ついにアメリカの戦いが始まった(?)
12日にワシントンで100万人規模の保守派による反政府デモ(PHOTO)
がありました。オバマさんのメッキが剥がれて来たのかもしれません。外交に無関心で、常に金融業界の方しか向かず、国民が置き去りにされている事への不満が爆発した形です。多くのアメリカ人は自分達のおかれている立場が分かって来たのではないでしょうか。
ところで、これ程大きな出来事でも日本のメディアでは一切扱われませんが、先日ロックフェラー社のマクドナルドCEO(社長)が自分の車の中でピストル自殺した事件も殆ど報道されていないのです。デモとの関係も全くないとは言いきれない、歴史的変遷期にあるアメリカの重大なニュースがスルーされている意味を考える必要があるのかも知れません。
先日も当ブログで書きましたように、アメリカは今後気が遠くなる程長い期間バランスシート不況を経験する事になります。今まで世界経済を牽引していたバブル資金は雲散霧消しました。
代わりに借金のみが残り、新たな大型耐久消費財の購入や企業の設備投資は冷え込みます。それをカバーするのは国債発行による財政出動しかないのですが、これも日本や中国始め海外が当てに出来なくなりつつあるのです。
仕方なくFRBが買い取る、いわゆるヘリコプターマネーで資金調達するしかないのですが、それには当然限界があります。9月末とも10月とも言われているFRBによる国債買入の法的限界が来た時に、法改正までして、それを継続するのか、あるいはデフォルト宣言するのか、日本以外の世界中が固唾を飲んで見つめているのです。
なぜこういう事が基軸通貨を持つ世界一の経済大国で起きたのか未だに納得出来ません。仕組まれたものとして考える他、理解しようがないのですが、そんな事が本当にあり得るのでしょうか(?)
アメリカがITバブル崩壊後の経済の牽引役に、法改正までして金融を選んだ時点から間違いは始まりました。代償として、元々あった個人間経済格差を致命的な程大きなものにしてしまいます。その結果、富の偏在が顕著になり、必然的に消費が停滞する事になります。
それを補ったのがサブプライムローンでおなじみの不動産バブルです。含み資産を担保に借金に走り、世界からものを大量に買いました。その資金貸付を始めからリスキーものと見なしていた金融は、リスクヘッジの為、デリバティブ金融商品を売りまくったのです。結果はご存知の通りです。全体の金融的ボリュームを考えれば矛盾は自明の理であったにもかかわらず、アメリカ中が同じ道を走りました。
翻って、日本の場合は幸か不幸か金融業界はそこまで冒険をしていません。従って打撃を受けるのは決して日本経済への依存度が高くはない輸出産業だけの筈なのですが、停滞ぶりは半端ではないのです。なぜなのでしょうか。
心理的なものによる冷え込み以外にも、進行しつつあった問題は確実にあると思われます。一つは、富の偏在がアメリカ程ではないにしても、かなり顕著になっているのではないでしょうか。高度成長時代に比べて所得格差が大きくなっているのは確かです。その証拠に個々の家庭では決して大きくない金融資産が、日本全体では1400兆円を超えているのです。一人当たり1080万円という計算になります。
預貯金だけも800兆円ですが、普通の4人家族の家庭で2500万円もの預貯金は考えられません。やはり富が一部に集中していると考えなければ説明がつかないのです。その結果として通貨循環の速度が以前より悪くなっているのは確かなのではないでしょうか。つまり、人口減少問題を除いたとしても、明らかに中産階級の収入が減り購買力が落ちているのです。
これは個々の企業の問題と言うよりも金利政策や課税方法などによる財政政策的な問題に起因すると考えるのが妥当ではないでしょうか。結果として労働分配率が落ちて、日本型一億総中産階級システムが瓦解していきます。
さらにバブル処理が終わった後の財政処置が拍車をかけました。小泉政権は財政再建策を打ち出し、経済成長にストップをかけてしまったのです。医療、福祉がなおざりにされ、将来不安から増々消費は落ち込みます。
それでも未だ余力のある日本経済を成長軌道に乗せる事は難しい事ではありません。その気になれば世界を牽引する事だって不可能ではないのです。全ては政策次第なのですが、民主党の、魑魅魍魎の巣窟とさえ言える内閣人事を見ても、全て逆の方向に進もうとしているのが気がかりです。
ついつい日本が気になり横道にそれましたが、アメリカで今後起きてくる事を見れば、これまでの不可解なストーリーの謎が解けるのではないでしょうか。目覚めた一般市民の革命とでも言うべき改革劇が首尾よく成就する事を祈らざるを得ません。
何だかんだ言ってもアメリカがまともなり、強大な政治経済力で世界を牽引してくれる事が世界にとっては平和だし、日本も安心出来ると思われた方、クリックをお願いします。
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コメント
ホイールインモーターの記事を検索中、ここを知りました。
深い洞察力に感銘いたしました。
どうぞよろしくお願い致します。(* ̄ー ̄*)
>12日の反政府デモ、先日ロックフェラー社のマクドナルドCEOピストル自殺事件等、米国のニュースがあまり報道されてないようですね。
わたしも同感です。恐らくこの混乱期ですすで、日本のメディアも自分の尻に火がついて、それどこではないのでしょう。
>全ては政策次第なのですが、民主党の、魑魅魍魎の巣窟とさえ言える内閣人事を見ても、全て逆の方向に進もうとしているのが気がかりです。
公約の国民に目を向けた政策(出産、子供、高校、老人医療等)は、自民党の企業向けの景気対策より有効と思われますが?
またその財源は主に従来の特別会計(約100~200兆円)等からムダを探し、それに当てるということで良いことではないでしょうか。
もう少しの間(ハネームーン100日)は暖かく見守ってあげたいです。(* ̄ー ̄*)
投稿: EV三男 | 2009年9月30日 (水) 17時44分
EV三男さん、有り難うございます。
民主党には日本の未来に対する明確なビジョンがあるとは思えません。
東アジア経済圏構想や外国人参政権等、中国や韓国に対していい顔をする事しか眼中にないようです。
二番底が確実視されている今、国内向けの経済対策が急務ですが、GDPの枠内で資金をいくら動かしても成長は望めません。
さらにCO2 25%削減に至っては言語道断です。今やるべき政策とはとても思えないのです。
100日以内に日本は大変な方向に向かってしまうでしょう。
投稿: 田中 徹 | 2009年10月 1日 (木) 21時36分