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2009年9月30日 (水)

日本の黒字は他国の赤字

最近のテレビを見ていて、経済コメンテーター諸氏の、貿易に関する「日本は貿易立国だから外需が減ったら大変だ」的な言い方はやや減って来た嫌いはある様に感じられます。数字を見れば明らかなのだから、当然と言えば当然です。

ところが貿易に関する基本的な事を理解しているのかと言えば決してそんな事はありません。貿易の額は大きければ大きい程良しとする風潮があるのです。さらに黒字幅が大きい程国が栄えると近視眼的に信じ込んでいるのは日本人の共通認識とさえ言えます。

先日もある報道系TV番組で、コメンテーターが日本の優秀な商品を紹介しながら、未だ未だ日本には輸出を増やす余地があるのだと得意げに言っていました。日本の将来の為にはFTA(自由貿易協定)も不可欠だという認識です。井の中の蛙、大海を知らず(PHOTO)でしょうか。
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いや、私は日本の商品が優秀でないといっているのではありません。むしろその逆です。優秀過ぎるくらい優秀である事は世界が認める間違いのない事実ではないでしょうか。だからこそ問題なのです。

例えば世界の貿易額を輸出入トータルで仮に1000兆円とします。この場合実際に動くお金は500兆円です。誰かが500兆円物を買うという事は、誰かが500兆円分のものを売っているからです。このバランスは変え様がありません。

仮定の話ですが、日本製品が優秀で競争の結果、全ての輸出を日本が独占したとします。実際にはあり得ませんが、あくまでも仮の話です。即ち500兆円分の商品を10の国に均等に売ったとして、買った国は50兆円づつ支払わなければなりません。

ではそのお金はどこから出るのでしょうか。ドルで決済するとして50兆円分のドルを工面するのは大変です。借金すればいいかも知れませんが、それでは長くは続きません。従って貿易は成り立たなくなり、日本は輸出先を失う事になるのです。

貿易をどうしても続けたいというのであれば、例えば日本が250兆円輸出して250兆円輸入すれば問題ありません。相手国が10あるとすれば25兆円づつものを売り、その相手国から25兆円ものを買えばいいのです。世界は平和で丸く収まる事受け合いです。FTAの基本精神もそのあたりにあるのでしょう。但し、国としては儲かりません。

それでは面白くないので、ちょっと強欲になり、200兆円しか輸入しないのに300兆円輸出して100兆円儲けようとした、とします。そのつけはどこにいくのでしょうか(?)相手国は20兆円しか買ってもらえないのに30兆円分支払う事になります。これが続けば毎年10兆円の貿易赤字を計上する事になるのです。

相手国の経済が拡大基調にあるのであれば、成立するのかも知れませんが、上前をはねている感は拭えません。今回のように世界的不況になればなおさらです。特定国だけが集中的に利益を享受する事は道義的にも問題があるのではないでしょうか。

結局短期的にメリットがあっても長期的にはデメリットになりかねない貿易での一人勝ちはあり得ません。これまで中国や日本が儲ける事が出来たのはアメリカがその赤字を一手に引き受けていたからです。その借金体質が崩壊した今、根本的に考え方を変えるしかないのですが、いつまでも貿易で儲けようとしている、危ない人達が多い事に危機感を感じざるを得ません。

貿易黒字は発展途上国の場合、ある程度容認されるべきです。しかしながらノーブレスオブリッジを率先すべき先進国のメンタリティが途上国と同じというのではお寒い限りです。件のコメンテーターも日本の一人勝ちを助長しかねないFTAは、危険なツールである事を認識すべきではないでしょうか。

もっとも日本相手にFTAを締結したいと思う国がどれほどあるのか大いに疑問です。世界から嫌われ、結局市場を無くしてしまいかねない身勝手で危険な拡大再生産的思考から、いい加減に卒業すべきだと思われた方、クリックをお願いします。

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