小野教授、ご免なさい。
先週末の土曜日、日テレ「ウェークアップ・プラス」に民主党の経済顧問と言われている(?)小野阪大教授がゲストとして出ていました。私はこの人に謝らなければなりません。前に当ブログでボロクソ叩いたのです。(笑、汗)
基本的にこの人は雇用の為の増税を説く学者で、国債発行による財政出動は視野外だったからですが、前提となる日本経済の現状はきちんと把握出来ているようです。そこが旧態依然としたステレオタイプの他のコメンテーターとは全く違います。従って話が噛み合いません。
司会と他のコメンテーター併せて5人は、日本は貿易依存国ながら、その肝心の産業が衰退していると見ているようです。その為にも開国が必要で、輸出が有利になる(思い込み)TPPは必須という考えに凝り固まっているのです。
中でも酷いのは元外務官僚の田中均さん、「東アジアを日本の内需に取り込め」は意味不明です。聞き方によっては大東亜共栄圏の事を言っているのかと誤解されかねません。まさか併合するつもりではないでしょう。(苦笑)
外国の需要は、あくまでも外需です。内需には取り込みようがありません。榊原青学教授なども、よくこのフレーズを使いますが、自分は内需と外需の区別もつきませんと、無能ぶりをさらけ出しているようなものです。
小野教授は日本は経常収支の黒字大国なので、円高の原因になる外需を取りにいくのは最優先ではない、予算の使い道に工夫をして内需を拡大すべきだと言うのですが、多勢に無勢、せせら笑われています。(気の毒!)
さらに小野教授は観光立国なども、日本がやるべき優先課題ではない、むしろ日本人が国内観光に行くようにすべき、と言っていました。このあたりは凄く真っ当で見直したのです。冷静な分析が出来ているようです。
農業問題に話が移り、コメンテーター群はさかんに、日本の農業を強くして競争力をつけろと言います。ここも小野教授とは相容れません。教授は工業製品の輸出に加えて農業まで輸出産業にするのでは増々貿易黒字が増えて円高になるではないか、その結果はデフレを助長するだけだ、と言うのです。
素人の私がいうのも何ですが、大したものです。嬉しくなりました。しかしそれは小野教授が否定しない自由貿易を進める、FTAやTPPの概念とは矛盾するのではないでしょうか。百歩譲って、それらの協定がフェアなものであったとしても、自由度が増した分、激しい競争に晒されますから、日本企業はより強くなり、その結果国内の空洞化と円高を招きデフレがさらに進むのではないでしょうか。
日本企業は今でも世界で十分強いのです。その証拠に現地邦人の海外での売上は200兆円を超えて増え続けています。その供給力が国内に向かわない事が問題だと言うのに、増々海外に向かうように仕向ける意味はないのです。
話が例によって取り留めもなくなってきましたが、いずれにしても、大半を占める日本の知識人の誤った経済的前提、認識、思い込みを修正しない限り、まともな議論にはなりません。誰か、まずこの人達をきちんと教育してくれ、と思われた方、クリックをお願いします。
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