日の丸半導体壊滅か(?)
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国の支援を受けて経営再建中の大手半導体メーカー「エルピーダメモリ」は、歴史的な円高や半導体価格の大幅な下落などで資金繰りのめどが立たなくなり、裁判所に会社更生法の適用を申請する方針を固めました。(NHK NEWS WEB)
これで日本の物作りが終焉を迎えた、とか、かつて半導体で世界を席巻した面影がないとか、例によって否定的な見解が多いようです。日本のマスコミは(!!)(笑)また日本下げの韓国上げで盛り上がっています。
実際はどうでしょうか。筆者には額面通りには受け取れないのです。
ところで2011年の売上高ランキングを見てみましょう。
確かに上位3社は米韓が来て、やっと4位に東芝が名を連ねています。全体で言えば世界シェア16%くらいで、韓国と同等です。自動車とは随分、趣を異にします。一時の圧倒的なシェアが嘘のようです。
では、国内でのランキングはどうなっているのでしょうか。
1位 東芝(電子デバイス事業) 1兆2,646億円
2位 日立製作所(電子デバイス事業) 1兆1,510億円
3位 パナソニック(デバイス事業) 1兆1,272億円
4位 NECエレクトロニクス 5,464億円
5位 富士通(デバイスソリューション事業) 5,401億円
6位 東京エレクトロン 5,080億円
7位 エルピーダメモリ 3,310億円
(2009年度)
これを見るとエルピーダメモリの売上規模は国内でも決して大きくはありません。言われるような、日の丸半導体産業の壊滅というイメージからはほど遠いのです。
しかしながら、やはりかつてとは違ってDRAM のような低価格汎用品は韓国や台湾、あるいは中国等に生産の主体がシフトしており、日本が勝負出来る環境にはありません。日本はフラッシュメモリー等の高付加価値型で勝負するしかないのです。上に伸びるしかないという宿命的構図があるようです。
ここでも韓国の低価格攻勢に泣かされました。韓国半導体大手のハイニックスは2001年に一度破綻していますが、それでも低価格を改める事はなかったのです。作れば作る程赤字なのに不思議です。この頃、日本の主要メーカーは、ハイニックスに対するダンピングの訴えを起こしています。
要するに、政府の支援を受けながらも、赤字事業を継続した事実から推察されるのは日本潰しです。液晶ディスプレイと同じく、赤字もいとわない低価格攻勢でシェアを取り、日本勢の撤退後シェアを独占してから利益を出せばいいという考え方ではないでしょうか。しかし、液晶ディスプレイのように、結局は共倒れを招きマーケットを破壊してしまいます。
因に、半導体製造装置メーカーは日米とオランダしかないようですが、これと生産財さえあれば、ある程度のものは、誰でも生産出来るようです。矛盾を感じざるを得ませんが、最後に残るのは新技術の開発に前向きで、垂直統合型モデルに固執する日本ではないでしょうか。
なぜなら半導体メーカーに代表される、安売りの水平分業型、あるいはファブレス(工場を持たない)の企業モデルは、高収益体質にはなり得ないからです。
半導体製造装置メーカー売上高ランキング
(2009年度)
1位 アプライド・マテリアルズ アメリカ 3367
2位 東京エレクトロン 日本 2175
3位 ASML オランダ 2123
4位 ニコン 日本 1742
5位 ケーエルエー・テンコール アメリカ 1236
6位 ラムリサーチ アメリカ 1121
7位 大日本スクリーン製造 日本 753
8位 ASMインターナショナル オランダ 656
9位 ノベラスシステムズ アメリカ 545
10位 テラダイン アメリカ 517
11位 日立ハイテクノロジーズ 日本 444
13位 アドバンテスト 日本 389
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コメント
》日本勢の撤退後シェアを独占してから利益を出せばいいという考え方ではないでしょうか。しかし、液晶ディスプレイのように、結局は共倒れを招きマーケットを破壊してしまいます。
・・・北米市場でのヒュンダイ・キアもコレ
投稿: かかし君 | 2012年2月29日 (水) 23時36分