アバターで、えくぼ
タイトルからはいいイメージがなく、友人の勧めにも関わらず、見に行くかどうか逡巡していました。重い腰を上げたのはポッカリ開いた時間的空白と言うか、何となく映画ででも埋めざるを得ない状況になったからなのですが、暫く映画を見ていないというのもモチベーションを少し高めました。
レイトショーながら観客はそこそこ入っています。公開して間もないのに「タイタニック」の売上を抜いた映画というのはどんなものなんでしょうか。この時点でもまだ懐疑的です。がっかりして帰りたくないなあ、という気持の方が強かったのです。
始まって直ぐに、3Dがこれまで見たものとはちょっと違う事に軽く驚きます。奥行き感や存在感がしっかりしていて大人っぽい雰囲気を出しているのです。CGのクオリティが高いせいでしょうか。期待が持てそうです。
その期待が驚愕に変わるまでに時間はかかりませんでした。出て来る動植物が凄いのです。デザインもさることながら実在感がこれまでのものとは比較になりません。とにかくリアルなのです。思わず嬉しさに、エクボが出来るくらい頬が緩みます。その頃には3D眼鏡の違和感はなくなっていました。
その後、出て来る兵器や乗り物、景色、全てが高いクオリティで統一されている事に二重三重に驚かされます。特に、何という名前かは忘れましたが、凶暴な鳥を手なずけるシーンなどは迫真で、一緒に空を飛んでいるような錯覚を覚えた人は多いのではないでしょうか。
崖から鳥と共に飛び降りたり、木の上で足を滑らせそうになったり、ハラハラドキドキの連続なのですが、高所恐怖症や心臓が弱い人は見ない方がいいかも知れません。
新鮮だったのは窓越しに見る飛行物体の室内の映像です。動く背景や光を映し、そこに確かに存在するガラスから、中のものや人までの距離、空間を感じるのです。逆に言えば自分からガラスまでの距離感も感じるという訳です。その近さが何とも言えません。
ストーリーそのものは「エイリアン2」や「風の谷のナウシカ」あたりを彷彿とさせる、特に目新しいものではないし、突っ込みどころもない訳ではないのですが、いつの間にか感情移入している自分に気付きます。
映画の価値はどれだけ感情移入が出来るかにかかっています。CG作品では、これまであり得なかったのですが、不思議と自然に感情移入が出来たのです。
とにもかくにもCGのレベルがここまで来たという事に、映画というカテゴリーを超越した新たな娯楽ツール、いや広い意味でのデザインツールとしてのポテンシャルを感じさせられます。言わばエクボメーキング、いやエポックメーキングな作品と言って差し支えないのではないでしょうか。
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