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2010年6月26日 (土)

日本型デフレ経済のメカニズム

土曜日の日テレ、ウェークアッププラスは高橋洋一教授を迎えて、消費税ディベートを華々しく展開するのかと思いきや、増税派の大学の先生が迫力なく、また基本的な日本経済に対する認識の違いからか、話が噛みあわない事この上なく、議論になりませんでした。

高橋教授は、私などから見れば、至極真っ当な事を言っているとしか思えないのですが、肝心なデフレに対する処方箋抜きでは、説得力ある説明にはなり難いのではないでしょうか。時間的制約も大きいようです。

一方の先生は、いずれはギリシャのようになるリスクがあるから、財政再建は急務であると言うのですが、闇経済がGDPの比3割を占め、公務員天国で観光以外これといった産業のない国と一緒にされてはたまりません。

さらにギリシャは慢性的経常赤字国で、対外債務は殆どがユーロ建てです。どこからどう見ても対極にいるのが日本なのに、例えとしても無理があり過ぎます。これで大学の教授が務まるのなら世の中楽チンです。

日本の問題は政治につきます。今回菅総理が言っているように、消費税を増税する事でさらに個人消費が冷え込み、その結果マクロ経済が収縮、財政赤字の対GDP比が膨らむ事が問題なのです。増税によって総税収額が減るパラドックスにも気付いていません。

それを解決するのは菊池英博(日本金融財政研究所)所長が言うように、積極財政しかないのです。民主党が事業仕分け等でやっているような、フロー(GDP)からフローへの資金移動ではなく、新たな資金(信用創造)を手当てする事です。

そこで件の先生などは「そんな事をするとインフレになって大変だ」と必ず言うのですが、いつの時代を想定しているのでしょうか(?)日本の供給力を知らないのにも程があります。なぜデフレになったのかという事さえ、考えた事がないのでしょう。

一国のみの論理で、ゼロ金利の場合、デフレは決して悪い事ではありません。年金生活者などはメリットを大きく受けます。ところが現実はいうと、世界との関係は密接だし、企業は決して低くない金利で事業資金を調達していたりします。売り上げが相対的に下がるのは国際競争力から言っても大問題なのです。

従って、ローンを組んでいる人や企業には、緩いインフレがメリットを受けるのは明らかです。ところが日本は20年近くもデフレから脱却出来ないでいるのです。20年も前と給料が変わらない、いやむしろ下がっている国なんて日本しかありません。

なぜなんでしょうか(?)推論ですが、それは世界が経験した事のない、超先進国型経済の迷路に入り込んでいるからではないでしょうか。そう考えれば過去の例に学ぶ経済学者が頓珍漢な事を言うのも納得出来ます。

まず、発展途上国型経済の優等生であった日本は、今の韓国や中国のように輸出が増大します。その結果、米などで貿易摩擦が起き、海外への工場進出という積極策に出ざるを得なくなりました。

円高がそれに拍車をかけます。それは海外で生産した低価格消費材が大量に戻って来る事を意味するのです。国内はと言えば、バブル崩壊以来のバランスシート不況は終焉したものの、リストラと、癖がついた低予算開発、あるいはコンピューター化、ロボット化などによって、供給はだぶつきます。

それに追い討ちをかけるように、賢くなったユーザーはインターネット情報でものを選びますから、インフレ圧力などかかりようがないのです。従って、従来の市場経済の考え方ではデフレを脱却出来ない構造が、日本では既に出来上がっていると考えるのが妥当ではないでしょうか。

それを理解しない政府が、自民党時代から中途半端な財政出動をして来ました。GDPが増えも減りもしない程度です。これでは財政赤字は止めどなく膨らみます。さらに民主党政権になってからは公共事業を目の敵にしますから、地方にお金が回らず、経済は悪循環となるのです。

何度も言うようですが、デフレギャップは言い方を変えれば、その国の財産です。その分だけ気兼ねなく財政出動が出来る事になります。今の日本で言えば50〜100兆円毎年お金をばらまいても問題ないという事です。

ただバラマキは従来型の経済構造をなぞるだけで、パラダイムシフトが進みません。超先進国がステップアップするにはダイナミズムと知恵、想像力が要求されます。

世界が経験した事のない新型経済モデルに入る事は、絶えず2番手に甘んじ、質実値剛健を美徳として来た日本人には馴染み難いのかも知れませんが、物質的にも精神的にも超豊かなインフラ造りをする事によって、日本人の概念を変えていくしかないのではないでしょうか。

すなわち国全体のインテリジェント化、セキュリティ化(自主防衛、耐震化)を推進し、浮沈空母日本を完成させるのが一つの妙案ではないかと思うのです。勿論自然と共生する省エネ環境立国である事の前提を崩すものではありません。

このような強国としてのファンダメンタルスを完成させ、政治経済軍事で完全自立をしてから、日本の進むべき100年単位の方向性を議論しても遅くないのではないでしょうか。楽しく夢のある未来を語り合うのです。

それを可能にする技術と資金力があると言うのに、やれ政治と金、外国人参政権などという、亡国的で下らない話ばかり聞かされたのでは、やる気をなくす、と思われた方、クリックをお願いします。

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