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2009年12月 7日 (月)

狼少年

12月5日付、ネットの産經ニュースで「日本の未来を考える」「狼は必ず来る」という東大大学院教授の記事を、テーマに興味を持ち、思わず読んでしまいました。

私も地震問題では狼少年になってしまい、立場がないのですが、地震の場合の狼は本当にいるのでたちが悪いのです。何と言っても備えあれば憂いなしです。

横道にそれましたが、産經新聞は、どちらかと言えば新聞の中では一番まともな部類だと思っていたのに、ネットは別なのでしょうか。少なくとも経済に関しては、重大な問題があるようです。

内容は日本の財政問題に関するもので、「以前(十数年前?)から日本は財政破綻すると言われて久しいが一向にする気配がない、まるで言っている人は狼少年のように思われてしまう、しかし、狼は必ずやって来る」というものです。

私もしつこい性格なので繰り返しこの問題に触れますが、こんな低レベルの話を多くのメディアや、エコノミスト、学者までが、ずっと言い続けているのは本当にいい加減にして欲しいのです。時間の無駄です。

この人達には肝心な大前提が抜けています。まず第一に日本国債は円建てしかないという前提です。6%ちょっとを海外から購入されていますが、円建てであればデフォルトのしようがありません。いざとなれば円を刷って渡せばいいだけです。

これがドル建てならば当然話は違ってきます。いつぞやの韓国のように外貨が無くなってしまえば外貨建て債務の償還が出来ずデフォルト(破綻)してしまうのです。その結果IMF主導で大緊縮財政をやらされ、酷い目にあいました。

第二に、国も金融資産を持っているという事実が抜けています。物事は全てプラスマイナスで考えなければなりません。従って、国の純負債は半分以下にまで減る事になります。半分ならばGDP比で他のOECD加盟国並です。問題にする程の事でもありません。

三番目に、幸か不幸か日本は何十年もデフレ下にあり、あり余る世界一の供給力がもったいない事になってるのです。更に加えて円高ですから、内需に目を向けるしかない状況が当分続くのではないでしょうか。

すなわち、国債の追加発行を許さないような状況にはないという事です。万が一民間が買い支えられないならば(考え難いが)日銀が買うなどして、どんどん発行する事がデフレ解消にも繋がるのです。

その資金で内需を拡大する為の有効な公共投資(グリーン産業等)をすれば、乗数効果もあってGDPが拡大します。結果として国債のGDP比率を縮小させる事が出来るというのに、そういう発想が全くないという事に驚きを禁じ得ません。

しゃーしゃーと、どこからどう見ても根拠のない記事を書いて、それでも経済学者か(?)と情けなくなります。そもそも財政赤字とは言いますが、国債を刷って得たお金はどこかへ消えてしまった訳ではありません。必ずGDPに戻って来るのです。

戻ったお金の一部は貯蓄に回り、その資金でまた国債を買う循環(表/三橋貴明氏ブログより)が出来ています。すなわち、名目上での国債発行残高は膨らんでいますが、民間の金融資産も膨らむ事になるのです。いずれにしても国全体で見れば日本国の資金(莫大な)である事に違いありません。
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貸借対照表上でのプラスマイナスが必要なのでマイナス側に計上しますが、日本にあるお金がどこかに消えて行く訳ではない(外貨建てで破綻した国は消えてしまった)という簡単な事くらいは理解して欲しいのです。

困った事に未だ大半の日本人が、この穴だらけのレトリックに騙されているようです。確信犯で言っている人もいるようですが、真面目で無垢な日本国民を欺くとは、神をも恐れぬ行為ではないでしょうか。

取りあえず民主党はGDPを削る方向でしかない事業仕分けなど先送りして、内閣府が38兆円あると認めているデフレギャップ分くらいの経済対策を補正予算でやれば褒めてやってもいい、と思われた方、クリックをお願いします。

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