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2010年9月20日 (月)

いつまで経っても成熟しないマスコミによる経済論議

日本の新聞各紙が、従来の紙の新聞から有料WEB情報サイトへ転換しようとしています。紙の新聞の未来は果てしなく暗く見えるからでしょうか。私などは紙も捨て難いので未だに取り続けていますが、時々やめてしまおうかというような記事に出くわします。結局、紙かWEBかより、中身じゃないの(?)と言いたいのです。

先日も日経新聞の第一面を読んでいて、とんでもない記事を発見しました。民主党の小沢さんが代表選で「外需より内需へ」という意味のことを言ったのだそうですが、これを日経紙は、大間違いだと言わんばかりです。

日経紙は世界が自国通貨安に導いて輸出競争をしている現在、日本も外需獲得に官民あげて邁進すべきだと考えているようです。勿論円安誘導も大歓迎です。理由は財政赤字を抱える国内市場は需要が期待出来ないから、外需しかないというものらしい。。。。

ん〜〜困った。日経は時々、「おおっ」というような理路整然とした素晴らしい記事も載せるのですが、それと全く違う事を数日後に言われると、どっちを信じていいのか分からなくなります。編集長は目を通していないのでしょうか(?)大新聞が、これでは、いかにもまずいでしょう。

当ブログでは、内需の重要性、拡大のポテンシャルについて、これまで散々言及していますので詳細は述べませんが、日経はなぜ世界が不毛な戦いになる外需獲得競争すべき、と信じ込んでいるのでしょうか(?)理解に苦しまざるを得ないのです。

一つには、日本には資源がないので、資源を輸入し加工貿易をしなければ生きて行けないという「思い込み」があるのかもしれません。

ところが日本の輸入依存度はGDP比で10%と、先進国中最低です。省エネ化が進んだこともありますが、エネルギー関係以外はリサイクルも進んで年間輸入量は微々たるものなのです。食料や逆輸入品を除くとさらに輸入総額は減ります。

従って、どうしても輸出で稼がなければいけないのは、多めに見ても2009年レベルで30兆円程にしかなりません。それだけあれば外貨不足で惨めな思いをしなくてもすむという訳です。

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一方、内需は名目で470兆円にもなります。同じGDPの構成要素として、せいぜい6〜7兆円にしかならない純輸出とは、どう考えても比較にならないのです。しかしながらこの程度の純輸出額でも円高、デフレは進みます。これがもっと増えた場合の事を想像してみて下さい。

国が内需をおろそかにし、企業がこぞって海外進出をした結果、日本にはこれと言った産業がなくなってしまうのではないでしょうか。正に恐れなければならないのはそこです。

自力で内需拡大がおぼつかない中国や韓国のような国が外需依存というのは非常によく分かります。輸入額がGDPの30〜40%もあれば、それに見合うだけの輸出額は膨大になるからです。逆に輸出で稼ぐ為には輸入がそれだけ増えざるを得ない、とも言えます。

それに対して、資源関係以外はほぼ100%自国で調達出来(世界でも日本とドイツくらいしかない)国内に巨大な市場を持つ国が、わざわざ経済戦争に巻き込まれる外需に依存する意味はありません。その気にさえなれば資源も限りなく自国での調達率が上げられるにもかかわらず、です。

例えばウランは年間500万トン(日本の年間消費8千トン)も黒潮に乗って日本近海に流れてくると言いますが、海水から取り出す技術は既に開発されています。リチウムも海水から無限に調達可能です。EEZ内での石油やメタンハイドレートは言うに及ばず、考え方を柔軟にすれば日本は意外に資源に恵まれているのです。

省エネに対するさらなる工夫と技術革新に、国の資金的サポートが加われば、近未来には完全自立だって夢ではありません。そんな国が外需にこだわらなければならない意味が全くない事は明らかではないでしょうか。

因に、日本の省エネ技術がいかに進んでいるかの例があります。

日本おいて、二酸化炭素の排出量の40%は電力と鉄鋼である。日本の製鉄所は世界最高の品質の鉄鋼を世界最小のエネルギーで生産している。1トンの鉄鋼生産に必要なエネルギーを石炭に換算すると、200年前の産業革命開始当初は石炭30トン、鉄鋼一貫生産開始の20世紀初頭では、3トンに減少した。

現在、日本は1トンの鉄鋼を生産するのに、石炭換算0.5トン、米国など先進諸国は1.0トン、中国は1.5トンである。日本は排熱を徹底的に回収して、電気変え、その電気で工場を動かし、余った電気は電力は電力会社に販売している。要するに、日本の製鉄所はエネルギー消費産業ではなく、発電所に変貌したのである。

ここにきて、鉄鋼業界に大きい変革波が起る。それは、銑鋼一貫生産から電炉を用いた鉄鋼の生産である。鉄鋼一貫生産から電炉生産への転換は省エネ技術の画期的前進である。電炉の消費するエネルギーは石炭換算で、0.1トン、従来法の1/5にに過ぎないからである。

(中略)

日本には、戦後、急速な経済成長、高層ビル、各種機械や施設が無数に存在する。膨大な量の鋼材が国内に25―28億トン蓄積されていると推定されている。鋼材は時間とともにスクラップになる。高層ビルは何千トンのスクラップ、自動車は20年でスクラップ。そのスクラップを回収する。回収したスクラップは年間1億3000万トンにもなる。こうなると、日本は石炭、鉄鉱石を輸入する必要がない。国内のスクラップで、国内に必要な鋼材を供給できる。(現代技術と21世紀から抜粋)

政府は日本の技術力を信じて、可及的速やかに外需依存の考え方から内需拡大策に転換せよ。と思われた方、クリックをお願いします。

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コメント

いつまで経っても成熟しないマスコミによる経済論議・・・今回の徹さんの提言ですが、誠にすばらしい視点が幾つも有りますね!この様な論議を政府の中で展開し、国内での活性化を論議すると良いのですが。

投稿: AZ生 | 2010年9月23日 (木) 09時55分

近隣国への利益誘導と、日本解体を目論む民主政権では無理でしょう。
政治を何とかしないとどうにもなりませんね。

投稿: 田中 徹 | 2010年9月23日 (木) 10時34分

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