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2009年8月19日 (水)

ボルトはGMの救世主になり得るか(?)

カミさんが毅然とした顔つきで「あなたに聞きたい事があるの」と来ました。私は一瞬背筋が寒くなったのですが、後ろめたい事や、思い当たる節は全くありません。そこで平静を装い「なんだい?」と応えると、「GMのハイブリッドカーはリッター100キロも走って、プリウスの4倍だと新聞に出ていたけど、どういう事よ?」
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「な〜〜んだ、そういう事か」と、なぜかほっとする自分がいるのです。その数字は見ていなかったので、「それは、そういう計り方をしたからじゃないかな、数字なんて何とでもなるんだよ」と言いながらも、どういう事なのかと、その日本経済新聞を確認する事にします。

記事をよく読むと、プラグイン・シリーズハイブリッドカーであるボルトはフル充電で40マイル(64キロ)さらにエンジンで充電しながら1リッターあたり36キロ走って、計100キロという計算のようです。それならば数字的操作なく、十分あり得るのではないでしょうか。

しかし、そこには落とし穴があります。充電が出来る環境になければ、燃費は果てしなく「充電しながら走行」の36Km/l に近づくというパラドックスがあるのです。

そこで日本人には耳慣れないプラグイン・シリーズハイブリッドカーですが、これは殆ど電気自動車と解釈するべきです。構造、システムが複雑で先端電子技術を要するパラレルタイプ(プリウスやインサイト)と違って、エンジンは充電専用として積まれます。走行はモーターのみによるのです。

積まれるリチウムイオンバッテリーも、パラレルタイプよりは大きな容量になります。そもそも日本のメインのハイブリッドカー(プリウス、インサイト)は実績のあるニッケル水素バッテリーを採用していて同列比較は難しいのです。なぜリチウムイオンでないかという理由は、車用の量産としての商品性(安全性、耐久性)が未だ確立されていない、と見るのが妥当でしょう。

GMが、信頼性が万全とは言えないリチウムイオンバッテリーを採用しているのは、後発メーカーの焦りがあるのかも知れません。車としての商品に対する考え方の違い、もあるのではないでしょうか。勿論日本メーカーに、パラレルタイプより、はるかにシンプルな構造となるシリーズタイプが作れない筈はありません。

シリーズタイプを採用しない理由は間違いなくあるのです。ボルトに試乗していないので何とも言えないのですが、まず、動力性能的に関して、パラレルに対するアドバンテージがあるかという事ですが、加速性能に関してはモーターの特性から、さしたる問題はないと言われています。

ただ、既に慣れ親しんでいるレシプロエンジン特有のねばり感や、ギアレシオ的に低い回転域となる高速域での安定感、信頼感は得難いのではないでしょうか。エンジンブレーキなどもモーターだけの場合は違和感を感じるかもしれません。

結局、トヨタ、ホンダはトータルの商品性からパラレルタイプを採用しているのですが、トヨタはプリウスで近い将来にプラグインタイプのリチウムイオンバッテリー搭載車を追加投入します。これになるとフル充電で40〜50キロくらいEV走行しますから、ボルトと大差なくなるのではないでしょうか。しかも、いざという時の動力性能はレシプロの特性を発揮しますから、コストも含めた総合的商品魅力は高いと思われます。

いずれにせよ、家庭で充電するにしても、電気スタンド(?)で充電するにしても、化石燃料を燃やして作る電気を使っているにも関わらず、その分の燃料消費やCO2排出量を加算しないのはフェアとは言えません。その上でのトータルの経済性、環境対応力を見なければ意味がないのですが、カタログ上の数字だけで判断すれば、失望する事は十分あり得るのではないでしょうか。

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