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2011年1月19日 (水)

食料自給率を上げる方法

昨夜のテレ東 WBS は酷かった。フランスのアタリ氏だか当たり屋だか知りませんが、ド素人に日本経済の話をさせていました。そもそもこの人は、いくらもらったのか知りませんが、2025年に韓国がアジアの中心になると言ったらしい。(???)

日本の財政赤字を南欧諸国と同列に扱うところからアウトなのですが、イタリア、ドイツ、日本は問題だと言ったのには久々たまげました。。。第二次大戦の敵国側に、未だ恨みでもあるのでしょうか。対外純資産が世界で一位と三位の優等生国家をつかまえ、対外赤字国の分際で偉そうなことを言うな(!)って感じです。

こんないかさま師を有り難がって番組に出すようではテレ東も終わっています。あまりのバカさ加減にちょっとムカつきました。

さて今日のテーマ、食料自給率の話です。TPP に参加する事によって、日本の農業の競争力アップを計る、いや強くしなければならない。と異口同音に言うのはTPP 肯定派のロジックですが、果たしてそううまく行くでしょうか。(?)

ところで、日本製の車が円高でも海外で売れるのは、付加価値のせいです。人を乗せて走る、止まる、だけなら中国にも作れます。実際中国ではそういう車でも何百万台も売っている訳ですから、そういうマーケットは確実にあるのです。

ではそれらの車より何倍も高いお金を出してでも欲しい車とは、一体どういう価値があると言うのでしょうか。韓国や中国の車は一台当りの平均販売コストが100万円を切っていますが、日本車の場合は200万円近くもするのです。

それらの車は一見したところ、大して差があるようには見えません。スタイリングさえおかしくなければ、素人目に中身まで判断するのは不可能です。でもよ〜く見ると、色々差がある事に気がつきます。

専門的な事は表現が難しく長くなりますので省略しますが、例えばドアとドアの間の隙間が何ミリか、それが一定しているか、あるいは段差がないか、なども外観品質を見る上で大きなポイントになります。キャラクターラインが各部品をまたいでいる場合、きれいに通っているかなども重要です。

後はハイライトの通りです。塗装面にシャッターなどを映してみれば、通り具合がよく分かります。そのあたりの品質は、流石に日本車はダントツで、遠くから見た場合のクオリティ、存在感さえ左右してしまうのです。

インテリアを含め、性能や安全性に関する中身に関しては、それこそ切りがありません。書き始めるとブログ何十日分に相当するか見当もつかないのです。(笑)このように、細かい差の積み重ねが価値を生みます。その価値が相乗効果となって品質に反映されるのが自動車なのです。

従って、家の次に高価な買い物である車には、こだわる人はとことんこだわります。日本では日本車とドイツ車しか売れない理由がよくお分かりでしょう。さらにその高付加価値車を年間に世界で2000万台以上も売っている事の物凄さに思いを巡らせてください。ドイツ車の約2.5倍です。

では、農産物、食料に、車程の付加価値をつける事は可能でしょうか(?)車のように要素技術の集合体で、幅広いカテゴリー毎に厳然たる差があっても、同クラスだとせいぜい倍程度の価格差しかありません。

いくら日本のイチゴやリンゴが美味しいからと言って、10倍もすれば、車のように大量に売れる筈がないのです。勿論一部のお金持ちは買うかもしれません。しかしマジョリティにはなり様がないのです。

そこで話は最初に戻ります。簡単に農業の競争力アップと言いますが、人件費が10倍も違う国と、あるいは広い土地を持ち、工業製品のように遺伝子操作した穀物を大量生産する国と対等に戦えるでしょうか。

自由化した途端に食料自給率が下がる事は火を見るより明らかです。その結果、一部の高付加価値食料は残るかもしれませんが、主食のところは確実に海外勢に持っていかれるのです。また、そうなるよう条件付けられる筈です。

TPP に参加しない場合はどうでしょうか。現状と比較して何か大きな問題があるとは思えません。いやがらせで輸入がし難くなるのであれば、政策的に自給率アップを計るだけです。

尤も、自給率を上げるだけなら、それは大して難しい事ではありません。関税に加えて、厳しい安全基準などの非関税障壁を設け、食糧の輸入を阻止すればいいだけです。その代わり農家への個別保障もやめましょう。

そうすれば量的に十分かどうかはともかくとして、間違いなく100%の自給率は達成されます。(笑)その場合、対抗措置で輸出に制限が加えられるかもしれませんが、自動車などは現地生産を増やして対応するしかないでしょう。昨年あたりで輸出は総生産台数の15%程度ですから、何とかなるのではないでしょうか。

70%以上を占める日本の輸出のメインである資本財、生産財の場合は、輸出しないと相手国の産業がダメージを受けますから心配ありません。強気でいっていいんです。たとえ貿易収支が赤字になったとしても、所得収支は赤字になり様がありませんから経常収支の黒字基調は続きます。

メリットを説明せず、どう考えてもリスクしかない TPP 参加を進めようとする勢力は、間違いなく日本の将来の事など考えていない。と思われた方、クリックをお願いします。

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コメント

日本の将来/未来を磐石にする(國際社会の中でのプレゼンスをUPし、希望溢れる輝かしくも力強く美しくしたい)にはどうあるべきかな?・・・と素直に考えるとGDPとかは必須要件でしょうが、水/食料/エネルギーその他の資源が自前で出来る、又は入手がスムーズに出来る事が前提であり肝でしょう。事例が唐突ですが韓国の水源が北にあるので、北側がヘソを曲げてダムで止めると南側の農業生産に支障をきたすらしき(一種の地政学的な強者と弱者との関係が存在する)・・・国家間の緊張もある中で、万一の事態(テロ・地震・気候変動も含まれる)が日本を襲った時に果たして国民に飢餓が発生しないと誰に言い切れるのでしょうか!・・・という訳なので、日本の農産物が壊滅するのはNGですよ。自由貿易は結局外交パワー(軍事力・原爆を持っているかいないか)の強い国家がそうでない国に圧力の行使をする危険が大いにあると思います。我が民族はお人よしで、無防備。B国/C国は100年計画で世界を動かそうとしてるんですよね、ずるい奴に騙されてはNGですよ。用心用心。 

投稿: 心配性君 | 2011年1月19日 (水) 17時39分

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