どこが「内向き」やねん(!!)
上場企業の国際展開とともに、工場や在庫など海外に持つ資産の比率が高まっている。有力660社では2010年3月期、国内外の資産合計に占める海外比率が3分の1を超えた。資生堂やクボタで海外資産が国内を初めて上回るなど、資産の内外逆転企業も計45社と、5年間で倍増した。従業員数や利益でも内外逆転が相次いでおり、「国内に何を残し海外とどう機能分担するか」がより重要になってきた。
国際展開の進んでいる上場企業は連結ベースで国内、海外それぞれの資産や営業損益を開示しており、10年3月期は660社(金融・新興市場企業除く)が開示した。日本経済新聞の集計では海外資産は計92兆7600億円で、海外資産比率は34%と5年間で4ポイント上昇した。新興国市場の開拓や生産コストの削減、円高対応を狙い、企業が海外で現地生産や買収を加速しているためだ。(日本経済新聞WEB刊より)
政府の無策により、経済発展しない国内にはソッポを向いて、日本企業の海外志向は強いようです。海外での資産92兆円、総売上238兆円(2009年度)はものすごい数字ではないでしょうか。韓国3国分、あるいはフランスのGDPにほぼ匹敵するのです。日本は海外にフランス一国分の経済圏を持っている事になります。
テレビなどで言われている「日本人は年々内向きになっている」という批判は、数字からは微塵も感じられません。しかしこの事が褒められた事かどうかは全くの別問題です。(?)
結局海外生産などのメリットの大半は海外が受ける事になり、国内への還元はほとんどありません。昨年一年で3兆円ほど戻ってきただけなのです。国内がデフレ不況だというのに、やりきれないものを感じるのは私だけでしょうか。
自動車なども今年の上半期(1〜6月)は海外生産が633万台になり、過去最高を記録しました。輸出を含めた国内生産分を凌駕します。
私が元所属していたホンダなども海外の資本比率が74%にもなるワールドエンタープライズなのですが、2輪も含めると売り上げの約85%を海外に依存します。
このところ新興国を中心に売り上げが伸び、4〜6月(四半期)の利益2724億円(連結/前年同期比36倍)は昨年1年分の利益を上回ったとの報道がありました。現時点(トヨタは来週発表)で世界一だそうです。
要するに海外では儲かるが、国内では厳しい経営を強いられていて、上の表からも分かるように、日産などは国内は赤字なのです。これでは海外生産比率は上がっていくばかりではないでしょうか。国内空洞化に歯止めがかかりません。
企業の論理としては至極当然なのかも知れませんが、せっかくの技術力、供給力が国内に活かされないのでは意味がありません。最終的には経済力が落ちた日本は、経済力をつけてあげた海外から買われるという、何とも皮肉なパラドックスに陥ってしまいかねないのです。
政策と国民の意識次第で、海外に向かっているパワーを国内に向ける事(内向き?)は十分可能だというのに、外向きの日本は一体何処へ行ってしまうのだろう。マスコミが騒ぐ、ハーバードに行く事だけが「外向き」ではないのです。日本は悲しくも、外向きに過ぎる(!)と思われた方、クリックをお願いします。
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