日本人は遠回りと打たれる事が好きなマゾ民族か(?)
前に当ブログで、バブルや不況は作られているという話をしましたが、日銀の白川総裁を見ていると私の考えが限りなく正しいと思えて来るのです。日本のバブル崩壊以降、世界に目を転じても911からサブプライムローンのバブル崩壊、その後の金融危機を見て、とてもじゃないけど自然に発生したものとは思えないのです。
資本主義が、かくも脆弱なファンダメンタルスの上に成り立っているのであれば、共産主義の方がまだましかも知れません。いえ、資本主義をコントロールすべき政府と中央銀行が世界規模で協調し、しかるべき手を打てば、ここまでの金融危機は起こり様がないと思うのですが、頭のいい人達が金融政策をいつも間違えるのは、いかにも不自然ではないでしょうか。
先日菅直人副総理がどういう風の吹き回しか唐突にデフレ宣言しました。続いて今更ながら日銀も渋々認めたようです。この20年は一体何だったのでしょうか。デフレーターの数字(上の表)をどう見ていたのか、頭かち割って覗いてみたいくらいです。管さんの場合は日頃の言動から言っている事の本当の意味が分かっているとは思えません。
民主党に、まともな経済対策を期待する方が無理というものでしょうが、日銀がそれでは困るのです。1990年、日本はバブル崩壊以降、資産デフレ下のバランスシート不況が10年以上も続き、民間は投資を控えて来ました。その皺寄せは国民生活に及び、給料は目減りして行ったのです。
その間、有り余る供給力は海外に向かうしかなく、輸出企業の業績はうなぎ上りでした。さらに貿易摩擦を避ける為に海外への投資は拡大し、ものとサービスの海外売上は年間200兆円にも達します。ところが二重課税を恐れて企業は利益の還元を国内にはしません。内部留保がいたずらに積み上がりますが、不景気な国内市場だけの売上では当然給料が上がる事はないのです。国内空洞化が進みます。
ジリ貧のデフレスパイラルに陥っても仕方がないところ、なぜか日本経済は最悪の事態には陥りません。民間の国内への投資意欲不足を埋める為に自民党政権は一時期を除いて細々と財政支出を続けて来たからです。それがなかったらと思うとゾッとするのですが、その結果として財政赤字は積み上がらざるを得ません。それは欧米や中国と違い真面目に国債を発行して公共投資資金を調達して来た証でもあります。
財務省や日銀はその巨大に膨れ上がった数字だけを捉えて反日マスコミとタッグを組み日本経済破綻説を喧伝します。消費税アップから来る利権拡大が狙いなのでしょうか。日銀に関しては常にインフレ圧力を吹聴し、長期金利の上昇を懸念する発言を繰り返しますが、世界一低い1.5%にもならない長期金利が上昇する気配は微塵も見えないのです。
なぜでしょうか。一つには1400兆円以上もある個人金融資産が魅力的な金融商品を選択出来ない問題があります。株やデリバティブではリスクが高すぎるし、かと言って銀行預金では低金利過ぎ、さらにペイオフのリスクが付きまといます。それから見れば日本国債は元本保証ですから、日本国が消滅しない限りリスクがないのです。
従って、政府系機関投資家や民間の機関投資家、さらには個人までもがせっせと借り換えに応じ、国債購入に向かいますから長期金利が上がる要素なんてないのです。上がったところで利子税が入るし、国の金融資産も同時に増える事になりますから悪い事ばかりではありません。あの天文学的借金漬けのアメリカでさえ4%以下であるという事を考えれば、少々の金利上昇を恐れる事など何もないのです。
さらに国と民間トータルのバランスシートを見ても240兆円もの黒字で、貿易と所得収支による経常収支は常に巨額黒字を続けています。従って世界一の債権国が米のような超債務超過国になる事だって考え難いのです。
もっとも課税方法には確かに問題はあります。献金の誘惑から無価値産業への課税を怠って来たツケは軽くありません。外貨準備高も必要以上に膨らんでいます。アメリカ始め諸外国からいいように、たかられたり収奪されたりした事もハンデになっているでしょう。
それでも、それらを跳ね返すだけの底力を日本の経済は持っていると、私は自動車業界に30年以上いて、実感として感じています。世界最強の技術力、商品開発力、生産力、供給力を持つ国が、不良債権処理が終わった今、デフレ不況に甘んじる必要などさらさらないのです。
有り体に言うならば、海外投資分くらいの富を、ベースマネーを増やす形で国内に供給しても、何の問題も起きないのではないかという事です。確か以前に内閣府は30兆円くらいのデフレギャップは認めていました。
思い切り低めに見積もってその数字です。今ではその数倍から10倍くらいあるのかも知れません。試しに2〜3年の間に300兆円くらい円を刷ってみたらどうでしょうか。
世界で円の流通量が国力の割には多くない事を見ても、円高対策にも貢献する筈です(下の表)。形としては勝間女史が言うような国債の日銀買い取りでも、政府紙幣発行でも、どちらでもいいのではないでしょうか。国の負債、国民の資産という形であれば問題ないのです。
その場合、バブルを醸成するような単なる量的金融緩和とならないように、また利権構造を生む無駄な公共投資をしないよう、どこにどういう形で資金供給するのかは熟考する必要がありますが、その程度の資金規模では恐らくインフレにさえならないのではないでしょうか。
その結果として増えた需要に対する供給に関しては、日本の場合の対応力は折り紙付きです。なりっこないけど例えインフレになりそうならその時点で、資金供給を絞ればいいだけの話です。実に単純な話ではないでしょうか。
それくらいのイメージすら出来ず、世界で唯一と言える日本の特権を試してみる事さえしないと言うのであれば、国と日銀は日本を破綻させる為に動いていると考えざるを得ません。恐らくどこかの国から脅されているか、日本人でないかのいずれかです。我々日本人は騙されてはいけません。日本は本当は凄い国なんです。
売国勢力を一掃し、軍事力さえ整備すれば、それが結局は世界の為にもなるのですが、反日偏向マスコミのせいで国民の選択が大きく間違ってしまった今となっては、修復するにしても、かなりの時間を要するのではないでしょうか。
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コメント
こんにちはEV三男です。
>日本人は遠回りと打たれる事が好きなマゾ民族か(?)
