公共投資でピラミッドを造っても経済効果はあるのか(?)
先日ある人が、景気対策としての公共事業は太古の昔から行われて来たと言っていました。例えばピラミッドを作る事により、沢山の雇用が生まれ、経済が発展するのだそうです。またある人は、穴を掘って、それを埋めるだけでも経済効果があるとケインズが言っていたと言うのです。
現在もケインジアン(ケインズ派)と言われる人は意外に多く、昔から公共事業好きの宮沢元総理始め自民党などは財政出動してせっせと箱もの工事をやってきました。そのケインズの、オリジナル理論はともかくとして、現代にピラミッド造りが経済効果として、どの程度有効なのでしょうか。素人で恐縮ですが私なりに考えてみました。
例えば人口300人のデフレでもインフレでもない国があって100人が失業しているとします。200人の収入が一人500万円として10億円です。貯蓄率がゼロの場合、GDPは10億円という事になります。その国の政府が失業対策として収入のある人から20%の税金を取り、100人にピラミッド建設という仕事を与えたとしましょう。この場合富の再分配という形で失業者以外は少しづつ損をしますが、皆が何とか食べていけるのです。GDP的には成長はありません。
では税金から失業者への給料を出すのではなく、2億円の国債を刷って財源とした場合はどうでしょう。GDPは12億円になり名目的には成長しますが、ものとサービスが増えている訳ではないのでインフレとなり、単純計算で物価が20%上がる事になります。従って実質成長率はゼロにしかなりません。借金(財政赤字)が重くのしかかります。
それではピラミッドではなく、何か価値ある、例えばエネルギーでも娯楽でもいいのですが、皆が欲しがる2億円分のものを作った場合はどうでしょうか。この場合のGDP12億円は物価上昇がないので実質GDPになります。乗数効果を1としても何と経済成長は20%という事になるという訳です。個人の収入は伸びませんが、消費のバリエーションが増えます。少しハッピーです。
それでも、2億円の債務が残り将来的にはその分マイナスになるから同じじゃないかと言われるかも知れません。しかし主に国内の金融機関から資金調達しているのであれば返済しなくてもいいのではないでしょうか。帳簿上、数字が動いているだけという解釈でいいような気がします。公共投資で作り出した価値が普遍的で継続性があるならば、その国債をお金に置き換えたっていいのです。(中央銀行が買いオペする事)
さらに民間が、借入等によって設備投資による効率アップ、あるいは商品とサービスの量を増やす事による、売上アップを達成すればさらに経済は成長し、税収も増え、国債の償還も進みます。あるいは国が2億円の出資で3億円分のもの(価値)を作り出すなどすれば、増々経済成長する事は明らかです。
自民党(主に小泉政権)はバブル処理の後、間違った緊縮財政という経済政策を実施、ピラミッドさえ作らなかったからデフレは進んでも経済成長しなかったのですが、民主党の政策は昔計画されていたピラミッド工事を中止して(財政出動を止めて)新たな価値の創造(CO2 25%削減問題等)を増税や民間の支出でやろうとしているのが、根本的に大問題なのではないでしょうか。
日本の場合、ケインズやスティグリッツも言及していたセーニアリッジ政策(政府紙幣発行)という奥の手があるのに、積極推進派であった高橋教授が、あり得ないような置き引き容疑で逮捕されたりするのはいかにも不自然だ、と思われた方、クリックをお願いします。
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