ワイヤー・トゥー・ワイヤー
初日から一回も首位の座を開け渡す事なく優勝する事をワイヤー・トゥー・ワイヤーといいます。タイガーウッズの十八番ともいえるワイヤー・トゥー・ワイヤーを石川遼が日本ツアーで成し遂げました。ベテラン、ブレンダン・ジョーンズとの最後まで手に汗握る大接戦だったのですが、元服から日も浅い若武者は最終ホールのバーディパットで決着をつけたのです。
190ヤードを超えるバンカーからの第二打を6番アイアンくらいで打ったのでしょうか、石川はピン横2.5メーターにピタリとつけます。ジョーンズは同じバンカーから、これ又見事なまでに、4メーター手前につけ、勝負はパット合戦となりました。この場合、最初に入れた方が有利である事は疑う余地がありません。緊張感がグリーンを支配します。ところがブレンダンは、意外にあっさりと外すのです。
これを見た遼君、さすがに硬くなったのでしょうか、最終パットは少し弱く見えました。届かないと思った瞬間、勝利の女神が一押ししたのでしょう、ボールはホールに消えたのです。その次の瞬間、大歓声と共に、はじける石川遼の姿がありました。緊張の糸が切れ、極度のプレッシャーから解放されたのです。
それにしても堂々の勝ちっぷりです。どうやら日本から世界に羽ばたける逸材が、その隠し様のない天賦の才能を開花させ始めたようです。「今後が楽しみです」なんて陳腐なセリフは、彼には似合いません。驚嘆しながら、ただじっと見守るしかないのですが、17才という年齢を考えると、奇跡としか思えないのです。
自分と比較をするというのも甚だ僭越至極ではありますが、その年代には、彼程の意思力は勿論持ち合わせていなかったし、何をするにしても、それほど高いモチベーションは持ち得なかったと、自信を持って言えます。稀ではありますが、最近の若い子の活躍を見ていると、昔との違いを感じざるを得ないのです。
大人の世界、特に政治の世界で、利権目当てに右往左往している怪しいおじさん、おばさんを見るにつけ、この爽やかさ、けれん味なさには、高い価値を感じます。人間には取り柄も一杯あって、まんざら捨てたものではないと思わせてくれた一日でした。
そうだ人間には、献身的な愛や、今回遼君が見せたように、敵を褒めたり、尊敬するという、動物にはない長所がいっぱいあるのだ。短所ばかり見ていては本質を見失ってしまう。と思われた方、クリックをお願いします。それにつけてもジョーンズがパットを外した時に拍手していた方、恥ずかしいと思って下さいね。
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