全く同感です。
確かに、今までの世界の体制は、制度疲労を起こしている末期症状ですね。
その様な旧体制は、もうそろそろ終わりでしょう。
今年は偶然にも、オバマ大統領、民主党の鳩山首相に替りましたので、これからの20年であらゆる意味で完璧に替るのではないでしょうか。徳川幕府も、明治維新も20年かかりました。
ことわざ通り、急がば回れ ですね。
>資本主義が、かくも脆弱なファンダメンタルスの上に成り立っているのであれば、共産主義の方がまだましかも知れません。いえ、資本主義をコントロールすべき政府と中央銀行が世界規模で協調し、しかるべき手を打てば、ここまでの金融危機は起こり様がないと思うのですが、頭のいい人達が金融政策をいつも間違えるのは、いかにも不自然ではないでしょうか。
これも同感です。
これは政治思想の共産主義だはなく、経済体制の共産主義を意味していると思われますが、
そうだとしますと、これの解決手段は税制改革が必要かと思われます。
毎年の所得の公平化は累進税制の強化で是正され、国民1人当たりの所得は約385万円になります。
戦後60年累積した財産の格差の是正は、戦後の農地改革のような改革が必要でしょう。
国民1人当たりの金融財産は、大変ラフな計算ですが約1200万円になります。
しかし財産の公平化に関しては、遺産の相続税の強化でも可能ですが、
平均寿命が延びておりますので、是正完了まで数十年の年月がかかりそうです。
現在の政治、経済の体制は目的と手段を取り違えているところが多々あると思います。
共産党と言うとレーニン、スターリン、独裁ではポルポト政権、ヒトラー、ファシズムのムッソリーニなど恐怖政治を思い出させますが、それらの政権、体制は、途中から最初の目的を忘れて、全てその体制維持が目的になってしまった為と思われます。
米国、英国の二大政党制、日本(55年体制成立以降2009年まで)の一党優位政党制も、分極的多党制に近いもので、実質的に一党制やヘゲモニー政党制になります。
>先日菅直人副総理がどういう風の吹き回しか唐突にデフレ宣言しました。続いて今更ながら日銀も渋々認めたようです。この20年は一体何だったのでしょうか。デフレーターの数字(上の表)をどう見ていたのか、頭かち割って覗いてみたいくらいです。管さんの場合は日頃の言動から言っている事の本当の意味が分かっているとは思えません。
本当に、この20年は一体何だったのでしょうか。
管さんの責任ではなく、
少なくとも、この20年間を政権担当してきた自民党の責任ですね。
おまけに、おき土産を約800兆円も残してくれました。
然しながら、管さんは一筋縄ではないですから、本当に期待したいところです。
>民主党に、まともな経済対策を期待する方が無理というものでしょうが、日銀がそれでは困るのです。1990年、日本はバブル崩壊以降、資産デフレ下のバランスシート不況が10年以上も続き、民間は投資を控えて来ました。その皺寄せは国民生活に及び、給料は目減りして行ったのです。
これも民主党の責任ではないですね。
まだ、政権交替後1年も経過していませんので暖かく見守りましょう。
寧ろ、約800兆円の赤字を作った自民党の責任を問うべきです。
こうなったら民主党には、マニュフェストを確実に実施して貰いたいですね。
また、来年6月に参議院選挙がありますので、野党の自民党にも期待したいところです。
累進課税の強化、これをマニュフェストに取り入れた政党が受け入れられるしょう。
民主党はそうするでしょうが、
自民党にも、そうそることが出来るので、一発逆転のチャンスが有りうると思います。
因みに、大変ラフな計算ですが、
累進税制の税率を強化し、最高税率を1974年の田中首相時代の75.0% に戻すと、
税収が50兆円ぐらい増えるでしょう
今までの所得税の最高税率の推移
最高税率 名目GDP 一般会計税収
1974年 75.0% 田中 72兆円 ??
1986年 70.0% 中曽根
1987年 60.0% 中曽根
1989年 50.0% 海部 408兆円 55兆円
1999年 37.0% 小渕 440兆円 60兆円
2007年 40.0% 安部 515兆円 51兆円
2008年 40.0% 福田 507兆円 44兆円
2009年 40.0% 麻生 ???兆円 38兆円
↓
2010年 75.0% 鳩山 500兆円 88兆円
現在は税率(2007年からの所得税率) ⇒ (2010年 最高税率 75.0% 鳩山)
195万円以下 5%
195万円超 10%
330 〃 20%
695 〃 23% => 30%
900 〃 33% => 50%
1800 〃 40% => 75%
大変参考になる視点でした。
有り難うございます。
長文/乱文、大変失礼致しました。
投稿: EV三男 | 2009年11月24日 (火) 23時36分