官僚が作りかねない危ない流れ
28日付の日経新聞は、日本国債の海外比率が下がって来ていると報じていました。昨年8月には7.7%まで増えていた海外比率が、他の魅力的な金融商品に流れ、ジリ貧になって来ているというのです。今年の3月時点では、6.4%まで減少し、危機感を感じた財務省は、財政の安定化の為にも海外比率を増やしたいので、積極的に海外に売り込みたいと言っています。(???)
正直、それってどうなんでしょう(?)日本国債は政府始め、日銀、郵貯などの、民間も含めた国内金融機関が大量に買っていて、その為に安全性が高いと言われています。逆に言えば、預金金利のメリットが低い現在、長期国債の金利も上がり難い構造と言えます。海外から見ても、4%近い米国債などと比較して、魅力的とは言い難いのではないでしょうか。
その為に国内比率が高く、投機的影響も受け難いのですが、それは政策的に行われているものだとばかり思っていました。この報道はそういう点で意外性があります。結果的に海外比率が低かっただけのようです。ところで本当に海外比率を上げるメリットはあるのでしょうか。海外比率が高過ぎて破綻寸前に陥っているアメリカを見ていると、リスクしか見えて来ないのですが、、、金利だって海外に払うより国内に払った方が、メリットがあるに決っています。どうもよく分からない記事と言えます。
同日のワールドビジネスサテライトでは、エコノミストが積み上がる日本国債についてネガティブなコメントをしていました。今時こんな人がいるのかというくらい酷いコメントに驚いたのです。小谷女史も分かっているのかいないのか、神妙な顔つきで聞き入っているのを見ると、出しゃばって自己主張が強いのよりはましなのですが、ちょっともの足りない気もします。
何でも、国債残高は現時点では問題にならないが、将来の孫子の代に借金のツケを残すという、感情論的論法のようです。前後の脈絡から判断して、政治的意図があっての発言とは思えません。何の為にそのような根拠のない事を言うのか分からないのですが、私も驚く、最も斬新と言える国民新党のマニフェストでも読んで、勉強してもらいたいものです。
選挙用マニフェストはともかくとして、最近は日本の財政に関して、ネガティブなことを言う人は激減しています。海外の有名経済学者の影響でもないでしょうが、マクロ経済的に見て、対外債務より債券がはるかに上回り、個人金融資産が1400兆円を超える日本の場合、国債発行残高に関しては、取り立てて問題にする程の事とは思えません。
これに関しては当ブログでも何回も扱っていますので、くどくは書きませんが、個人の借金と違って、日本国が存在する限り、清算する必要などないのです。借金と言うから拒否反応を生みますが、国内金融資産の政府による運用と言えば、抵抗も少ないのではないでしょうか。
更に例え借金だとしても、国(政府)の借金は国民の財産(債券)という事になるのです。増税で持っていかれるより、はるかにましだとは思いませんか(?)それに、デフレ不況下で企業の設備投資が伸びず、個人も貯める一方で借金しないとなったら、代わりに政府が借金しなければ経済成長(GDP)する筈がないじゃないですか。景気が良くなるまでは、この図式を続けるしかないという事が、なぜ頭のいい人達に理解出来ないのでしょうか。謎です。(??)
従って今回、EU、特にドイツなどが露見したように、金融資産の少ない国は、今回のような大リセッションに際し、財政出動の枠がなく、海外からの借金に頼らざるを得ない事実を見て、結果論かもしれませんが、日本方式が正解だったのは、明らかです。
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