デフレの正体
大層なタイトルですが、大上段に構える気はありませんので、そのつもりで読んでいただけると助かります。(笑)最近、よくこのテーマで議論され、本まで出して儲けている人もいるようですが、そんな小難しい事でしょうか。
例えば一個100円のリンゴを10個作れる国(仮に日本とする)があるとします。合計1000円です。という事は、国は1000円の通貨を供給すれば事足りるという事になります。
ところがある年豊作で20個も取れた時の事を想像して下さい。通貨が1000円しかなければ一個50円にしないと売れ残ります。国内だけであれば、それで何とか収まるのですが、国内で売れ残った分を輸出した場合はどうなるのでしょうか。
従来は一個100円/1ドルとしてアメリカに売っていたので、そのまま売ると高く売りつけるようで具合が悪いです。(笑)インターネットもあるので、アメリカから「何でや〜」と突っ込まれかねません。そこで正直に50円で売る事にします。
ところが50円だと50セントにしかなりません。アメリカ人は大喜びで美味しい日本産を買いますが、修まらないのは現地で一個を1ドルで売っているリンゴ農家です。「俺たちを潰す気か〜」と暴れます。(笑)
結局為替レートが間違っているという事になり、1ドル50円まで上がってしまいました。そんなに美味しいものを安く作れる日本は凄い思われ、円が買われた為です。ドルと比べ、相対的に少ない円はすぐに上がりました。
その結果、旅行をしたり、海外から物を買う場合は割安感がありますが、国内だけは倍に供給力が増えたにも関わらず、一個あたりの価格が安い為に収入が上がらず頑張れば頑張る程、生活が苦しくなります。骨折り損のくたびれ儲けというやつです。
これが政府が倍の通貨を印刷していれば100円のリンゴの価格は変わらず、為替も変化しなかったのではないでしょうか。何より収入が倍になります。
ところで、通貨は印刷して銀行に置いておく(量的緩和)だけでは駄目です。平等に行き渡る為には政府がリンゴを買わなければいけません。(財政出動ー公共投資)
買ったリンゴで余った分は輸出業者に託して海外で売れば無駄が発生しない事になります。外貨が入って来て外貨準備も増えるという訳です。
ごくシンプルに言えば、こういう事ではないかと思うのですが、反論はありそうです。例えば日銀は通貨を十二分に供給していると言われるかも知れません。
確かにマネーサプライ(最近はマネーストックと言う)で見てもM3(現金+準通貨+預金+譲渡性預金)で GDPの2倍以上にもなる1100兆円もある訳ですから、お金がない訳ではないのです。そこがややこしいところです。
では、何が悪いのかと言えば、流動性(お金の流れ)以外考えられません。税制改革や、適正な規制緩和は必須なのでしょう。外需依存体質も改めなければなりません。国民のマインドも啓蒙する必要があります。改革するところは山ほどあるのではないでしょうか。
しかし、しかしですよ。百歩譲ったとして今は非常事態です。リーマンショックに端を発した深刻なデフレ不況に加えて1000年に一度という災害までありました。財政再建や改革なんて、そんな悠長な事を言っている場合ではないのです。
1000年に一度の災害なら1000兆円の借金をしたとしても1000年で返済すれば1年1兆円です。そう考えれば一時的な50〜60兆円くらいの借金など屁でもない筈です。その結果、マネーサプライが数パーセント増えたとしても、中国やアメリカから見れば可愛いもんじゃないでしょうか。
何度も言うようですが、取りあえず国債を大量に刷って内需を拡大する。それしかありません。
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コメント
デフレの正体・・・
歴代の首相、財務大臣、財務省、日銀が機能不全なのでしょうね。根本的な原因を指摘しなかった全国紙の新聞/テレビにジャーナリズムの基本機能が存在せず、目先の話題でのセンセーショナルな記事のみに終始した機能不全のマスコミにも日本衰退(進行中なり)の重大なる責任が在る事に論を待ちません。
今回のブログ内容にて、デフレ退治のシンプル且つ実行可能で誰にも害が発生しない『素晴らしい処方箋』が表明されております。すなわち ≪ 国債を大量に刷って内需を拡大する ≫
名称は経済繁栄10年債券でも災害復興100年国債でもなんでも宜しい。日本の宝を狙っている外(害)国のいちゃもんを一蹴し、国家再建を堂々と推進しましょう。
投稿: AZ | 2011年10月 1日 (土) 02時36分
景気浮揚策には≪ 国債を大量に刷って内需を拡大する ≫ ってのは判りますが、内需をUPさせるにはやっぱり災害復旧への公共設備投資等が国民には理解し易いですね、学校の耐震工事等もいいですね!
投稿: かかし君 | 2011年10月 2日 (日) 03時32分