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2011年11月14日 (月)

本質を見誤る財源論

昔、ホンダの社員だった頃にデザイン室で流行った言葉があります。「恐怖の5無人間」と言うのですが、無責任、無関心、無感動、無気力に無知を加えて、この5種類全てを兼ね備えているようにしか見えない新人類的な若い人に対して冗談半分に仲間内で使っていました。年寄りがよく言う「最近の若いもんは」的な感じでしょうか。

その言葉を最近思い出しました。野田首相、あるいは民主党首脳が、佐藤ゆかり議員のTPP 関連質問にまるで答えられない樣は、「恐怖の5無人間」以外の何ものでもなかったのです。いや、全く研究も学習もしないで国の重大事に臨む樣は5無どころではありません。5無プラス悪夢ではないでしょうか。

この5無プラス悪夢で「6ム」の人達は増税に対しても同じ感覚でやろうとしています。すなわち、増税の意味、効果、副作用等一切分からず、誰かに言われた通りに動いているに過ぎないのです。

こういう頭の悪い人達に、一番分かり易いのは「財源論」かもしれません。何をやるにも「じゃあ財源はどうするのだ」と言われれば思考停止になります。年金問題や医療保険問題、財源がないと言われれば、増税しかないと安易に思い込んでも仕方がないのです。この人たちは。(笑)財務省や日銀に苦もなく捻られます。

でもよ〜く考えてみて下さい。高齢化で老人が増えて、その人達の需要を満たすだけの物とサービスの供給が、この国から消えるでしょうか。筆者にはとてもそうは思えないのです。ないと言っているのは当該機関が持つべき資金だけではないでしょうか。

少なくとも、今現在の1億3千万人分の物とサービスの供給量は確保されている訳です。むしろデフレですから供給過剰と言えます。確かに高齢化が進み労働力の減少がおきれば理論上はデフレギャップの解消に向かうかもしれません。しかし、それさえも疑問なのです。

日本の供給力は増えることはあっても減る事は考え難いのです。根拠は技術革新です。省エネにリサイクル、高効率化、ロボット化、あるいは藻から石油などの革新的新技術によって、今後自前での供給力は飛躍的に伸びる事が予想されます。

名目GDPがピークであった97年当時と比べて、今現在の技術力は比較になりません。当時は未だ米独が優勢で日本は挑戦者でした。ところが今はどうでしょうか。殆ど全ての分野で日本の技術が世界をリードしているではありませんか。

もし日本に死角があるとすれば、それはエネルギー始め、資源の分野ですが、それも近年認識が変わりつつあります。省エネ、リサイクル、あるいは代替原材料の開発などにより海外依存度は減る方向にあるのです。

領海やEEZ に眠る膨大な資源も明らかになりました。それらに対する採掘技術も世界トップクラスにあります。食料以外は高い次元での自給自足体制が視野に入って来ていると言っても過言ではありません。

従って日本の場合、貿易とは関係なく常にデフレ圧力に曝されます。しかもこのデフレは言うまでもなく良性です。資金的問題、つまり流動性さえ確保出来れば問題は解決するのです。口幅ったいのですが、日本という国は何もかも揃った世界が羨む恵まれた国なのです。

つまり、需要と供給だけの視点で言っても、順当にいけば当分の間(数十年単位)は供給過剰が確定している訳です。にも関わらず、それに見合った財政、金融政策をとらないのは理解出来ません。政府と日銀に問題がある事は明らかではないでしょうか。

需要も供給も十二分にあるのに、資金を供給しなければデフレになるに決まっています。しかも、その対策は簡単です。多くの経済界の先達が言っているように、基本は政府が財政出動をして日銀が国債を引き受け、インフラ見直し等の公共事業を全国展開する、これで有効需要が増え全ての財政問題は解決して行くのです。

勿論、今ある供給量を減らさない為の投資も重要です。政府は成長産業を模索するなどと寝ぼけた事を言っていますが、ない頭でキョロキョロするよりも、最低限、今現在確保されている物とサービスの質と量を確保する為に、税制も含めて法整備すればいいのです。よっぽど質のいい政府が誕生しない限り、それ以上の事は民間主導でやった方がいいでしょう。

ところが、どういう訳か、この国の政治家も役人も、あるいは経済学者も、最初に財源問題ありきで議論をします。順序が逆なのです。資金は、政府さえその気になればいくらでも創出出来るのですから、国の実力を見ながら増減の調整をすればいいのです。

それをしないのは無知か怠慢か5無か、それとも何か、それが出来ない理由でもあるのでしょうか。

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コメント

それにしても、あまりにも無能な政治家役人。平成の日本人はあまりに不幸です。国民に認められていない内閣が重要なことを決めすぎです。増税なら即解散総選挙をやってもらわないとね。

TPP参加アンケート、一斉に捏造して発表ですね。
ハワイに行く前にあった一部アンケートとはあまりに数字が違う。

投稿: ASO | 2011年11月14日 (月) 23時00分

財源が無いので何も出来ません的な思考停止とは・・・日本病に罹っている多くの官僚を指導出来ない民主党には当てはまりません、民主の場合は最初から国家ビジョン構築的な思考をした事が一 度もありませんから。思考をした事は与党自民の悪口を口を極めてノノシル為のテクニックだけでした。それをホイホイおだてて政権交代を促したのが、中国の家来の北朝鮮に親和性の強い韓国の手下に成り果てた大手新聞と多くのテレビ局なのでしたね。

民主の取り組む課題は全て外国(韓国、北朝鮮、中国、米国)からの指示待ち問題だけです。日本を米国の植民地化を強化するTPPとか。中国、半島の住民の日本への浸透を推進する乗っ取られ政策を推進する民主党は、日本をどうすれば良い国に出来るか・・・価値創造的な提案・方針が1mmもなかったですね!技術立国日本の推進とか、国際紛争・天候急変に備えての危機管理としての水・食料自給率UPとかの方針などの国家存続の基本原則の推進なども皆無です。

基本は中国に隷属するのが目的の民主(多分)が野田さんが与党内からでさえも反対の多いTPPへの参画に急ハンドルを取ったので、米国自身が戸惑っている様に見えます・・・又イソップのコウモリの上を行く男(中国、韓国、北朝鮮、米国への四重スパイかも)が分け解らん事言いに来てどうなっちゃってンだろうね!日本は・・・と思うでしょう。

自然災害への取り組み・・・東北大震災、自分達で将来日本国がどうあるべきかと言う基本原則を考えたことが無い様です。民主が政権奪取前に掲げたマニュフェストは、全て金のばら撒きを中心とした、大衆迎合のポピュリズムに貫かれていましたね、しかも財源の裏付け無しの。
鳩山(兄貴の方)さんが発言した、日米中の正三角形の存在バランスは、観念としてはある種の理想像ですが、軍事力(=外交力)無しで出来ると思っていた事 自身が架空の絵空事の、小学校の学級委員レベルのたわ言です、現実の地球世界ではね!

投稿: Z | 2011年11月15日 (火) 03時50分

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