ギャップはある程度埋められます。
経済成長でその分を消すという考え方が今回の財政健全化目標のベースになっています。20兆円財政出動の場合乗数効果を低めに見積もって1.5としても、平時であれば経済成長は5〜6%程度となります。イメージ優先の非常に雑な計算ですが、これなら債務残高の対GDP比は、どんどん減る方向なので万事丸く収まるのではないでしょうか。夢々PBの黒字化などにこだわってはいけないのです。消費税のアップなんてもっての他です。
もっとも、100年に一度というような急な大不況下では、需給ギャップを大幅に上回るくらいの財政出動が望まれるのですが、今後に期待していいものか(?)政権交代の問題もあり、期待薄かもしれません。
いずれにしても政治家やお役人のせいで、随分回り道をさせられたが、少し痒いところに手が届くようになって来た。ここまで来たのなら、生殺しにせず、思い切り掻いてくれ、思われた方、クリックをお願いします。
なお、デフレギャップはポテンシャルベース、需給ギャップは実績ベースで使い分けしています。
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