金融ガラパゴス、ジャパン
歴史的円高が続いています。米欧を見ても好材料が見当たらないので、このまま暫くは円高傾向は続くのかも知れません。巷間、日本も不景気なのに、なぜ円高なのだ(?)消去法で円が買われる、等、素人専門家問わず、為替論議でかまびすしいのですが本当の原因は政府レベルで分析されているのでしょうか。
財務大臣や現日銀総裁を見ていると甚だ心もとないと言わざるを得ません。口先ばかりで、関心を持って見ているとも思えないし、何とかしようという意思も感じられないのです。このままズルズル50円台を迎え、デフレは一層ひどくなるのでしょうか。
円高原因説の一つは経常黒字です。海外からの売り上げを円に換える時に、確かに理論上は円高に触れる筈です。20〜30年前なら、それでも納得がいったでしょう。しかし、近年は貿易収支でいえば黒字幅は対GDP比で1%前後です。という事は年間で5兆円くらいなのです。
先日日銀が為替介入した時に使った資金が1日で4.5兆円ですから、ほぼ同額です。これでいくら円安に振れたというのでしょうか。従って5兆円程度が1年単位で動いても、効果は殆どないと言った方がいいのかも知れません。圧力として存在する程度です。
経常黒字の一方の雄、所得収支の黒字は年間で12〜15兆円ありますが、こちらは再投資され、外貨で保有する事になりますから、同じく圧力にはなり得ても、為替には直接影響しません。
という事は、やはり最近専門家の間でよく言われている通貨の量が原因かもしれないのです。米欧中はリーマンショック以降、量的金融緩和、すなわちお金を刷りまくりました。一人小出しにしてお茶を濁していたのが日本なのです。
その言い訳は、いくら金融緩和しても円キャリーで海外に流れるだけというものです。その証拠として質的緩和(ゼロ金利政策)は世界にバブルを作り、今回の危機を招いたと言えば、その通りかも知れません。池田信夫さんなどもその説を支持しています。従って日銀の姿勢は正しかったという事になります。
確かにリーマンショックまでは、一面的な味方をすれば、そうであったかも知れません。しかしながらリーマン以降、日銀が引き締め(相対的な)をやるあまり、実質短期金利は逆転して既に4%前後も米を上回っているのです。
これでは円が買われても不思議はありません。金融政策のミスと言われても仕方がないのではないでしょうか。正に金融ガラパゴス状態に陥っています。
ところで、その肝心の日銀の白川総裁は、レストランに食事に行った時に高級食材を使った料理が余りに安いのを見て、デフレを実感したと言ったそうです。まるで得でもしているかのようなコメントですが、高級官僚としては偽りのない実感なのでしょう。
日銀が量的緩和を渋る理由が分かるようです。まるでデフレの実態を把握していないコメントにしか聞こえません。給料がデフレ関係なく上がり続ける公務員に取ってはデフレはこたえられないでしょうよ。。。(笑)
デフレとは物価が下がる事だけではなく、それによって企業の売り上げが減り、給料も下がる事なのです。その悪循環で民間サラリーマンの給料は20年前のレベルより悪くなりました。
協力企業や、従業員の犠牲の上に企業はコストを下げ、必死に輸出にも貢献したのですが、その結果はより円高になりデフレスパイラルを生みます。確かに、円高なのでドル換算すれば世界的に見て悪い数字にはなりません。
しかしながら貸借対照表の片側に存在する負債は相対的に膨れる事になります。返済しても返済しても楽にならない理由がそこにあります。負債が減らずに資産が目減りする、これがインフレなどと違ってデフレの怖いところです。借金するモチベーションが湧きません。
それを防ぐには逆療法に聞こえますが、政府の負債を劇的に増やすしかないのです。政府の負債=民間の資産(予算で使って還元される)になりますから、相対的に負債比率は減る事になります。しかもその政府の負債が公共投資を経由して有効需要を生み出せば乗数効果もあって、資産側が膨らみます。
そこまで行かないと税収も増え様がないのですが、現状で増税というのは正気の沙汰ではありません。一刻も早く増税内閣を打倒して、財政出動内閣を立ち上げるしかないのですが、麻生さんに、もう一度チャンスを上げたいと思っているのは筆者だけではない筈です。
話しが取り止めもなくなりましたが、潜在供給力世界一の国を再生させるのは容易な事です。国内に再投資して経済ガラパゴス化を進めればいいだけなのですから、いかがわしい世界を相手にするより遥かに楽な筈なのです。
ブログランキングに参加しています。共感いただければクリックを!!
| 固定リンク
「経済・政治・国際」カテゴリの記事
- 日本人はどこからやって来て、どこへ行こうとしてるのか?(最終回)(2024.08.30)
- 日本人はどこからやって来て、どこへ行こうとしているのか?(5)(2024.08.29)
- 日本人はどこからやって来て、どこへ行こうとしているのか?(その4)(2024.08.26)
- 日本人はどこからやって来て、どこへ行こうとしているのか?(その3)(2024.02.07)
- 日本人はどこからやって来て、どこへ行こうとしているのか?(その2)(2024.01.29)
コメント
≫麻生さんに、もう一度チャンスを上げたいと思っているのは筆者だけではない筈です。
・・・麻生さん、安倍さん辺りの再登板が順当なのでしょうね、売国みんしゅとうはお断り!
投稿: 心配症君 | 2011年9月22日 (木) 07時35分
知識も記憶もいい加減な私の感想ですが、その池田信夫も財政出動は負債を残すからダメで金融緩和も効果は無いのでダメらしいですね。そして日本はデフレではなく適正価格に近づいているのだとか。では日本経済を立て直すには、氏はそういう本も出すそうですが、なんと「イノベーション」だそうです。なんか素人目から見ても短期と長期を考えていないような気がしますが。まあ日経も読んでいないような私が理解できる範囲も知れているでしょうし、なんか池田先生は経済の講義をしているそうなので、まずはそれを聞いて洗脳されてみようかな、なんて思ってますw
投稿: 大阪乙 | 2011年9月23日 (金) 00時52分