ハイテク蟻と幽霊キリギリス
ブログランキングに参加しています。
テレ朝は、テレビ局の中では少しましだと思っているのですが、番組によっては「トンデモ」が存在する事も確かです。朝のモーニングバードは時々やらかしてくれます。なぜか玉川さんの時が多いのですが、損な役回りではないでしょうか。
5日の朝も財政問題を取り上げて、「欧州危機が日本に飛び火する」とやっていました。それ自体は十分にあり得るので違和感はないのですが、その欧州よりも財政状態が悪い日本は、いつ破綻してもおかしくない、と来たのでは堂々巡りです。
その日本の分析が相変わらずで酷いです。日本には対外債権が250兆円もあり世界一だが、借金も900兆円以上あり、こちらも世界一だ、と大矛盾をアリとキリギリスに例えて堂々と披露するのですから頭痛いです。(笑)浜矩子教授までが一緒になってやっているのはどういう事でしょうか。罪深いと言わざるを得ません。
会社も国家も決算書は一つしかないのです。という事は250−900で650兆円の債務超過という事になるのでしょうか。もしそうであるならば、そのアリとキリギリス論は正しいと言えます。
しかし、それならば最初から650兆円の債務国であると言えばいいのではないでしょうか。公共の電波を使っていい加減なことを言ってはいけません。会社で言えば、決算書の中の貸借対照表(バランスシート)を見れば明らかなように、日本は資産が負債を250兆円(2011年末)程上回っているのです。だからこそ対外純資産(対外債権)が存在します。
(ちょっと古くてすみません)
従って世界一の借金国と言う代名詞は的外れです。世界一の債権国という言葉だけでいいのです。国と政府を混同するからややこしくなります。今問題になっているギリシャなどの財政赤字国は経常赤字国なのです。
経常赤字の累積である対外債務が実力以上の為に金利が上がって四苦八苦しているのです。返済不能に陥ったそれらの国を、ドイツやフランスなど、債権国間でどう対処しようか、という相談をしているのが現状です。
(財政赤字で苦しんでいるPIIGS 諸国は日本の対極にある事が分かります。)
ちょっと常識的に考えれば分かりますが、借りる人(債務国)があれば反対側に必ず貸す人(債権国)がいます。債務国ばかりがクローズアップされていますが、では債権国はどこでしょうか。宇宙からでも借りない限り世界中が債務国という訳はありません。
アメリカやEU が債務国なら日本や中国以外に債権国がある筈がないのです。だから日本はアメリカには大量に貸し、最近韓国に気前よく貸しましたが、さらにインドや中国にも貸す(国債購入)事が決定しました。中国の場合も、債権国とは言え世界に通用する通貨(国際決済通貨)を持たず、単独では弱いのです。
そういう意味で、今や世界はドルを担保する日本によって支えられていると言っても過言ではありません。それを言ってしまうと増税が出来ないので財務省は、日本駄目論を喧伝するのです。正にBKD ではありませんか。
日本の財政赤字は、あくまでも円建て国債による政府の負債です。それも90%以上が国内で消化されています。民間が借金を減らしたので、失政もありますが政府に偏りました。
そうは言っても個人の金融資産が1400兆円(純資産は1000兆円)だから、借りる余地は少ないのでは、という話もよく聞きます。それも大きな勘違いです。お金は消えません。移動するだけです。
政府が民間から借金をした分は全て予算として使い切り、国民の側に戻されます。つまり、政府の負債と日本国の金融資産は連動して増えるのです。従って、善し悪しはともかくとして、理屈では政府の借金は永久に増やし続ける事が可能です。(下の表参照)
これらの表を見れば一目瞭然です。今、日本で言われている財政破綻論は、全くの杞憂に過ぎない事が分かります。問題は十分な金融資産やマネーサプライがあっても、デフレによって循環がうまくいっていない事です。供給に対し流動性が十分でないのです。
そういう場合、手っ取り早いのは政府が借り入れたり、通貨発行権を行使してマネー量を増やせばいいのですが、大量の国債発行や国債の日銀引き受けは、財政規律を盾に財務省や日銀が強硬に拒みます。どこの国の組織なんでしょうか。
テレビでは日本にはアリとキリギリスが同居していると言っていましたが、日本にキリギリスはいない事がお分かりいただけたと思います。政治家には一部いるかも知れませんが。(笑)
言うなれば、ハイテクの働き蟻が、いない筈のキリギリスの亡霊に悩まされながら日夜戦い続けている、というのが実態ではないでしょうか。おい、幽霊キリギリス、いい加減に消えろ。(笑)
ブログランキングに参加しています。共感いただければクリックを!!
| 固定リンク
「経済・政治・国際」カテゴリの記事
- 円安で国が滅ぶと騒ぐ愚かな人達(後編)(2022.12.12)
- 円安で国が滅ぶと騒ぐ愚かな人達(前編)(2022.12.05)
- いまだによく理解されていないお金の話(2022.06.27)
- これだけ痛めつけられても何も変わらない基本的経済マインド(2022.06.15)
- 近況報告とEV その他(2022.05.19)
コメント
新種の米英を束ねるユダヤ資本の植民地主義・・・柔らかい土、日本人のお人好と事なかれ主義をオダテて、北朝鮮、韓国、米国などが日本から金をゆすっているのが現状。
そのユダヤが一番恐れているのが大和民族。なにしろ真面目マジメの民族ですから。
まず、M主党と、朝日/フジテレビ/電通を潰しましょう。電通はたったの500億韓国政府から日本人の洗脳の為に金を出したらしき、で、5兆円をK国に贈与、凄い効率。何、TVを見なければ好いのですよ。
投稿: 青うさぎ | 2012年1月 6日 (金) 11時53分
はじめまして。時々、ブログ拝見してます。
何だかユーロ通貨が凄いことになってますね
ところで、これまで『米国が輸入して、各国は代金を米国債等にして米国へ還流させる』の仕組みが終了しました。
新興国に金をジャブジャブ投入して、その利益で設けるユーロのビジネスモデルも終了しました。
今後、輸出を増やそうとしても米国との外交軋轢でムリだろうし、新興国からのユーロマネー貸し剥がし(400兆円位?)で新興国は壊滅(新興国の内需国力は貧弱)、ユーロも財政統合出来る訳も無くズタズタ。
ここで、もしも、
日本政府が大規模公共投資を決意すれば、直ぐに内需拡大してGDPも増えるでしょうが、一人勝ち状態になって、世界からの輸入圧力が増えませんか?
輸入を拒否した場合、貿易摩擦レベルを通り越して、第二次大戦前の外交孤立状態になりませんか?
それを避ける為に、あえて狼が飢え死にするまで、貧乏なフリをするのも手かなと思います。
では^^;
投稿: MTM | 2012年1月 7日 (土) 04時28分
オオカミは、共食いはあっても飢え死にしないでしょう。(笑)
日本という子豚ちゃんがいる以上、死ぬ事はないと思います。むしろ向こうが死んだふりするかも知れません。
この件、明日のブログでも取り上げます。
投稿: 田中 徹 | 2012年1月 7日 (土) 14時18分