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2009年12月23日 (水)

合成の誤謬

合成の誤謬(ごうせいのごびゅう、fallacy of composition)とは、ミクロの視点では正しいことでも、それが合成されたマクロ(集計量)の世界では、かならずしも意図しない結果が生じることを指す経済学の用語。(by Wikipedia)

経済物を読んでいると盛んに出て来るフレーズです。この他にも色々難しい表現はあるのですが、もう少し分かり易くしてもらうと助かります。基本的に経済用語は難解過ぎるのではないでしょうか。

ところで、先日のWBS(TV東京 ワールドビジネスサテライト)であまり賢明とは言えないアンケートをやっていました。デフレとインフレどちらがいいかという選択です。引退した年金生活者はデフレを選び、働いている若者はインフレを選びます。最終結果はインフレ派がやや多いように見えました。

デフレ不況が叫ばれている今としては、至極当然な街角アンケート結果ではないでしょうか。特に意外性はなく、アンケートを取る意味は甚だ希薄ではあります。人によって答えが180°違う事と、基本的に過度なデフレ、インフレは良くないに決っているからです。

翌日、経済学者N.I さんのブログを見ると、この問題を扱っていました。同番組を見ているようです。N.Iさんはデフレを選んだ人が正解だと言っています。物価が下がり、生活が安定するデフレが国民生活にはメリットがあるという訳です。意外な展開に、緩やかなインフレがベストであると信じ込んでいた私の頭の中は疑問符が駆け巡ります。軽く混乱状態に陥らざるを得ません。

アンケートと同日、日銀きっての理論派と言われる日銀総裁の白川さんがWBSに出演して、日本経済の現状分析と対策について話していました。白川さんの基本的見解は、当ブログでも少し前に国側の認識の問題として書きましたが、日本には需要(ものサービスの購入に対するニーズ、モチベーション)がないと言うのです。

従って問題は供給側にあり、規制緩和や構造改革を進めなければならない、また企業は効率アップの為に、人減らしを含めたリストラを進めるのが本筋だと思っているようです。予想通りの展開です。政治家や役人の大勢をこの考え方が占めているようです。

日本経済が良くならない理由が、大変僭越ながら、このお二人の見解に象徴されているように思います。デフレがいいという意見は、あまり聞いた事がないので、勇気ある発言だとは思いますが、どう考えても無理があるのではないでしょうか。

確かにローンを払い終えた年金生活者には実質的なメリットがあるのは間違いない事です。しかしマジョリティであるローンを払いながら働いている人にとっては、デメリットしかありません。N.I さんはインフレを良しとする若い人の考えは間違っていると断じています。実質所得と名目所得を取り違えているというのです。

給料が下がっても対消費コストがもっと下がれば問題ないと言いたいのでしょうか。自らがミクロ理論のレトリックに陥っている事に気がついていないようです。指数を出してデフレも今くらいなら問題ないと続けますが、数字にはタイムラグだってあるのです。現場を知らない机上論の限界と言うにしても、答えの導き方が安易過ぎるのではないでしょうか。

平時ならまだしも、世界同時不況で喘いでいる時に、パイが縮小するデフレ容認はあり得ません。GDPを下げたのでは財政赤字のGDP比率も上がる事になり、政府の打つ財政政策に制限を加えてしまいます。そもそもそういう前提では世の中動いていません。

さらに世界の成長から取り残される事になります。為替レートが上がればその限りでないと言われるかも知れませんが、設備投資せずに技術革新はないので、日本製品の価値が上がり続ける事は理論上あり得ないのです。

白川さんも金融緩和策での円キャリー批判もあり、効果の程は今一と言わざるを得ませんが、日銀として出来る事は精一杯やっているように見えます。従って、それ自体に文句を言うつもりはありませんが、その元になる考え方は疑問です。供給側の生産効率は既に限界まで上がっています。乾いた雑巾をさらに絞れと言うならば、下請けいじめしかないのです。しかしマクロで見た場合、それは経済縮小を意味するのではないでしょうか。民主党の考え方と同じです。

N.I さんの見解も個人単位で見ればデフレがいいのかも知れませんが、マクロで見た場合は、やはりパイの縮小にしかなりません。円高による為替差益と勘違いしているのでしょうか(?)ところがデフレが進み、海外からの輸入が増えれば増える程、今度は円安に振れ、低賃金の中での物価高になります。結果として内需拡大が叫ばれている現状の問題解決にならないのは明らかです。

正に、こういうのを合成の誤謬というのではないでしょうか。プロに対して言い過ぎかも知れませんが、私にはそうとしか思えないのです。どう考えても日本経済の現状と実力を把握していない政府始め、関係者に翻弄される我々は、不幸と言うしかないと思われた方、クリックをお願いします。

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