なぜ日本はそこまで恐れられるのだろうか。(前編)
大戦後の日本は、資源がないところに持って来て、都会などは空襲により殆ど焼け野原になってしまい、どう見ても先が思いやられる状態でした。それを見た米進駐軍は、この国はやって行けるのだろうか(?)と思っても不思議はありません。
完全に安全パイにしか見えなかった筈です。それでもGHQ は日本が二度と米他白人世界に歯向かう事のないように仕掛けを巡らします。主に教育は滅茶苦茶にされました。
日本人に対して反日教育をさせるのですから尋常ではありません。それが未だに尾を引き、国旗や国歌の問題に繋がります。日の丸を見るだけでアレルギー反応を起こしたりするのです。市民の顔をした極左や似非右翼のおかげもあって、その傾向はより強くなりました。
ところが日本人という人種は、忘れるのも早いが立ち直りも早いのです。20年も経たない内に、経済では米が警戒しなければならないレベルに達します。64年のオリンピックまでに新幹線を走らせ高速道路網を廻らせました。トランジスタラジオは米本国に上陸し、自動車もあっという間に世界中を走るようになったのです。
日本脅威論が米国内で起きても不思議はありません。中でも米を震撼させたのは半導体とコンピューターの無料基本ソフト、トロンでした。80年代は日米間で半導体摩擦、貿易摩擦で揺れ動く事になります。一般家電製品の轍を踏みたくないアメリカの焦りが強硬姿勢となって表れました。
結局半導体は当時の通産省が、米の半導体を国内市場の20%受け入れるという不条理な要求を飲みます。技術漏洩もあり、特許裁判でも苦汁を飲みました。スーパー301をちらつかされ、非関税障壁という謂われなき圧力にトロンも開発を断念するに至るのです。
この件、裏にはマイクロソフトや孫正義が絡んでいるとされています。何やら陰謀の匂いも漂うキナ臭い事件ではありました。(笑)
さらに85年にはプラザ合意で超円高を受け入れざるを得ない状況に追い込まれます。2〜3年後には1ドル250円が120円まで上がるのですから、凄まじい話ではないでしょうか。
それでも貿易収支が赤字になる事はなかったのです。企業努力と高付加価値化が危機をチャンスに替えます。円高を嫌った自動車などは生産拠点の海外展開を積極的に押し進め、相手国に貢献する事で自動車輸出台数の制限問題は解決を見たのです。
これがもし、中国や韓国ならどうだったでしょうか。リーマンショック後、韓国はウォン安誘導し輸出産業が大いに潤った筈です。ところが、なぜか外貨不足に陥っています。超円高と言われる日本から通貨スワップで外貨を借りなければいけないのは、通貨高が悪だと言う、これまでの常識と矛盾していないでしょうか。
中国の場合も、経済成長を支えて来たのは外資が60%を占める輸出産業です。賃金が安い事により世界の工場として牽引してきましたが、通貨の元が高くなったのでは、その経済モデルが成り立ちません。投資を引き上げられては、元も子もないのです。文字通りシャレにもなりません。
この事から、韓国も中国も為替の変動相場制には対応出来ない発展途上型の経済モデルであるという事が分かります。特に韓国の場合は輸出製品の肝になる生産財、資本財を日本などから輸入しなければ輸出が成り立ちません。従って輸入と輸出が常に連動する事になります。外貨が溜まり難い体質なのです。
そもそも韓国が、貿易で日本に伍する、あるいは販売量で上回るようになったのは自らが積み上げた技術やノウハウによるものではありません。日本の技術をベースに、寄せ集めた部品を安い賃金で組み立てますから、完成品の品質にこだわらない国、消費者を相手にした場合、勝負にならないのです。
余談ですが、2002年のソウルモーターショーに出展した現代自動車のコンセプトカー(上)の開発で、スタジオアストが企画デザインからプロトタイプ製作までを受注した時の事です。筆者は、そのコンセプトカーには当時考えられる、最先端のあらゆる電子デバイスを満載しようとクライアントのトップに直接提案したのです。
「韓国の電子機器メーカーとタイアップすれば面白いのでは」と言う筆者に対し、すかさず「韓国には技術はありません。全て日本からのものです。日本のメーカーに話を付けて下さい」と言われました。
結局クラリオンや光ファイバースクリーン(リアコンビランプに採用)の指月電機、東京エレクトロニックシステムズ(東芝系)等の協力を得、完成に至ります。そのかいもあってか、ベストカー・オブ・ザ・ショーに選出されました。
つまり、その時点では技術らしい技術は韓国になかった事になります。そこから10年足らずで、にわかに技術の蓄積が出来るとも思えません。従って、今日サムスン電子やLG電子が販売面で日本メーカーを凌駕出来ているのは、莫大な開発予算をかけた技術の、日本からの漏洩が大きな要因と言えるのではないでしょうか。
しかしながら後先を考えない、日本メーカー狙い撃ちのような販売姿勢は、結果的に大きく利益を生む事はありませんでした。商いの規模はやたら大きくはなりますが、赤字体質からの脱却は出来ないのです。その証拠に国全体で見た場合に、常に経常赤字のリスクに晒されています。
働いても働いても国民は一向に楽にならない構図がそこにはあるのです。何の為の貿易かという事になります。それならば無理をせず身の丈の範囲で内需の振興に的を絞った方が国民は幸せなのではないでしょうか。いつまでも日本に頼るわけにはいかないのです。
話が、どんどん明後日の方向に飛んで収拾がつきません。(笑)長くなりますので続きは明日やります。いずれにしても、戦後日本が歩んだ道も、謂われなきイバラの道でした。世界のトップの座を窺うものは、下からも上からも必ず狙い撃ちにあいます。
それを跳ね返すには強大な軍事力と政治力が必要ですが、両方が欠けている日本には未来がありません。それならば、一時的にも摩擦の起き難いところに非難するのが賢明です。
特に世界が不況で揺れ動いている時代に、わざわざ出て行って打たれる杭になる愚を犯すべきとは、どうしても思えないのです。そういう意味でもTPP やFTA は敬遠すべきはないでしょうか。
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コメント
2002年のソウルモーターショー出品のクーペ、今見てもカッコいいですね。車好きの一般ユーザーにもなんとか手が届く価格でしたら、かなり流行りそう・・・あっちの町に2台、ウチの町では俺んちに1台、、、とかね。なにやらブガッティっぽいエレガントな香りが・・・するかな!
投稿: Carly | 2011年11月 9日 (水) 13時46分
ちょっとサイズが大きいんです。全幅も2000あります。一回り小さくする必要はあるようですが、こういうゴージャスなクーペが売れる時代にしたいですね。
投稿: 田中 徹 | 2011年11月 9日 (水) 21時51分
大正時代だったか、渋沢栄一が、「ヨーロッパの強国が貿易代金を正直に払ってくれるのは、連合艦隊があるからだ。」と言っています。
昔の人は世界をよく見ていました。
投稿: 八目山人 | 2011年11月 9日 (水) 22時14分