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2012年1月 5日 (木)

映画「連合艦隊司令長官 山本五十六」

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暇なので久々映画を見に行きました。邦画は何年ぶりでしょうか。記憶にありません。ここに来ての、この映画は何が目的なのかは分かりませんが、日本人が近代史を正しく認識しているかどうかの試金石にはなりそうです。

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子供の頃に読んだ、大東亜戦史の「海軍編」と照らし合わせてみるのも興味がわきます。戦争史に詳しい訳ではありませんが、ミッドウェイ海戦の一部ディテールにはうるさいのです。(笑)前述の「海軍編」に出て来る、空母赤城に乗り組んでいた報道班員のレポートは本物の戦闘の凄まじさを教えてくれました。

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CG 、特撮も昔よりは、はるかに迫力があります。重流感のある軍艦や飛行機は実によく出来ていました。大人の鑑賞に耐えるのではないでしょうか。戦闘シーンはちょっと淡白で見せ場が少なかったのは残念です。ハリウッドなら、もっと違った見せ方をしたのではないでしょうか。100%娯楽映画とは性格が違うので、ここは強く言えないところです。

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映画評論家ではありませんが、総括しますと、映画の出来そのものは悪くないです。タイトルが泣きません。問題提起的なところがあり考えさせられます。ただ、「太平洋戦争70年目の真実」と唱ったのは違うのではないでしょうか。

真実の割には人間五十六の描き方がディテールにこだわり過ぎです。役所広司のうまい演技がリアルさを増幅し、ややこしくなります。日本側の良識派代表として、あるいは好戦派に対する「良心の象徴」的に描くならば、しつこくプライバシーを描く意味はありません。見る側に、そこまで山本五十六の事を知っているのか、という疑念を抱かせます。逆に言えば、演技がリアルであるが故に嘘くさくなるのです。

特に作戦の真っ最中に将棋に興じるところは違和感があり過ぎます。そういうシーンが何回もあったので、将棋は好きだったのでしょうが、演出としては失敗しています。下戸故に甘いものを食べるシーンも多かったのですが、そこにこだわる意味もありません。

そんな事より、ストーリー自体が史実に忠実か、あるいは描き方が反戦的なのか右翼よりなのか、というところが気になります。まさか左翼がこういう映画を作るとは思えません。そういう点では実にニュートラルで、当時の雰囲気はよく出ていたのではないでしょうか。

ドイツが同盟国として信用ならないという描き方も、VW 側のエグサだけが目立つ、最近のスズキとVW のトラブルを注視している筆者としては納得出来たのでした。(笑)ホンダと英国BLMC との関係も一方的に破棄されたように、やはり白人国家との真の連携は出来ないのかも知れません。

新聞が当時も戦後も、さらに現在も信用出来ないというのは我が意を得たりです。ややデフォルメされて描かれていました。(笑)政府関係の指導者や軍の幹部の描き方も、さもありなんと思わせるところはあります。昔から頭の固い連中はいたのです。

そういう指導者に、間違った方向に導かれる国民は悲劇ですが、新聞に煽られ国民自体も好戦的なところはあったのかも知れません。あの戦争は、最近になって自衛の為であったという説が有力になって来てはいますが、超大国アメリカ相手に戦争をしようと言うメンタリティ自体、やはり異常だったと言わざるを得ないのです。

負ける戦争に突き進んで行ったのは、日清戦争以来の、敵失も含めて連戦連勝の驕りがあったからではないでしょうか。 好戦的な米に嵌められたとは言え、嵌め返すくらいの余裕が欲しいです。政治家には、のらりくらりの、したたかな外交術が求められます。

この映画の一番大きい不満は、「300万人もの犠牲は出したにせよ、戦争が終わって平和になって良かったね、でも、また繰り返すかもしれない」的な言わば説教臭い終わり方です。表面的なドンパチはなくとも、水面下での戦争は今も続いています。

尤も、日本側は、その意味でも無防備でやられっぱなしなのが問題ですが。。。いずれにしても反戦的意味合いがクローズアップされたのでは価値が半減します。地球が単一国家にでもならない限り、人類の戦いに終わりはないからです。

一番腹黒いアメリカが、全く描かれていない。

映画が終わって周りを見渡せば、かなり人は入っているのですが、さすがに若い人は少なかったのです。連合艦隊の威容は、戦争オタクでなくても感じるところはあるし、今とは全く違う先人たちのメンタリティを垣間見る事が出来ます。そういう意味で年寄りよりも若い人に見てもらいたい映画です。

ところで、県民100年史シリーズの「新潟県の百年」という古い本に、山本五十六元帥の出身地、長岡空襲のことが出ていると言います。

県下最大の空襲は八月一日の長岡空襲であった。同夜十時二十六分、突然の「空襲警報」とほとんど同時に数機編隊のB29が波状的に来襲し、約100分にわたって924トン・十数万発の焼夷弾を投下した。元帥山本五十六の菩提寺長興寺には約百五十発の焼夷弾が投下されるなど、想像を絶する絨毯爆撃であった。・・・死者だけでも千四五十七人に及び、市民の八割以上が罹災した

大して大きくもない長岡市に1457人もの死者が出るほどまでの激しい空襲は妙です。特に五十六の菩提寺への約150発もの焼夷弾攻撃は、証拠隠滅が目的で意図的に行われた可能性を排除出来ません。

山本五十六に関しては諸説ありますが、米留学の経験があるだけに、米側のスパイであったと言う説も、全くあり得ないとは言いきれない悩ましさがあります。不自然な戦い方にも疑問点が残るからですが、いずれにしても真相が白日の下に曝される事はなさそうです。

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コメント

新年あけましておめでとうございます。いつも興味深く拝読しております。そして管理人様の示唆に富む洞察力に感心すること頻りです。
ご指摘の通り、山本五十六については諸説ありますが、フリーメーソンに所属していたところからすると、売国奴だったのではと疑わざるをえません。
・誰に火をつけさせるかということなんですよ 高橋五郎:  http://satehate.exblog.jp/16984862/
・山本五十六が日本を敗戦に導いた:  http://www.h2.dion.ne.jp/~apo.2012/tsubuyaki004.html 

投稿: 憂国の士 | 2012年1月 6日 (金) 01時08分

憂国の士さん。情報有り難うございます。
「事実は小説より奇なり」ですが、真相は闇の中です。
いずれにしても一番恐ろしいのは人間ですね。

投稿: 田中 徹 | 2012年1月 6日 (金) 17時15分

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