バーナンキの背理法
来日中の米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長は26日、日銀本店で講演し、「金融政策への不適切な政治的介入はインフレと闘う中央銀行の信認を損なう」と、中央銀行の政治的独立の重要性を強調した。同時に「無条件の独立性を支持するわけではない」と述べ、金融政策の目標は政府が決めるべきだとの考えも示した。
バーナンキ議長は、08年秋の金融危機後に各国の中央銀行が導入した量的緩和政策について「従来の伝統的政策のように、金融環境に幅広い影響を及ぼした」と評価しつつも、「政府の影響を受けて(導入を)決定した場合、政府債務の穴埋めと同じであり、代償は特に大きくなる」と指摘。中央銀行による国債の引き受けに関しても「政府が(財政)支出の財源確保手段として悪用すれば、経済の不安定化は避けられない」と語った。
「バーナンキの背理法」や、ヘリコプターマネーで、日本でもお馴染みの、バーナンキさん(ユダヤ系アメリカ人)は、アメリカではリーマンショック以来、国債引き受けをしまくった張本人です。何を日本で偉そうな事言ってんの(?)って感じですが、何か意図があっての事かも知れません。
それに日本とアメリカでは決定的な違いがあります。アメリカの中央銀行であるFRBは民間の機関なのです。日本銀行は日本政府が55%の株を保有していますから、独立性を謳ってはいますが、政府の指示には最終的には逆らえません。
民間の金融機関が政府発行の国債を無制限に買い続けるという事はどういう事なのか、私の想像力の限界を超えているようです。そもそもの前提である、中央銀行が国有でない事自体があり得ないのではないでしょうか。何度か国有化の話もあったようですが、その都度立ち消えになっています。
一方の日銀は、尊重されるべき独立性を楯に取って、政府の言う事に同調しない事が多いのですが、それは現政権が経済音痴だからなのか、最初から同調する気がないからなのか、よく分かりません。
いずれにしても、日銀は最近でも、明らかなデフレを認めなかったり、バブル崩壊前夜には量的金融緩和を必要以上に継続していたりで、理解に苦しむ事が多いのです。
ところで「バーナンキの背理法」では、無制限に中央銀行が国債引き受けを続ければ、いつか必ずインフレを招来する筈と言うのですが、子供でも分かる理屈を、もっともらしく言う意味がよく分かりません。ただ日本のようなモラル、規律が担保出来る先進国では、インフレ気配が現われてからでも、流動性のコントロールは十分可能なのではないでしょうか。
日本はジンバブエでもアルゼンチンでもありません。有休設備を五万と抱えた供給力過剰国です。しかもそれを有効需要に結びつけるだけの技術力もあります。参考にもならない他国の過去の例に捕われず、未体験な事にもトライする価値は十分あると思うのですが、慎重なのか、やる気がないのか、はたまた誰かの指示に従っているだけなのか、日銀は世にも不思議な組織といえるのではないでしょうか。
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