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2011年10月 3日 (月)

絶対に手を出してはいけないもの

先日、ある集まりで高齢の医師と食事をした時に、「みんなの党の渡辺喜美党首が復興資金調達の為に国債を刷ればいいと言っているのは感心しない。」と話を切り出しました。唐突な話に戸惑いましたが、「そういうやり方もあるのではないでしょうか」と返したのです。

常識的に考えれば1000兆円近い負債のある国が、さらに借金を重ねるのはいかがなものかと考えるのは当然です。普通の国ならGDPの倍の負債はあり得ません。従って人のいい日本人は自らの腹を痛めてでも税金で、とけなげに考えるのです。

その医師は、国債が94%は国内で消化されているのは知っていました。最近、この点は随分変わって来たように思えます。正確な情報がある程度流れるようになった証ではないでしょうか。

さらにその医師は85才という高齢にも関わらず現役を貫いています。そのせいもあってか、日本人の優秀性、あるいは技術力の優位性を正しく認識しているようです。点と点は正確に抑えているのです。

ところがその点と点を結んで、仮説を組み立て、全体像をイメージする作業は苦手なようです。もっとも、専門家にだって難しく、全体像としての正しい日本の姿を表現出来る人はごく少数しかいません。筆者にも、100%正確に、そういう事が出来るかと問われれば、「否」と言わざるを得ないのです。(笑)

しかし、1000兆円の国債発行残高がありながら、10年もの国債の金利が世界一低く、分不相応とも言える通貨高に見舞われている世界屈指の経済大国が、数十兆円の国債発行に躊躇する意味は分かりません。

1000年に一度というのであれば、迷わず日銀引き受けで資金調達すればいいのではないでしょうか。発行残高は増えないし、デフレ解消にも十分とは言えないまでも、多少は有効です。

その後の事は復興後、あるいは景気が良くなってから考えればいいのです。悲観論者の根拠は、日本駄目論に浸食され、右肩上がり経済をイメージ出来ない事にあります。人口減少もマイナス要因と捉えているようです。

頭数が減る方が分配率が上がる事を、なぜ考えないのか不思議です。さらにデフレギャップは経済のポテンシャルを示しますから、金融資産がたっぷりある日本はGDPの伸びる余地がまだまだあるのです。

その頭が冴え渡り、若いマインドを未だに維持している老医師は好奇心旺盛です。「円は未だ上がるのだろうか、どこまで上がると思いますか。金はどうですか」と水を向けて来ます。筆者は「そんな事が分かれば大金持ちになれます」と言うしかありませんでした。(笑)

相場は何であろうが水物です。海千山千、魑魅魍魎が跋扈する世界に手を出す事はリスクしかイメージ出来ません。資産運用の問いかけにも、素人が手を出せる程生やさしい環境にはないので、日本国債でも買うのが一番ではないかと答えるしかありませんでした。

ところが、次の瞬間思わぬリアクションが返って来たのです。「絶対に手を出してはいけないものが三つあると亡き父に言われたが、それは国債と生命保険と保証人である」と言うのです。

意外な展開にたじろぎます。(笑)その医師はかつて保険会社の保険医だったのです。詳しい事はわかりませんが、戦前の生命保険とはそういうものだったのかも知れません。国債は戦時中の国債が戦後紙切れになった事を指しているので、分からないでもありません。保証人も言わずもがなです。

その、肝心の国債が紙切れになる確率ですが、1000年に一度という大災害でもびくともしませんでした。という事は、円建て日本国債のデフォルトのリスクは限りなく低い事を考えれば、後は戦争しかない事になります。日本がまたどこかと戦争をして、壊滅的な打撃を受ける事があるでしょうか。

今の防衛システムと、その最高指揮官である歴代の総理大臣を見ていると、戦争になる前に万歳をするような気がするのですが、東條さんのような人が出て来るとも思えません。いずれにしても、戦争にだけは手を出して欲しくないのです。

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コメント

≫その、肝心の国債が紙切れになる確立ですが、1000年に一度という大災害でもびくともしませんでした。と言う事は、円建て日本国債のデフォルトのリスクは限りなく低い事を考えれば、後は戦争しかない事になります。日本がまたどこかと戦争をして、壊滅的な打撃を受ける事があるでしょうか。

・・・なので、円建て災害対応とか、経済復興の特別国債とかの発行は有効と私も可能と考えております。

・・・日本から他国へ向かっての戦争は無いと思いますが(憲法第九条にて明記)、他国の戦争に巻き込まれる可能性はあると思います。B国がもっともっと弱った場合、C国が台湾へ(ついでに隙を見て尖閣・沖縄)派兵など。C国は覇道の考えを100年とか1000年単位で推進していると私は考えております。

米国の例では、日露戦争(1904.4~1905.8)の終了時点から、日本を仮想敵国としての研究≪オレンジ作戦≫の原案作成を始めていましたので太平洋戦争開始までには約40年前からですね。

投稿: AZ生 | 2011年10月 4日 (火) 16時57分

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