グローバリゼーションの罠(1)
日本人は黒船来航によって、よほど酷くショックを受けたと見えます。それ以来海外との関係は積極的に持つべき、鎖国は発展を遅らせ国を弱体化させる、という考え方が染み込んでしまったようです。
それくらい欧米の圧力は激しく、通商条約を結んでも極端な不平等に泣かされました。それでも、なんとか植民地化だけは免れたのです。欧米列強の軍事力を持ってしても簡単には落とせないという判断をせざるを得ない、整備された体制と、よく躾けられた国民がいた訳です。
明治維新後の富国強兵、殖産興業政策により日本は奇跡的とも言える発展を遂げます。特に軍事力は目覚ましいものがありました。元々武士という階級に脈々と受け継がれて来た忠君(忠国)精神があったからなのでしょうか。
ただ軍事強国というのは、米を見ても明らかなように、行き過ぎると問題を生じさせます。結局相手国との問題解決手段としての軍事力は将来に禍根を残す事にしかなりません。頭がいいやり方とは思えないのです。
従って軍事力は専守防衛に徹すべきです。そういう点で今のやり方は間違ってはいないのですが、米に過度に依存するのは好ましくありません。同盟関係はともかくとして段階的に自衛隊の役割を拡大すべき事は明らかです。
もう一つ日本人が凝り固まっている固定概念に、「日本は資源のない国だから、資源を輸入し、それを加工して輸出するしか発展する道がない」というのがあります。
確かに資源がない国が世界との関わりを積極的に持って、経済で成功しようというのは間違った考え方ではありませんでした。プラザ合意の1985年頃までは、それはそれで正しかったのです。
80年代に世界に対する日本の存在感が増して来ると、色々な摩擦が起こる事になります。貿易で一人勝ちは許されないのです。結局拡大再生産しか頭にない経営者はこぞって海外に打って出る事を選択せざるを得ませんでした。
しかしそれで得たものは、国内の空洞化とデフレだったのです。名目GDPは95年から殆ど上がっていません。さらに09年は500兆円を割り込んだのです。97年より40兆円近くもマイナスした事になります。
世界を相手に、より大きなビジネスをした結果は85年頃より世帯年収で100万円も減るという悲惨なものでした。これは明らかな経済的敗北ではないでしょうか。企業は勝っても国が負けては意味がありません。
リーマン以降の世界経済や、最近の米中がらみの様々な軋轢を見るにつけ、世界と金融や政治経済で密接な関係を持ち続ける事、すなわちグローバリゼーションのリスクは、メリットを上回るかもしれないという、疑念を生じさせます。
本当に日本は世界と今までのような関係を続けなければ生きて行けないのでしょうか。そのあたりをじっくり検証すべき時期に来ているのかもしれない、と思われた方、クリックをお願いします。
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コメント
本当に日本は世界と今までのような関係を続けなければ生きて行けないのでしょうか。そのあたりをじっくり検証すべき時期に来ているのかもしれない・・・おっしゃる通りです、なので日本国による国家戦略室(与野党のマトモな議員,学者,外部重役)を本格稼動させ、①緊急課題の対策〔尖閣/デフレ/雇用/円高〕②中期課題(経済/防衛)③長期課題〔10年/50年/100年後の国家のあるべき姿〕のビジョン設定がMUSTなのでしょう。この1年、引き継いだ前政権より格段に日本のあらゆる状況が破滅的に悪化・・・しています。首相/官房長官等,45年前の極左翼学生運動家がそのままの頭脳でコトに当たっており、気が遠くなりそうです。現実の世界状況/本質が見えていません。C国/K国に擦り寄ってもアッという間に足蹴にされたではないですか!一国民として、我が国の消滅が一番気がかりです。国防もちゃんとしているスイスの姿がだんだんよく見えてきたのは私だけでしょうか?
投稿: AZ生 | 2010年10月19日 (火) 13時47分