デトロイトモーターショーに見る顕著な傾向とは
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今日は久々、自動車ネタです。
9日、北米オートショー(デトロイトモーターショー)が開幕しました。米ビッグ3をはじめ各国メーカーから40以上の新型車が発表され、賑わいを見せています。リーマンショック以来沈滞気味だった自動車業界も、やっと復活の兆しが見え始めたようです。
中でも注目を集めているのが「ハイブリッド車」です。日本、ドイツ勢を始め、新型ハイブリッド車の米国投入が相次いで発表されています。東京モーターショーで見られた傾向が、より強く鮮明になった感じでしょうか。
いよいよ本格的なハイブリッド車時代の幕開けです。本格EVや燃料電池車が足踏みをしている今、ここ暫くの間、10〜30年の本命に位置づけられたのでしょう。あれだけハイブリッド車をけちょんに言っていた欧州勢の宗旨替えがけちょん(顕著)なようです。(笑)
(う〜〜ん。無理矢理感が否めないなあ。笑 /このクーペバージョンは本格的らしいです。)
フォルクスワーゲンは米国専用車のジェッタに、新たにハイブリッド車を設定しました。(上)BMWは3シリーズ、メルセデスベンツはEクラスにガソリンとディーゼル2種類のハイブリッド車を追加します。現地メーカーからはフォードが新型フュージョン(下)に従来型から性能を向上させたハイブリッド車を発売するようです。
(それにしても、いかさないデザインです。これじゃあ・・・)
牙城を脅かされるトヨタ、ホンダですが、両メーカーは今回のショーで、ハイブリッド技術を搭載したスーパースポーツレクサスLF-LC(下)アキュラNSX(レクサスの下)を発表しました。
(ここまで派手な顔にしなくても、と思いますが、アメリカ人好みなのでしょうか?)
(こちらはホンダらしいと言うか、ちょっと硬いです。)
スポーツカーのハイブリッドと言うと違和感を感じる方も多いかも知れませんが、レイアウトによっては、よりスポーツ性を上げる事も可能だし、四駆にし易いメリットもあります。重量の問題さえ解決出来れば面白いのではないでしょうか。スポーツカーが将来も市民権を維持する上で、ハイブリッドは欠かせないアイテムです。
ところで、何年か前にドイツ某社のトップが言っていたように、未だに「これからはディーゼルの時代だ」などと寝ぼけている、間抜けなメディアもあるようですが、そもそもガソリンかディーゼルかハイブリッドか、というような選択の問題ではありません。
適正と言うものがあるのです。短距離選手には長距離は走れないように、ディーゼルにも得意分野と不得意分野があるのです。例えば船舶や大型トラックにガソリンエンジンという選択はあり得ません。
反対に、軽自動車やリッターカーに、重くてコストのかかるディーゼルという選択肢もないのです。さらにディーゼルとガソリン両方にハイブリッドは撰べますから、個々のアイテム別に優劣を論じる意味もありません。
そのクルマのコンセプトに合うエンジン、駆動方式を撰べばいいのですが、国によっても使い方、感じ方は違います。面白い事に使い方が全く異なる日米欧では三者三様なのです。
欧州では高速道路を長距離走る事が多いので、乗用車に高速燃費でアドバンテージのあるディーゼルを搭載する率は日米より圧倒的に高いです。値段はガソリンと変わらないものの、軽油の質が良く排ガス対策は日本のディーゼルより有利という事もあるのではないでしょうか。
また保守的で合理的な民族性も安易にハイブリッドには向かわなかったのかも知れません。いずれにしても、ここに来てハイブリッド車ラッシュという事は、ガソリン・ハイブリッド車の優位性を、しぶしぶ認めた事になります。
つまり、はっきり言えば、トヨタの軍門に下ったのです。
いみじくもトヨタ自動車の内山田副社長は「ディーゼルはある程度、まだヨーロッパ、新興国を中心に使われていくと思うが、将来的には燃費規制がどんどん厳しく
なってきて、ディーゼルの技術の延長線上ではクリアできない。これはヨーロッパのメーカーも分っている。ですからみなさん盛んに 最近はハイブリッドとかプラグインとかを開発しだしている」と指摘しました。
さらに、「本当にエミッションのこと考えてガソリン並みの排ガス規制をやるといった途端に、これは莫大なコストがかかってしまうので しばらくはディーゼルはあるけども、ずっとあるというわけではない」と述べたそうです。
これを聞いた外野のかまびすしい連中は、トヨタはディーゼルの技術が欧州より劣るので、そう言っているのだろう、などと言っていますが、とんでもありません。(笑)トヨタ、いや日本全体で見ても、自動車に関しては全ての技術を有しているし、どの分野でも世界トップクラスです。
ディーゼルでもマツダ他、次世代のクリーンディーゼルを既に発表しています。特にマツダの「SKYACTIV-D」(下)は、JC08モードで18.6km/リットルの燃費性能を実現しました。さらに低圧縮比のため、高価なNOx後処理装置を必要とせず、ディーゼルの常識破りと専門家の注目を集めているのです。
(これも、都会的で未来的な、最近のマツダ車にしては、デザインが平凡です。)
一方のガソリン・ハイブリッド(ガソリンエンジンとの)車の可能性は無限です。燃費はすでにトヨタ・アクアで40Km/リットル(10.15モード)を達成、プラグインハイブリッドカーの場合は50〜60Km/リットルとも言われています。
さらに2015年頃からは、5倍の能力を持つ次世代バッテリーの登場が予定されていますから、そのポテンシャルはとてつもない事になります。いくらディーゼルエンジンが頑張ったところで、物理的な限界は克服出来ないのです。
従って乗用車には、既に30Km/リットルを記録している低燃費ガソリン車とハイブリッド車が主流になり、SUV の一部や商業車はディーゼル、あるいはディーゼル・ハイブリッドになるのではないでしょうか。
ともあれ、技術的なものが煮詰まり、行き着くところまで行けば、最終的にはエンジンルームはブラックボックス化して、「クルマはコンセプト、デザイン、クオリティ、使い勝手で撰ぶ」時代になる事は自明の理ではありますが。。。
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コメント
≫ デトロイトモーターショーに見る顕著な傾向とは
・・・主流はやはり「ハイブリッド車」でしたね!各車とも<渾身の力作揃い>・・・見ごたえがあります、感動があります!
徹さんの<カーデザイナーの目>で語った出品車両夫々へのコメントは興味深く拝見致しました。 Thank You.
投稿: Carly | 2012年1月12日 (木) 17時17分