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2011年10月10日 (月)

隣のリンゴは赤い(?)

「ソフトウェア革命」が起きつつある今、日本は「物作り」に執着していてよいのか」

シリコンバレーでは「ソフトウェア革命」と言う言葉が囁かれている。IT革命はハードウェアとソフトウェアを両輪にした革命であったが、今度はソフトウェアだけの革命が起きるという。

この革命はIT業界だけに関係するものではない。すべての業界に関係する。対応いかんでは既存の企業の競争力に甚大な影響を及ぼす恐ろしい革命である。

(中略) 日本は経済を再興させなければならない危機的な状況に追い込まれている。それでも「物作り」が日本再興の切り札であると誰もが主張している。日本が「単なる物」を作って世界に売れる時代は終わった。

賃金が高く、インフラコスト(地価、輸送コスト、電力料金、税金)の高い国で、価格競争力のある「単なる物」を作れるはずがない。では世界を魅了する「ソフト付きハード」を作れるのか?

ジョブズ氏の死去がきっかけで、各方面から色々な声が聞こえて来ます。余程偉大な存在だったのでしょう。しかし、上の記事などは、ちょっとヒステリックで浮き足立っているように感じるのは筆者だけでしょうか。

どうも日本人という民族は自分達を過小評価して、隣のアップルの方が赤く感じるという習性が抜けないようです。(笑)筆者などは、別に「物」だけでも他人が真似出来ない物が作れるならば、それはそれでいいと思うのですが、甘いのでしょうか。Ap

しかし、この人が言うように、ソフトに特化して考えると言うのは大変危険です。例えばiPhone のような通信手段にしても、テクノロジーやインフラ次第で、明日にでも使い物にならなくなるリスクを孕んでいるのです。

基本、ITで言うところのソフトなどと言うものは、一部の基本ソフトを除いて、不安定で短命なものと考えるべきです。それはそれでやるなとは言いませんが、メインに据える様なものでは決してありません。と思います。。。(笑)

ともあれ、この人も含めて、ソニーやシャープにはなぜ出来ないか、とよく言われますが、その台詞は全く逆の立場で、かつて欧米から何度となくソニーやシャープに対して用いられて来ました。ジョブズ氏が再登板した時の目標は「ソニーを超える」だったのです。

自動車だってそうです。80年代の “If Japan can, why can't we." という言葉に象徴されるように日本の工業製品は優秀過ぎて散々叩かれました。最近ではトヨタ事件が生々しいです。結局でっち上げでした。

ところで、多くの人はクルマを単なる物と思っているかも知れませんが、それは大きな間違いです。通信機とはジャンルこそ違いますが、ソフトとハードとテクノロジーの融合体で、商品としては色々な意味でソフトウェアのキングとも言うべきものが現在のクルマなのです。

クルマにはなぜ、あのように多くのカテゴリーがあって、カラーも含めればバリエーションが何万通りもあると思いますか。(?)それは、デザイナーや技術者からの提案が一つのものに集約出来ないからです。あらゆる使い方を想定した結果、ある程度のオーバーラップを許容しても、あれだけのバリエーションにならざるを得なかったのです。

ユーザーは何気なく使っていますが、結婚式に乗って行けるクルマ、葬式には乗って行けないクルマをイメージすると分かりやすいかも知れません。客観判断は難しいのですが、クルマからの暗黙の主張があるのです。

その主張こそが開発者の言うコンセプトです。いわゆる広義のソフトの部分ですね。ハードの塊に見えますが、実はクルマはソフトの商品という訳です。その証拠に、まずユーザーは外観から受ける印象でありもしない妄想を抱きます。

もてもて男になったり、スーパーマンになったり出来るのです。ある時は社長、営業マン、スポーツ選手、スーパースターにさえなれます。錯覚という世界でですが。。。(笑)そんな夢を見させてくれる商品が他にあるでしょうか。

さらに乗ってみれば、豪華な応接間や飛行機にも負けないようなメカメカしさ、妄想は膨らむ一方です。走れば人格さえも変えられてしまいます。(これは、意味が違いますが/笑)

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冗談はともかく、スポーツカーはドライバーの能力を大幅に引き上げるし、高級サルーンはあま〜い夢を見させてくれます。ミニバンはパパの面目躍如で家族の絆を強めてくれ、4WDは地の果てまでも行けそうです。凄いツールではないでしょうか。

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それを商品として完成させるにはソフトとハード、それらを連携させるテクノロジーの全てが揃う必要があります。日本の自動車産業にはそれら全てが垂直統合型に準備されているのです。

例えば、家庭用などと比べものにならない耐久性を保証されたインテリアに精密計器類、オーディオにナビ、コンピューター、空調、最近ではエンジンだけでなく、モーターやバッテリー、それらをコントロールするECU、ふんだんに使われたセンサー等々、まだまだありますが、これら全ての異なるジャンルのデバイスを組み合わせる時の綿密な擦り合わせ、調整、試験、気が遠くなるではありませんか。

しかし、長年のクルマ作りによる膨大に蓄積されたノウハウや要素技術が商品の完成度を短期間で上げて行きます。それで、何と日本一国の自動車産業の売上が2007年には韓国のGDPにも匹敵する62兆円(世界ダントツ)にも達しました。開発能力だけでも圧倒的なものがあります。

クルマが日本の基幹産業と言われる意味がお分かりでしょう。従って企業としての利益率や安定性を考えるならば、上記の要素の全てが自前、あるいは系列内で揃える事は不可欠です。海外企業から何かを調達するなどというリスクは出来る限り避けたいのです。

ではアップルはどうでしょうか。時価総額は凄いかも知れませんが、日本の自動車産業、例えばトヨタのように全てが揃った企業と言い切れるのでしょうか。サムスンと訴訟を起こしたのはサムスンのパーツを多用した結果、技術が流出した事によります。

さらに、日本製の電子部品他、パーツも使っているのですが、これは単に安いからという事ではありません。信頼性や性能含め、他では調達が困難だからではないでしょうか。

話が例によって明後日の方向に飛んでいますが、言いたい事は、ジョブズ氏亡き後のアップル社は、これまで通りでいける保証など何もないという事です。一人の優れた指導者によって、会社は大きく変わりますが、それはまた、その指導者を失った時のリスクの大きさを意味します。ノキアなどもいい例です。

筆者には、ジョブズ氏のような天才もいないし、何かもたついてはいるが、確かな積み上げをして来た日本型企業に分があるような気がしてなりません。さらに、何と言っても「物」です。いくら妄想しても優れた材料とテクノロジーなしでは何も作り上げる事は出来ないのです。

日本の産業は基本的には、今の延長線上で行くべきであると考えます。その内、アップルを凌駕する商品が出て来るのではないでしょうか。

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経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

The Power of dreams・・・なのでしょうね。


投稿: AZ生 | 2011年10月10日 (月) 04時07分

≫日本の産業は基本的には、今の延長線上で行くべきであると考えます。その内、アップルを凌駕する商品が出て来るのではないでしょうか。

・・・アップル社のipod的な新商品はSONY,Sharp、その他どの家電屋さんにもドラえもんのポケット的なアイデアマンはいらっしゃるのでその内出てくるでしょうが、TOPの度胸次第でしょうね!勿論プロダクトアウトに対してのマーケティングとかは、型どうり行うでしょうが。
サムソンの場合、自分達はSONYに追いついたと自信を持っているらしいですがその先はかなり??でしょうね。到達した後は未知の世界へ入り込むのですから。

投稿: AZ生 | 2011年10月10日 (月) 15時37分

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