« 超先進国型経済モデルへのパラダイムシフト(2) | トップページ | なぜか日本の景気には興味がない民主党 »

2009年9月 2日 (水)

衰退する東京モーターショー

今年も秋に東京モーターショーが幕張メッセで開催されます。一時は世界同時不況から開催そのものが危ぶまれましたが、何とか関係者の努力もあって開催にだけはこぎ着けたようです。昔は200万人以上も集めていたマンモスショーが、年々来場者が減り、今年の状況などを見ると隔世の感があります。私など自動車関係の人間にとっては寂しい限りです。
071102smz_01
ところで今回は日本メーカー以外では現代自動車を除いて、欧米主要メーカーは早々と不参加の意思表示をしていました。春の上海モーターショーはあれ程活況だったにも関わらずです。どういう事でしょうか。日本は中国市場の魅力の前に、かすんでしまったのかも知れません。

一方出展表明の現代自動車は日本に進出してから10年近くにもなりますが、2004年に2500台販売して以来ジリ貧で、昨年は500台まで落ち込んでいました。今年に入って7月は何と15台としか売れず、商売としては大赤字ではないでしょうか。

それでも現代自が東京MSにこだわるのは、会長が日本のマーケットを高く評価しているからだと言います。日本で売る事が出来れば世界に通用するという考え方を持っているのです。ただ目論見としては上陸当初、在日朝鮮人を中心にもっと売れると踏んでいたようですが、なぜか彼らには見向きもされませんでした。その点だけは誤算と言えます。

その現代自と違って欧米メーカーは日本に見切りをつけつつあるようです。何十年も日本で販売を続けて来ましたが、欧米並み、30〜50%もの輸入車シェアを獲得する事は出来ませんでした。日本市場の輸入車はせいぜい25〜30万台/年どまりで、シェアにすれば5〜6%でしかないのです。

この原因は色々言われていますが、まずインポーターの姿勢に問題があったかも知れません。やたらプレミアム感を煽り、高い価格設定を続けて来ました。日本車のレベルが欧州車に及ばない時代には、それでもいい商売になりましたが、最近のように、むしろ日本車にプレミアム感が出て来ては、方針を変更しない限り量をさばくのは難しいのです。

私の知り合いも、憧れのベンツを買ってはみたものの、性能的にも装備的にも納得が得られず、一台だけで日本車に戻った例があります。余程のマニアでない限り、ベンツ、BM等の欧州車と言えども見栄車に過ぎないというのが、偽らざるところかも知れません。

日本車の場合、今や300〜400万円も出せば、素晴らしい性能、装備の車が手に入ります。合理的な日本人でなくとも、日本車を選ぶ理由は十分です。メンテナンスの点でも申し分のない日本車が世界を席巻するのは仕方のない事ではないでしょうか。

従って、欧米メーカーにとって勝負が厳しい日本のマーケットより、中国のマーケットが魅力的に見えるのは当然の事なのです。2006年時点での保有台数3600万台は日本の半分以下、現時点でも3000万台くらいの差があります。

日本との人口比が約10倍で、一人当たりのGDPが14分の一ですから、今後未だ未だ伸びる余地があるのは疑う余地がありません。今年の販売台数はアメリカが落ち目の今、世界一の1100万台に達します。日本市場の倍にもなる訳です。しかも満足な国産が育っていませんから、現地生産を含めて海外メーカーには凄いチャンスがあるのです。中国は宝の山にしか見えないのではないでしょうか。

どう考えても、省エネ、エコ先進国で繊細すぎる日本より、環境より見栄を優先するラフ〜い中国で勝負する方が、欧米メーカーには勝機があると思われた方、クリックをお願いします。

|

« 超先進国型経済モデルへのパラダイムシフト(2) | トップページ | なぜか日本の景気には興味がない民主党 »

自動車」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 超先進国型経済モデルへのパラダイムシフト(2) | トップページ | なぜか日本の景気には興味がない民主党 »