どうせやるなら絶対に負けてはいけない(!)
私には韓国人の友人が何人かいます。前にブログで書きましたが、某エンジニアリング会社社長のUさんは、サラリーマン時代に日本駐在歴があり、日本の事には殊の外詳しいのです。特に政治経済に興味があり、時々私が知らない事を言ったりして驚かされます。
戦争や日本統治時代の話は、お互いになるべく避けたいので殆どする事はないのですが、ある日、ひょんな事から日米戦争の話になりました。昔々、日本で言えば江戸時代くらいでしょうか、韓国が、潮の干満が世界一激しいと言われるソウル郊外の入り江での局地戦で、潮が引いて取り残されたアメリカ軍船に勝利したというのです。
私は「それは初耳だ、そんな事があったんですね。日本も太平洋戦争では惜しいところまでいったんですよ」と話すと、即座に「いや〜日本みたいにちっぽけな国がアメリカに勝てる筈がないんだよ」とにべもなく返されてしまったのです。議論する気もなかったので話はそれで終わったのですが、親しい間柄でも微妙な空気感を感じたものでした。
ところで本当にそうだったのかと、自分の中では自問自答する事になります。有利な条件で講和条約に結びつける手だてはなかったのか、特に詳しい訳でもないその辺りを掘り下げて墓穴を掘るのもなんなのですが、あえて仮説を言わせてもらうなら、可能性は十分にあったのではないでしょうか。
歴史とゴルフにタラレバがない事は重々承知していますが、もし、あの時、戦法を変えていたら、あるいは天候が味方すれば日露戦争のように条件付き勝利があり得たのかもしれません。もっとも結果としての現在を考える時、今との比較でもっと日本が有利な立場でいられたかどうかは全く別問題です。そこは難し過ぎるのであえて触れない事にします。
ただ日本の開戦時の思惑通り、早めに日米戦を講和条約に持ち込み、可能かどうかはともかく、戦後わだかまりなく日米協力して共産主義等の脅威に立ち向かっていれば、世界平和にはかなり貢献出来ていた可能性はあるのかもしれません。夢見る夢男君でしょうか(?)
話は戻って、よく言われているように真珠湾攻撃から半年目のミッドウェイ海戦で、海外からも酷評された拙劣な作戦により完敗を喫した事がその後の日本を決定的に追い込んでしまう事になります。米に反撃の時間とモチベーションを与えてしまったのです。その時点で講和条約の芽は消え去りました。
連戦連勝の帝国陸海軍に驕りがなかったかと言えば嘘になるでしょう。既に太平洋での制海空権を握りつつあった日本海軍は、ハワイで逃がした米海軍精鋭空母群、レキシントン、ヨークタウン他を殲滅する為、艦船350隻(空母8隻)航空機1000機、兵員10万名からなる大艦隊を編制してミッドウェイへと向かったのです。
真珠湾攻撃にも参加した赤城、加賀、蒼竜、飛竜、の4空母は戦艦2、巡洋艦4、駆逐艦12その他油槽艦等に囲まれ先頭集団を形成します。3つのグループに分かれた大艦隊は、その時点で世界一の偉容を誇った事は確かなのです。問題の一つは連合艦隊司令長官の山本五十六は旗艦、大和に座乗し、6隻もの戦艦と共に主力空母部隊より遥か後方550キロにいて、指揮に熱心ではなかった事だと言われています。
つまり、臆病なくらい慎重だった山本長官は、先頭を走るべき情報中枢の旗艦を含む戦艦部隊を後方において、果たすべき役割を果たさず、防空、指揮系統に混乱を生じせしめたと言うのです。圧倒的優勢だった連合艦隊は、情報漏洩と索敵に関する不運もあったのでしょうが、艦載爆撃機の待ち伏せにあい、殆ど瞬間的に主力空母4隻を失う壊滅的打撃を受けてしまいます。
主力空母部隊の護衛が不十分であった事、4隻の空母が接近し過ぎていた事、米の大型爆弾による急降下爆撃を過小評価していた事なども敗因として挙げられています。米の空母が皆単独で動いていたのとは大きな差が出ました。結局米の損害はヨークタウン(PHOTO)一隻でしかなかったのです。
もし司令官が優秀で、この戦いに万全を期し順当に勝利していたならば、その時点でほぼ全滅の米海軍は戦意を喪失していた事は想像に難くありません。欧州戦線にも拡大していた米軍は日本との講和条約を急いだ可能性はあったのではないでしょうか。あくまでも仮説ですが。。。
戦争は絶対にしてはいけない事は確かです。しかし、やらざるを得ない状況に陥れられた場合には、絶対に勝たなければならないのですが、この場合もやはり日本人的官僚気質が足を引っ張るんだろうなあ、と思われた方、クリックをお願いします。
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コメント
ぜひ「永遠の0」をお読みいただいて仮説に自信をお持ちください。
投稿: けいしくん | 2009年9月23日 (水) 02時26分
ハルノートが前日までの内容だったら戦争はなかったと思うのですが・・・
投稿: ASO | 2009年9月23日 (水) 08時11分
けいしさん、ASOさんコメント有り難うございます。催促したみたいで恐縮します。
「永遠の0」読んでみたいと思います。
日本の外交は今も昔も最悪です。ハルノートを生真面目に解釈し過ぎました。米の反戦派との協調がとれていれば局面は違ったのでしょうが、マスコミが煽り過ぎた事も今と変わらないようです。
投稿: 田中 徹 | 2009年9月23日 (水) 12時25分