不毛な議論に無駄な時間を費やす人達
社会保障の問題で小宮山厚生労働大臣のメディアへの露出が増えていますが、本当にこのやり方が持続可能なものかと疑ってしまいます。国民負担を増やす前にやるべき事があるだろうと言いたくなるのも尤もです。
いずれにしても、公務員の給与カットや国会議員の定数削減等、やるやると言いながら何もやらない民主党を信用する訳には出来ません。一般国民だけが割を食うやり方を支持するお人好しはいないのです。
取りあえず10%まで上げると言いますが、消費税だけで、財政再建を含め、社会保障等、全てを賄うならば、ある経済学者の試算によると、35%は必要、と言うのでは絶望的です。最早破綻するしかありません。
ところがその学者さんは、破綻の結果、日銀が国債を引き受けるようになると言うので笑ってしまいました。(笑)それが破綻というのであれば早く破綻して欲しいものです。日本は見違えるように蘇る事でしょう。
この学者さん始め、古い経済学をベースにものを考えている人は、日銀引き受けなどをすると、すぐにでも「ハイパーインフレになる」などと言いますが、それは妙です。元財務官僚の高橋洋一教授によると、日銀は毎年30兆円程の引き受けをしていると言いますから、国債の引き受け(円の増刷)をすればインフレになると言うのは全く当たりません。
この手の学者さんは、ベースとしている計算のモデルが古過ぎるのです。何十年も前のものを、そのまま使っていては結論を大きく誤る事になります。特に供給力に関しては机上で推し量る事は出来ません。全くの盲状態と言えます。ここが経済の基本であるにも関わらずです。
日本経済が絶好調の80年代との比較においてさえ、現在の供給力は桁違いです。とても内閣府が言うデフレギャップ30兆円どころではないのです。まず技術貿易収支が米と双璧である技術力においても当時とは比較になりません。輸出が絶好調だった80年代の自動車にしても、現在の方が遥かに技術力、潜在供給力は上回っているのです。
よく需要が飽和状態なので、これ以上の需要は望めないと言いますが、そんなバカな話はありません。自動車に例えるならば、国民はもっとハイテクで省エネのHVやEV が欲しいのです。スペースが許すならばRV 等も含め複数台持ちたい人も多いのではないでしょうか。家や電気製品だって最新のものにしたい筈です。では何が足りないかと言えば、お金です。
お分かりでしょうが、この事を流動性が供給力を下回る「デフレ」と言うのです。技術があって魅力的な商品を開発する力がある、しかも量産体制は整っていて、その為の必要物資の輸入は、マクロで見ても常に輸出を下回っている訳ですから、購買を阻害するものは流動性以外ありません。
それを確保する為に増税と言うのでは、あまりにも短絡的で稚拙に過ぎるのではないでしょうか。増税の度に不況に陥り税収が減った過去から何も学んでいない事になります。デフレ下の超先進国型経済モデルの日本においては、もっと簡単な方法があるのです。
国民からお金を取り上げるよりも、国民の購買力を上げる方が、よっぽど近道である事は子供でも分かる理屈ではないでしょうか。すなわち、内需の拡大です。その方法は国債を日銀が引き受け財政出動をして、インフラの再構築などの公共投資をする、それ以外考えられません。
ところで財務省が増税して財政再建したがっている、子孫にツケを回すと言う積み上がった国債の発行残高ですが、その7割近くは政府系金融機関が保有しています。という事は自分で発行して自分で保有する、言わば自作自演的な、バカバカしい事をやっている事になるのではないでしょうか。
しかも1100兆円の発行残高の内、150兆円は政府短期証券です。これは殆どが為替介入の為に発行された国債ですから、いわゆる一般概念の負債とは一線を画します。米国債に姿を変えて保有される、そこからの利子収入は年に5兆円にもなるのです。
この短期証券の発行残高は、3.11 以降の為替介入で20兆円くらい増えました。実効性がなく米を利するだけのこの方法は、実に愚かな円高対策と言えます。
このように中身を精査していくと、政府の財政赤字には全く問題性がない事が分かります。その証拠に10年もの長期国債の金利は1%程度と世界最低だし、破綻のリスクを表すCDS プレミアムも世界最低クラスなのです。
