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2009年11月30日 (月)

日本は資源のない貿易立国であるという固定概念

日本は資源がないから資源を輸入して高い技術力で加工する、それを輸出して外貨を稼ぐ貿易立国だ、という呪縛とさえ思える古臭い固定概念に凝り固まっている人が今でも多く、メディアで訳知り顔に言うのは困ったものです。

それをベースに物事を考えると確かに円安の方がいいのかもしれません。しかしながら戦後間もない頃ならともかく、現在に至っても本当にそうなのでしょうか(?)統計(経常収支)で見ると、日本は純輸出がせいぜいGDP比1%台で、貿易立国とは言い難く、方や所得収支は月にコンスタントに一兆円以上も黒字ですから、むしろ投資立国と言えるのです。

日本の輸出産業が、これまでに何回か訪れたニクソンショックのような急激な円高や、一人勝ちしてしまう貿易摩擦を避けるために海外に投資して、自動車などは全生産量の半分以上を生産している事実などは意外に認識されていません。

今回もドバイ発の金融危機で急激な円高に見舞われ大騒ぎしていますが、円が買われるのは相対的に国力がある証拠ではないでしょうか。自動車の例ばかりで恐縮ですが、全生産量の4分の1でしかない輸出は競争力が抜群なハイブリッドカーなど高付加価値車を除き、不況で余力のある現地生産分へシフトすればいいだけの話なのです。

スズキやホンダのように、現地生産車の逆輸入等による国際企業としてのアドバンテージをいかんなく発揮して黒字を出しているメーカーが現実に存在する訳です。何回も言うようですが、日本にとって相対的価値を上げる円高そのものは深刻な問題とは思えません。

それよりもっとメリットを強調し、明るいニュースとして報道する方がよっぽど経済にいい結果をもたらすのではないでしょうか。阿呆な学者と偏向マスコミの言う事を鵜呑みにしてはいけないのです。

更に殆どの人が二言目には言う、日本は資源のない国というのも大いに引っかかります。実際にないとは思えないからです。人的資源が凄いなどとケムにまく気はありませんよ。まず森林資源や水は生物にとって必要不可欠なものですが、幸い日本の降水量は先進国の中では際立って多く、良質な地下水も豊富です。その為にダムなどの貯水量は欧米に比べて10分の1に過ぎないと言われています。

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さらに四方を海に囲まれた島国最大の長所である海洋資源に目を向けて、魚介類は勿論、海底に眠る天然ガス、メタンハイドレート、石油、金、銀、銅等の鉱物資源は国連に申請中の大陸棚延伸(図参照)を含まずともEEZ(排他的経済水域)だけで莫大な埋蔵量があるという事が近年確認されているのです。

クリーンエネルギー関連で言っても、風力発電に必要な風力は海上に有り余る程あり、電気自動車に必須であるレアメタルのリチウムも海水に無尽蔵に含まれていると言います。このように今現在有効利用されていないだけの話で、資源がない国という表現は全く的外れと言わざるを得ません。

従ってその気になれば殆ど輸入に頼る事のない、持続可能な自給自足経済体制の構築が可能になります。食料だって、海外が安いから買っているだけで、潜在供給力がない訳ではないのです。言われているような危機的状況では決してありません。

一寸先は闇の時代に、海外からの影響を受け難い体制に早く持っていった方が、安全保障上も絶対にメリットがある筈ですが、こういう話をすると必ず内向きという批判が出るようです。いかがわしい海外の国や機関には戦前も戦後も十分懲りた筈だ、内向きで何が悪いのだろう、と思われた方、クリックをお願いします。

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コメント

初めてブログを拝見させて頂きました。私もそう思います。見方を少し変えてみて、実際に国内にある資源をもっと有効に活用できるように開発して海外への資源依存を少しずつでも減らしていきまずは自国の足元をしっかり固める事ができれば石油等の資源が高騰しても過去の歴史の様に大国に振り回される事などなく小国であっても自国の基本的なスタンスを湾曲させずに国際社会に主張できる様になるのではないかと思います。

投稿: りょう | 2009年11月30日 (月) 23時36分

りょうさん、賛同いただいて有り難うございます。
ところが現状は残念ながら、鳩山さんは尖閣諸島の東シナ海を友愛の海にしようなどと意味不明の事を言っているようでは見通しが暗いです。

投稿: 田中 徹 | 2009年12月 1日 (火) 13時16分

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