どう見ても米英仏の国債などよりも安定感があり、それらがトリプルA ならば、現状の日本への評価は胡散臭いものとしか言いようがありません。何らかのバイアスがかかっていると考えるのが妥当です。
以上の事から、よく日本には増税の余地があるから国債の金利が低いとか、円が買われるとか言いますが、大きな間違いである事が分かります。我田引水もいいところです。このプロパガンダに騙されてはいけません。
言うなれば真逆の、お金を刷る余地がたっぷりあるからこそ金利が低く、CDS プレミアムも低いのです。安心して円を刷りましょう。(笑)社会保障問題も財政再建問題も一気に解決します。
なぜなら、まだ日本には、需要に応えるだけの物とサービスの供給力が残っているからです。お金をケチっている間(デフレ)に供給力がなくなる事こそが、子孫にツケを廻す大問題なのだという事に気付いて下さい。
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蛇足(笑)
そうは言っても、日本のマネーサプライは十分に大きい、マーシャルのK(マネーサプライ÷GDP) は2を超えていると言われるかも知れませんが、裾野の広い国内垂直統合型の産業構造故に中途決済額はどうしても大きくなります。国によって産業構造モデルが違うので、一概にマーシャルのKで適正流動性を計る意味はないのではないでしょうか。
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コメント
≫ 言うなれば真逆の、お金を刷る余地がたっぷりあるからこそ金利が低く、CDS プレミアムも低いのです。安心して円を刷りましょう。(笑)社会保障問題も財政再建問題も一気に解決します。
・・・財務省、日銀・・・この辺の組織疲労/思考停止状態が10~20年も続いている様ですが、自民/民主ともに彼らを指摘/指導出来ないままに時が過ぎていく・・・たまに正論を打ち上げる論客へは、マスコミが攻撃して社会から抹殺して行く。
日本政府への再武装禁止、プラザ合意とかの金融政策などの占領政策・愚民政策を進める内に、自らが国際金融機関に洗脳されて、TPPを日本に押し付けて来た米国。防衛力軽視で外交力の無い日本へは中国・周辺半島勢力が言いたい放題・・・でしょ?
まずは、打ちでのこづちで財政出動をかけて、東北を救い、流動性を活発にしてデフレを解消を図るのが良いシナリオですよね!
投稿: AZ生 | 2011年12月14日 (水) 03時37分
社長さんや経営者さんのブログ巡りをすると こちらと同じ意見の方が多いのです。
でも政府もマスゴミも「内需拡大」が禁句らしく「輸出 輸出」とプロパガンダしています。
異常であるとしか思えません。
NHKなどは頻繁に「世界最大の借金国」と言ってます。
家庭内借金で大騒ぎしているウソ放送です。
投稿: 匿名 | 2011年12月15日 (木) 00時45分
≫ NHKなどは頻繁に「世界最大の借金国」と言ってます。
家庭内借金で大騒ぎしているウソ放送です。(匿名さんコメント)
・・・独断による印象と推測ですがNHKの主張(メッセージ?)って、学校秀才ばっかりのスタッフのコンセプトで構成されているのでしょうね!自虐近代史を子供達にばら撒いてる日教組に影響されたままの・・・
学校での秀才ってなんでしたっけ?そう、教科書に書いてある事を丸暗記してそのまんま答案に書く技術が長けている生徒が◎になっちゃうシステム。・・・つまり、自分自身での観察・認識・理解が果てしなく小さくて、権威のある何かに隷属している事の危険性に全く気がつかない不気味で本当の知性が目覚めていないので
①権威(教科書・・・過去の事例を列記した物で永遠性は乏しい、とか国際的な洗脳情報)に無抵抗で隷属する・・・例えばWW2の戦勝国の利権を守る為でしかないのが国連の機能なのに国連は全て善であるとか、グローバリズムは善とか
②私は優秀なのでという自信過剰
③社会に与える情報が未熟であるのに責任を転嫁する技術だけはいっちょ前、料金を徴収するのはずうずうしい・・・あはは、日銀、外務省、財務省が罹っている応用問題が処理出来ない硬直した頭脳と行動力の全くない受身ばかりの日本病(最近英国、米国も罹病)・・・かもしれませんね!
投稿: 青うさぎ | 2011年12月15日 (木) 03時13分